B型肝炎・無症状(無症候性キャリア)でも給付金を請求するべき?
  • 2022年03月23日
  • 医療

B型肝炎・無症状(無症候性キャリア)でも給付金を請求するべき?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに持続感染した被害者の中には、具体的な症状を発症していない「無症候性キャリア」が存在します。無症候性キャリアの場合、発症者よりもB型肝炎給付金の額が少なくなりますが、それでも早めに弁護士にご相談のうえで、国に対する請求を行いましょう。

この記事では、B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの方が、国に対して給付金を請求すべき理由について解説します。

1. B型肝炎ウイルスの「無症候性キャリア」とは?

まずは、B型肝炎給付金(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金)の対象となる「無症候性キャリア」とは何なのかについて、基本的な知識を押さえておきましょう。

(1)B型肝炎ウイルスに持続感染しているが、無症状の状態

B型肝炎給付金は、以下のいずれかの原因によって、B型肝炎ウイルスに持続感染(ウイルスが体内に残り続ける状態)した人(およびその相続人)を対象としています。

  1. 国による集団予防接種による感染(一次感染者)
  2. 一次感染者からの母子感染・父子感染(二次感染者)
  3. 二次感染者からの母子感染・父子感染(三次感染者)

B型肝炎給付金の額は、発症している症状の内容等によって異なりますが、具体的な症状を全く生じていない方にも、一定の給付金が支給されます。このように、上記1.~3.のいずれかの原因によってB型肝炎ウイルスに持続感染しているが、無症状であるという状態の方を「無症候性キャリア」と呼びます。

(2)無症候性キャリアが受け取れるB型肝炎給付金の額

無症候性キャリアの方が受け取れるB型肝炎給付金の額は、「除斥期間」が経過しているかどうかによって大きく差があります。

<無症候性キャリアのB型肝炎給付金>

除斥期間経過前:600万円
除斥期間経過後:50万円

除斥期間とは、2020年3月まで適用されていた旧民法第724条における、不法行為に基づく損害賠償請求の期間制限を意味します。現行民法上は「消滅時効」に変更されましたが、B型肝炎給付金の和解制度では、旧民法における除斥期間を基準として、給付金額が区別されています。

旧民法上の不法行為の除斥期間は「不法行為の時から20年間」です。

無症候性キャリアの方の場合、除斥期間の起算点は以下のように定まります。

<無症候性キャリアの除斥期間の起算点>

一次感染者:集団予防接種を受けた日
二次感染者・三次感染者:出生日

B型肝炎給付金の対象となる集団予防接種は、1988年以前のものに限られます。したがって、一次感染者である無症候性キャリアについては、すべて除斥期間は経過済みであり、受け取れる給付金は一律50万円です。これに対して、二次感染者・三次感染者である無症候性キャリアの場合は、除斥期間経過前・後の両方があり得るため、600万円を受け取れる方と、50万円しか受け取れない方に分かれます。

なお、除斥期間経過後の無症候性キャリアは、一定の検査費用や感染防止医療の費用について援助を受けられます。

2. 無症候性キャリアでもB型肝炎給付金を受けるべき理由

特に除斥期間経過後の無症候性キャリアの方は、「50万円のために訴訟を提起するのは、コストと利益が釣り合わない」と考える場合もあるかと思います。しかし、無症候性キャリアの方こそ、早めにB型肝炎訴訟を提起しておくことが大切です。

無症候性キャリアの方は、将来肝硬変などの具体的な症状を発症するリスクを常に負っています。

B型肝炎訴訟で一旦国との和解が成立しても、和解時の症状より悪化したという場合には、改めて訴訟を提起することなく、以下の表に記載された金額とすでに受け取った金額の差額を「追加給付金」として受け取ることができます。

なお、新たな症状を発症した場合、除斥期間がリセットされますので、一次感染者・二次感染者・三次感染者を問わず、「除斥期間未経過」として高額の給付金を受け取れます。

除斥期間未経過 除斥期間経過後
死亡・肝がん・肝硬変(重度) 3600万円 900万円
肝硬変(軽度) 2500万円 600万円(現在も罹患している場合)

300万円(それ以外の場合)

慢性B型肝炎 1250万円 300万円(現在も罹患している場合)

150万円(それ以外の場合)

ただし、将来追加給付金を請求するには、B型肝炎給付金の請求期限内に、B型肝炎訴訟を提起していることが必須条件となります。現行法上、B型肝炎給付金の請求期限は「2027年3月31日」です。

B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの方は、将来の発症リスクに備えて、たとえ少額であっても、国に対して給付金請求をしておくことをお勧めいたします。B型肝炎訴訟の弁護士費用については、一部が国から補助されることになっていますので、弁護士にアドバイスを求めてみてはいかがでしょうか。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年03月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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