家族がB型肝炎で亡くなった場合は遺族が給付金を請求できる?

家族がB型肝炎で亡くなった場合は遺族が給付金を請求できる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

国が実施した集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染をした方は、全国に40万人以上いるとされています。感染した方は、国に対してB型肝炎給付金請求訴訟を提起し、国と和解をすることによって、病状に応じたB型肝炎給付金を受け取ることができます。

B型肝炎ウイルスは、重度の肝がんや肝硬変を発症するおそれもあり、治療を行っても残念ながら亡くなってしまうことがあります。では、ご家族が亡くなった後に給付金の存在を知った場合、遺族の方が代わって請求することはできるのでしょうか。

本記事では、B型肝炎ウイルスが原因で亡くなった方の遺族が行う給付金請求について解説します。

1. 遺族が給付金を請求することはできる?

一定の要件を満たすB型肝炎ウイルス感染者の方は、国と和解をすることによって給付金を受け取ることができますが、給付金を受け取らないまま、ご本人が亡くなってしまった場合は、遺族の方が本人に代わって請求する権利が認められています。

請求することができるのは、民法が定める相続人に該当する方です。相続が開始したときの相続人の範囲については、民法で次のように規定されています。

  • (常に相続人)被相続人の配偶者
    配偶者の方以外については、次の順位で相続人になります。
  • (第1順位)被相続人の子ども(子どもが被相続人よりも前に死亡しているときは孫)
  • (第2順位)被相続人の直系尊属
  • (第3順位)被相続人の兄弟姉妹

前の順位の相続人がいる場合には、後の順位の者は相続人にはなりません。

たとえば、被相続人が亡くなった際、被相続人に配偶者と子ども、両親、兄弟がいる場合、配偶者と第1順位である子どものみが相続人になります。第2順位の両親や第3順位の兄弟は相続人にはなりません。

2. B型肝炎給付金の対象者とは

B型肝炎ウイルスに感染したからといって、すべての方に国から給付金が支払われるわけではありません。亡くなられた方が次にあげる給付金対象者の条件に合致していなければ、遺族の方が給付金を請求することはできません。

(1)B型肝炎ウイルスの一次感染者

B型肝炎ウイルスの一次感染者とは、昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに生まれた方で、満7歳になるまでに集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染した方であり、集団予防接種以外の感染原因が疑われない方のことをいいます。

一次感染者であることを証明するためには、亡くなった方が次の要件を満たしていたことが必要です。

  • B型肝炎ウイルスに持続感染していた
  • 満7歳になるまでに集団予防接種などを受けていた
  • 集団予防接種等を受けたことが母子手帳等で確認できる
  • 母子感染でない
  • その他の感染原因がない

(2)B型肝炎ウイルスの二次感染者

B型肝炎ウイルスの二次感染者とは、B型肝炎ウイルスの一次感染者である親からB型肝炎ウイルスに感染した方をいいます。B型肝炎ウイルスの二次感染者だったことを証明するためには、次の要件を満たしていたかを確認する必要があります。

  • 母親が一次感染者の要件をすべて満たしている
  • 二次感染者本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していた
  • 感染経路が母子感染

3. 遺族が請求する方法と注意点

遺族の方が給付金を請求する際には、亡くなられた方がB型肝炎ウイルスの一次感染者または二次感染者であることを証明する資料を収集し、国に対して訴訟提起をする必要があります。そして、遺族の方が請求する際には、次の点にも注意が必要です。

(1)必要な資料の収集が難しい場合がある

給付を受けるためには、亡くなった方がB型肝炎給付金請求の対象であると証明する必要がありますが、そのためには、病院の診断書・カルテなど様々な証拠をそろえる必要があります。

しかしながら、ご本人が亡くなっている場合、証拠をそろえるための検査などを行うことはできません。そのため、ご本人が亡くなった場合の資料を個人で集めることはとても難しくなります。ご本人が亡くなった時点で、訴訟に必要な資料を処分していることも少なくありません。

遺族の方だけでは資料の収集が難しい場合には、弁護士のサポートを受けることが有効な手段となります。

(2)遺族の方も感染している可能性がある

B型肝炎ウイルスに感染したことが原因でご家族が亡くなった場合、遺族の方も母子感染などによってB型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。そのため、ご自身が感染していないかを確認することが大切です。もし、感染していた場合には、亡くなった方の給付金の請求とあわせて、ご自身の給付金も請求すると良いでしょう。

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