給料未払い、どこに相談したらいい?

給料未払い、どこに相談したらいい?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

会社の給料が未払いとなっている場合、協議・労働審判・訴訟などを通じて回収を図る必要があります。

給料未払い(給与未払い、賃金未払い)については、労働基準監督署でも相談を受け付けていますが、弁護士に相談する方が直接的な解決を期待できます。できるだけ早期に未払い給料(未払い給与、未払い賃金)を回収したい方は、お早めに弁護士へご相談ください。

今回は、給料未払いのパターンや消滅時効期間、主な相談先などを解説します。

1. 給料未払いとは?

給料未払いとは、会社から支払われるべき給料が支払われないことを意味します。

賃金(給料)は、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければならないとされています(労働基準法第24条第1項)。さらに毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないことも定められています(同条第2項)。

したがって、給料未払いは労働基準法違反であり、かつ労働契約上の債務不履行に該当します。従業員は会社に対して、未払いとなった給料を直ちに支払うよう請求することが可能です。

(1)給料未払いの主なパターン

給料未払いのパターンとしては、主に以下の例が挙げられます。

①残業代の未払い

残業時間が少なく計上されている、労働基準法に基づく適切な割増賃金率が適用されていないなどの理由から、残業代が未払いとなるパターンです。

②有給休暇の無給扱い

有給休暇を取得したにもかかわらず無給扱いにされた結果、給料の一部が未払いとなるパターンです。

③弁償代などの名目による給料天引き

備品を壊した、仕事でミスをしたなどの理由により、弁償代や罰金などの名目で給料の天引きを行う会社が一部に見受けられます。従業員による同意のない給料の天引きは、全額払いの原則(労働基準法第24条第1項)に違反する行為であり、天引き分は未払い給料に当たります。

(2)未払い給料請求権の消滅時効期間

未払い給料請求権は、行使できるときから3年で時効消滅します(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。たとえば、2023年1月31日に支払われるべき給料が未払いとなった場合、2026年1月31日が経過した段階で、未払い給料請求権は時効消滅してしまいます。

未払い給料請求権は時効消滅を防ぐには、内容証明郵便の送付・労働審判の申し立て・訴訟提起など、時効の完成を阻止する手続きをとらなければなりません(時効の完成猶予または時効の更新)。時効期間が経過する前に対応が必要になるため、早めに準備を進めることをおすすめいたします。

2. 給料未払いの主な相談先

未払いとなった給料の回収に関する相談先としては、労働基準監督署と弁護士が挙げられます。

(1)労働基準監督署

労働基準監督署は、労働基準法その他の労働法令の遵守状況につき、各企業を監督する行政機関です。

給料未払いは労働基準法違反に当たるため、労働基準監督署による行政指導や刑事処分の対象となります。従業員からの申告を受け、違反の可能性があると判断した場合、労働基準監督署は会社に対する立ち入り調査(臨検)を行います。そして、実際に違反の存在を認めた場合は、行政指導や刑事処分を行い、違反状態の是正を図ります。

会社全体に横行する給料未払いを解消したい場合には、労働基準監督署に相談するのがよいでしょう。ただし労働基準監督署は、従業員のために直接行動してくれるわけではありません。あくまでも監督官庁としての立場から、労働基準法違反に当たる給料未払いの是正を図るにとどまる点に注意が必要です。

(2)弁護士

弁護士は、法律トラブルの解決を取り扱う専門家です。給料未払いに悩む従業員の方のために、未払い給料の回収についても相談を受け付けています。

弁護士は、給料を適切に支払わない会社に対し、依頼者である従業員のために直接請求を行います。支払いの交渉だけでなく、労働審判や訴訟などの法的手続きについても、弁護士には依頼可能です。すでに未払いとなっている給料をスムーズに回収したい場合は、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

3. 未払い給料を回収するには弁護士に相談を

未払いとなった給料を会社に請求したい場合は、労働基準監督署ではなく弁護士に相談する方が、早期の解決につながります。労働基準監督署とは異なり、弁護士は従業員の代理人として、会社に対して直接未払い給料を請求できるためです。

弁護士を通じて連絡することで、会社は未払い給料の支払いに応じる可能性が高まります。また、労働審判や訴訟などの法的手続きが必要になった場合にも、弁護士に依頼していればスムーズに対応してもらえます。

会社から適切に給料が支払われずお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年02月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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