公務員でも残業代請求できる! 未払い分の計算方法や相談先は

公務員でも残業代請求できる! 未払い分の計算方法や相談先は

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

安定した職業として人気がある公務員ですが、公務員が残業をした場合に、民間企業の労働者と同じように残業代が支払われるのかどうか気になる方もいるかもしれません。公務員には、大きく分けて国家公務員と地方公務員の2種類がありますが、それぞれ残業代を請求する場合の根拠が異なってきます。

今回は、公務員の方に向けて、残業代請求の可否とその方法について解説します。

1. 公務員の残業代とは

公務員にも残業代が支払われるのでしょうか。以下では、国家公務員と地方公務員について、残業代請求の法的根拠について説明します。

(1)国家公務員

国家公務員とは、国の機関に勤務する公務員のことをいいます。

民間企業の労働者であれば、労働基準法が適用されますので、労働基準法を根拠にして会社に対して残業代を請求することができます。これ対して、国家公務員は、円滑な公務の運営が要求されますので、民間企業の労働者のように労働基準法が適用されることはありません。その代わり、国家公務員には、「勤務時間法」という法律が適用されます。

そして、「一般職の職員の給与に関する法律」によって超過勤務手当が規定されていますので、この法律に基づいて、国家公務員は、残業代を請求することができます。

(2)地方公務員

地方公務員とは、都道府県、市区町村などの地方自治体に勤務する公務員のことをいいます。

地方公務員に対しては、一部の職種を除き、残業代の支払いに関する労働基準法の規定がそのまま適用されます。そのため、地方公務員は、民間企業の労働者と同様に、労働基準法を根拠として残業代を請求することができます。

2. 公務員の残業代計算方法

公務員の残業代については、以下のような方法によって計算をします。

(1)国家公務員

国家公務員の残業代(超過勤務手当)は、「一般職の職員の給与に関する法律」によって、以下のように計算します。

超過勤務手当の金額=1時間あたりの給与額×支給割合×勤務時間数

①1時間あたりの給与額

1時間あたりの給与額は、以下の計算によって求めます。

1時間あたりの給与額=(月額給与+手当)×12÷(1週間あたりの勤務時間×52)

なお、月額給与に加算される手当には、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当が含まれます。

②支給割合

支給割合とは、民間企業の労働者でいうところの割増率にあたるものです。国家公務員の場合の割増率は、以下のようになります。

  • 平日の残業:25%
  • 休日の残業:35%
  • 深夜(午後10時から午前5時)の残業:上記に25%を加算
  • 月60時間以上の残業:50%

(2)地方公務員

地方公務員の残業代(時間外勤務手当)は、以下のように計算します。

時間外勤務手当の金額=1時間あたりの給与額×支給率×勤務時間数

①1時間あたりの給与額

1時間あたりの給与額は、以下の計算によって求めます。

1時間あたりの給与額=(月額給与+手当)×12÷(1週間あたりの勤務時間×52)

月額給与に含まれる手当については、自治体の条例によって異なりますので、各自治体の条例を確認してみるとよいでしょう。

②支給率

支給率とは、民間企業の労働者でいうところの割増率にあたるものです。地方公務員の場合の支給率は、各自治体の条例によって異なってきますが、おおむね以下のような内容になります。

  • 平日の残業:25%
  • 休日の残業:35%
  • 深夜(午後10時から午前5時)の残業:上記に25%を加算
  • 月60時間以上の残業:50%

3. 公務員の残業代に関する相談先

民間企業の労働者であれば、残業代の未払いが生じた場合には、労働基準監督署に相談をすることができますが、公務員の場合にはどこに相談をしたらよいのでしょうか。

(1)国家公務員

国家公務員は、労働者ではなく、労働基準法も適用されませんので、残業代の未払いがあったとしても基本的には労働基準監督署に相談をすることはできません。

その代わり国家公務員は、人事院や所属府省の人事担当部局などの相談窓口に相談をすることができます。残業代の未払いやサービス残業などでお悩みの際には、上記の相談窓口で相談をしてみるとよいでしょう。

(2)地方公務員

地方公務員の場合は、職員の区分によって、以下のように相談先が異なります。

①労働基準監督署が相談窓口となる地方公務員

  • 地方公営企業の職員
  • 単純労務職員
  • 特定独立行政法人の職員
  • 労働基準法別表第1、第1号~10号および13号から15号に該当する職員
  • 特別職

②人事委員会が相談窓口となる地方公務員

  • 一般行政職
  • 教員
  • 警察官、消防職員

このように、公務員の方は、超過時間勤務について民間の労働者とは異なる扱いを受けますので、自身の超過勤務の取扱いについては、一度しっかり確認しておくと良いでしょう。

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