過労死ラインは何時間を超えた労働をいう? 違法が判明したらどうするべきか

過労死ラインは何時間を超えた労働をいう? 違法が判明したらどうするべきか

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

日本では働き方改革が進められ、長時間労働の見直しが行われています。しかし、見直しの実現ができているのは未だ一部の企業にとどまります。

長時間労働は過労死とも深く関係していて、ニュースでは「過労死ライン」という言葉がよく使われています。

そこで今回は過労死ラインとは何か、また長時間労働に悩んでいる場合はどう対応すればいいのかを解説します。

1. 過労死ラインとは

長時間労働が続くと、体や心にさまざまな悪影響が生じ、過労死のリスクが高まります。それを防ぐための判断基準としてよく用いられるのがいわゆる「過労死ライン」です。

(1)過労死ラインとは

過労死とは「仕事の過重な負担により、脳・心臓疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)を発症し死亡すること」「業務の強いプレッシャーにより心の病気になり自殺を図り死亡すること」です。

「過労死ライン」とは、過労死のリスクが高まるとされる残業時間の目安(ライン)のことです。

厚生労働省の「脳・心臓疾患の認定基準」で示された時間が過労死ラインとされています。主に労働災害認定の際に、長時間労働と健康障害の因果関係を図るひとつの指標として使われています。

令和3年に基準の見直しが行われました。時間の変更はなく下記のとおりとなっています。

  • 発症の1か月前から発症までの残業時間が100時間
  • 発症の2〜6か月前から発症までの残業時間が月80時間

もっとも、基準の見直しにより、これに近い残業時間である場合や労働時間以外の負荷要因(休憩時間が短い、休日のない連続勤務など)がある場合、関連性が強いと評価されるようになり、過労死ラインの残業時間を超えていなくても労災認定を受ける可能性がでてきました。

月の残業時間が45時間を超え、長くなればなるほど脳・心臓疾患を発症しやすくなるとされています。また残業が過労死ラインを超えた場合には、過労死との関連性が強いとみなされます。

2. 未払いの残業代を請求するには

過労死ラインを超える残業が常態化している場合、サービス残業が横行していたり、残業代の未払いが発生している可能性があります。

長時間労働を強いられたうえに、きちんと働いた分の残業代を受け取れていないという状況は、すぐに改善されなければいけません。

(1)未払い残業代の請求方法

未払い残業代が発生している可能性がある場合、まずは事実関係を確認したうえで、会社に支払いを求めましょう。請求の流れは以下の通りです。

  1. タイムカードなど残業代がわかる証拠の収集
  2. 正確な未払い残業代を計算
  3. 未払い分の支払いを求めて会社と交渉
  4. 交渉が決裂した場合は労働審判や訴訟といった法的手続に移行

未払い残業代の請求は個人でも可能ですが、労働者がかけあっても払ってもらえないケースは少なくありません。また会社と直接交渉するのはこわいという方もいるでしょう。

その場合は弁護士にサポートを頼みましょう。残業代の計算から証拠の収集、会社との交渉の代行、裁判までトータルでサポートしてくれるはずです。

(2)会社の対応に違法性がある場合

労働基準法では、労働時間の上限を「1日8時間、週40時間」と定めています。これを超えた分は時間外労働となり、割増賃金、つまり残業代が発生します。正しい残業代を支払っていない場合には、当然違法です。

また法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合、労使間で「36協定」を締結しなければいけません。この協定を結ばずに残業をさせることは労基法違反です。加えて、36協定で認められる残業時間は月45時間ですが、臨時的にさらなる残業をすることを定めた「特別条項」を作っていない場合、この時間を超過した残業は違法です。

このように会社の対応に違法性がある場合には、すぐに労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

3. 長時間労働で困ったら

長時間労働や残業代の未払いに悩んでいても、会社に直接伝えて改善を求めることは非常に勇気がいるでしょう。その場合にはまず、次のような窓口に相談しましょう。

(1)労働基準監督署

労働基準監督署では、長時間労働や労働条件、解雇などのあらゆる労働トラブルについて、無料で相談を受け付けています。

労働問題に詳しい職員が、対応方法についてアドバイスしてくれるほか、必要に応じて会社に聞き取りをするなどして調査し、指導や是正勧告を行います。

ただし労基署は会社と労働者の話し合いを仲介するなど、直接的に解決をサポートしてくれるわけではありません。また多忙のため、迅速に動いてもらえない可能性もあります。

(2)弁護士

過労死ラインを超える長時間労働をしている場合には、健康障害がでる可能性があり、できるだけ早く改善を図る必要があります。

弁護士に相談すれば労働者に代わって会社と交渉し改善を促してくれるほか、未払い残業代の計算、証拠の収集、会社への請求や裁判などトータルでサポートしてくれるでしょう。

特に残業代の請求には時効があるため、未払いがある場合にはすぐに相談しましょう。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年11月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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