- (更新:2023年02月13日)
- 労働問題
名ばかり管理職だったら、残業代の請求が可能! 残業代の獲得方法は?
会社で「店長」や「マネジャー」という肩書を有している方は、会社から「管理職だから残業代は出ない」といわれていませんか。
労働基準法では、「管理監督者」に対しては、残業代を支払う必要はないとされていますが、単に肩書だけで判断されるものではありません。
管理職だといわれている方のなかには、「名ばかり管理職」として残業代を請求できる場合もあります。過去には、バイス・プレジデントと呼ばれながら、管理監督者にあたらないと判断されたケースもあるくらいです。
今回は、残業代請求が可能な「名ばかり管理職」について解説します。
1. 名ばかり管理職ではない、「管理監督者」とは
管理職としての肩書が与えられていたとしても、実体の伴わない「名ばかり管理職」である場合には、残業代の不支給は違法となる可能性があります。残業代の支払いが不要なのは、労働法上の「管理監督者」のみです。
(1)管理監督者とは
労働基準法41条2号の「管理監督者」に該当する場合には、残業代の支払いが不要とされています。その理由は、管理監督者は、経営者と一体的な立場にあり、賃金などの面で通常の労働者に比べて優遇されているため、割増賃金の支払いを不要としても保護に欠けることがないということが挙げられます。
管理職としての肩書を与えられている方が、労働基準法でいう、管理監督者にあたる場合には、残業代を支払う必要はありませんが、実際には、単に肩書だけで管理監督者とみなされている名ばかり管理職の方も少なくありません。そのような方々が、名ばかり管理職です。名ばかり管理職は、労働基準法上の管理監督者にはあたりませんので、残業代の不支給は違法となります。
(2)名ばかり管理職と管理監督者の区別
残業代の支払いが不要である管理監督者にあたるかどうかは、以下のような基準で管理監督者性が判断されます。
①会社の経営に関与する重要な職務内容であること
管理監督者というためには、経営者と一体的な立場にあり、会社全体の経営に関与する権限を有している必要があります。会社の経営会議に参加し、意見を述べることができるような方が管理監督者といます。
②労働条件・労務管理について重要な責任と権限があること
管理監督者というためには、担当部署を管理監督する責任と権限を与えられている必要があります。
たとえば、飲食店においては、労働時間や採用の管理を任されていること、一般企業においては、部下の人事考課が権限に含まれているかどうかが判断のポイントになります。
③実際の勤務態様が労働時間などの規制では管理が難しいこと
勤務時間についてある程度の自由裁量が与えられている場合には、管理監督者であると判断されやすくなります。
たとえば、遅刻や早退をしたときに通常の労働者のように、減給をされない場合には、管理監督者を肯定する要素となります。
④その地位にふさわしい待遇を受けているか
管理監督者といるためには、通常の労働者よりも賃金などの待遇で優遇されていなければなりません。単に管理職としての手当てをもらっているだけでは足りず、それが他の同労者と比べて十分な優遇をされているかがポイントです。
2. 会社と交渉し残業代を獲得する方法
名ばかり管理職にあたる労働者は、以下のような方法で会社に対して残業代請求をすることができます。これらの手続きは、それ単体で行われるのではなく、その次のステップを意識して行う必要があるため、弁護士と共に先まで見通しを立てておく方が有益です。
(1)証拠の収集
残業代を請求するためには、残業をしていたことおよび残業時間を証明するための証拠を収集しなければなりません。
そのための証拠としては、出勤簿、タイムカード、雇用契約書、就業規則、給与明細などが必要になります。
(2)会社との交渉
証拠の収集が終わり、それに基づき残業代を計算することができたら、会社に対して未払いの残業代を請求していきます。
会社が話し合いに応じてくれれば、早期解決も可能ですが、さまざまな理由をつけて支払いを拒むことがありますので、話し合いだけでは未払いの残業代の支払いには応じてくれないこともあります。在職中の労働者の場合には、立場上会社に対して強くいえないところがありますので、当事者同士の話し合いではなかなか解決することが難しいでしょう。
(3)労働審判を申し立てる
会社との話し合いで解決しない場合には、労働審判を申し立てるという方法があります。
労働審判とは、労働紛争を原則3回以内の期日で審理し、解決を目指すという裁判所の紛争解決手続きをいいます。
訴訟よりも早期かつ柔軟な解決ができるというメリットがありますので、必要に応じて利用を検討することになります。
(4)訴訟を提起する
会社との話し合いや労働審判でも解決できない場合には、最終的には訴訟を提起することになります。訴訟手続きを適切に進めるためには、それまで以上に法的な経験と知識が必要になりますので、弁護士のサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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