残業代の計算方法をわかりやすく解説! 固定残業の場合はどうなる?
  • 2021年07月21日
  • 労働問題

残業代の計算方法をわかりやすく解説! 固定残業の場合はどうなる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

労働者が時間外労働をした場合には、会社は、残業代を支払わなければならないとされています。給与明細では、「時間外手当」として支給されていたとしても、それが正しく計算されたものであるか、きちんと確認したことがある方は少ないでしょう。

残業代が適切に支払われているかどうかを知るためには、残業代計算の基本を理解しておくことが有益です。

今回は、残業代の基本的な計算方法についてわかりやすく解説します。

1. 残業代の基本的な計算方法

以下では、残業代を計算するにあたっての基本的な知識や具体的な計算方法を説明します。

(1)残業時間とは

残業時間には、大きく分けて「法定外残業」と「法定内残業」の二種類があります。
法定外残業とは、労働基準法で定められている「1日8時間または1週40時間」という法定労働時間を超えた残業のことをいいます。
法定内残業とは、会社が定める所定労働時間を超えるものの、労働基準法が定める法定労働時間の範囲内で行われる残業のこといいます。
労働基準法上の割増賃金の支払い義務があるのは、法定外残業です。法定内残業についても会社の就業規則や労働契約などによって割増賃金が支払われることがありますが、法律上の義務ではありません。

(2)残業代の割増率とは

法定外残業がなされた場合には、会社は、労働者に対して、原則、労働基準法が定める割増率により計算した割増賃金を支払わなければなりません。
法定外残業の割増率は、労働基準法では通常賃金の1.25倍などと定められています。
なお、労働契約や就業規則において、労働基準法以上に有利な割増率が定められている場合には、その有利な割増率が適用されます。

(3)残業代を計算する方法

残業代は、以下のような計算式によって計算します。

残業代=1時間当たりの基礎賃金×残業時間×割増率

残業時間と割増率については、すでに説明したとおりです。後は「1時間当たりの基礎賃金」が明らかになれば、具体的な残業代が明らかになります。通常の月給制の場合、1時間当たりの基礎賃金は、以下のような計算式で計算します。

1時間あたりの基礎賃金=月給÷1か月あたりの平均所定労働時間

たとえば、月給32万円、1年間の勤務日数が240日、1日の所定労働時間が8時間の場合、1時間当たりの基礎賃金は、以下のように計算できます。

32万円÷(8時間×240日÷12か月)=2000円

なお、基礎賃金を計算する際の月給には、以下の手当は含みません。
給与明細などに以下の手当が記載されている場合には、その金額を月給から差し引くことになります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

2. 固定残業代の場合、どう計算するのか

毎月定額の固定残業代が支払われている場合には、残業代計算をどのように行えばよいのでしょうか。

(1)具体的なケースでの計算方法

ある労働者が月給32万円、1年間の勤務日数が240日、1日の所定労働時間が8時間、固定残業代30時間分として毎月8万円が支給されていたとします。

この労働者のある月の残業時間(法定外残業)が40時間であった場合には、どのくらいの残業代が発生するのでしょうか。

固定残業代の賃金体系が採用されている場合には、残業をしたとしてもあらかじめ定められた残業時間の範囲内であれば固定残業代以外の残業代は支払われません。この労働者の場合、30時間分の固定残業代が毎月支払われていますので、残業時間が30時間以内であれば、固定残業代の他に残業代を支払う必要はありません。

しかし、上記のケースでは、固定残業代として予定されている30時間を超えていますので、以下のとおり残業代を支払う必要があります。

1時間あたりの基礎賃金:32万円÷(8時間×240日÷12か月)=2000円
残業代:2000円×10時間×1.25(割増率)=2万5000円

(2)固定残業代が無効になる場合

固定残業代は、面倒な残業代計算が不要になり、また、予定していた残業代に満たない場合にも定額の残業代が支払われるということから、会社側にも労働者側にもメリットがある制度です。

しかし、固定残業代は、適切に運用しなければ労働者が本来もらえるべき割増賃金が貰えなくなる結果となるため、固定残業代といえるかどうかは厳格に判断されます。
固定残業代の支給によって割増賃金が支払われたものとなるためには、通常の労働時間に対する賃金部分と時間外労働時間に対する割増賃金部分とが明確に区別されており、かつ、割増賃金部分が労働基準法の計算方法による額以上である場合に限られます。

固定残業代が無効と判断された場合には、固定残業代名目で割増賃金の支払いを受けていたとしても、月給と固定残業代名目の金額を合わせた金額を月給とみなし、割増賃金が計算されます。このように、月給と固定残業代名目の金額の他に、別途、残業時間に応じた残業代を請求することができるのです。

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