- (更新:2023年02月03日)
- 労働問題
建築業界でも残業代は発生する。未払い残業代を請求する方法を解説
建築業界の仕事は、残業が多いというイメージがあります。とくに、施工管理や建築設計の仕事については、その仕事の性質や内容から建築業界のなかでも残業が多い傾向にあります。
建設業関連の仕事は、現在、残業時間の上限規制が除外されています。しかし、上限規制が除外されているからといって、企業に対して残業代を請求できないというわけではないのです。
ここでは、建築業界で残業が多い理由や残業代を請求する方法について解説いたします。
1. 建築業界で残業が多い理由
建築業界では、以下のような理由から残業が多いといわれています。
(1)仕事量の多さ
施工管理の仕事に従事している方は、日中は、現場監督として職人と一緒に現場で働きます。職人たちは夕方になると帰っていきますが、施工管理の担当者は、現場作業が終了した夕方以降にも事務作業を行うことになります。その作業の内容は、工事写真の整理、図面の作成、書類作成、報告業務などの多岐にわたります。
事務作業として行う仕事量も多いため、残業をしなければ仕事が片付かない、という状況が常態化しているのです。
(2)工期の遵守
建築業界では、あらかじめ決められた工期内に建設物を完成させることが求められます。工期を過ぎてしまうと、施主との信頼関係が崩れるだけでなく、場合によっては遅れた分の損害を賠償しなければならないこともあるためです。
建設現場では、天候不良、資材の未着、設計変更など作業を遅延させる出来事が日常茶飯事です。そのため、予定していたスケジュールよりも工事の進捗が遅れる事態が多発します。
しかし、「工期は遵守しなければならない」という建設業界に特有の事情があるために、大半の場合は、残業をしてでも遅れを取り戻そうとすることになります。
結果として、とくに現場作業ののちに事務作業を行わなければならない施工管理職は、かなりの長時間残業を強いられることになるのです。
(3)現場でのトラブル対応
建築業界では、設計ミス、近隣からの苦情、事故の発生など、予期せぬトラブルが現場で発生することがあります。そのような場合には、予定した仕事を棚上げにして、早急に対応しなければなりません。
日中にトラブル対応に追われてしまうと、本来やるはずであった仕事については、トラブル対応後に残業をして処理しなければならなくなるのです。
何のトラブルもなく予定通り進行していけば、残業をしなくてもすすむスケジュールであっても、実際にはなんらかのトラブルが発生して対応に追われることのほうが大半です。したがって、施行管理の担当者が残業を避けることは難しいのです。
2. 未払い残業代を会社に請求する方法は?
建築業界で働く方であっても、未払いの残業代があれば、会社に対して請求する権利を持ちます。弁護士に依頼すれば、以下の方法によって残業代を請求することができます。
(1)交渉による請求
残業代を請求するには、まずは会社と話し合いを行い、交渉による解決をはかりましょう。ただし、労働者個人で会社と交渉をしたとしても、労働者は会社に比べて圧倒的に弱い立場にあるため、会社側がまともに交渉に応じない事例が多々あります。
そのようなときには、弁護士に残業代請求を依頼するとよいでしょう。弁護士であれば、労働者に代わって、会社と残業代についての交渉を行うことができます。弁護士が法的観点から説得的に話し合いをすすめることによって、話し合いによる早期解決を実現できる可能性が高められるのです。
また、弁護士に依頼することには、残業代の計算や証拠の収集などの面倒な手続きを代行させたりサポートさせたりすることができる、というメリットもあります。労働者個人でこれらの手続きを正確に行うことは非常に困難であるため、弁護士に依頼することをおすすします。
(2)労働審判の申し立て
話し合いを行っても会社が残業代の支払いに応じないときには、労働審判を申し立てることで解決する場合もあります。
労働審判とは、裁判官1名と労働審判員2名による労働審判委員会が、労働者と使用者の紛争を原則3回以内の期日で審理して、解決をはかるという裁判所の紛争解決手続きのことを指します。
労働審判では、労働問題に詳しい労働審判員が労働者と使用者の間に入って調整を行うため、当事者同士で話し合いをするよりも円満かつ柔軟な解決を見込むことができます。また、原則3回以内の期日で終了するために、何年もかかる可能性のある訴訟よりも早期に解決することが期待できるのです。
(3)訴訟の提起
会社との話し合いや労働審判でも事態が解決せず、未払いの残業代を支払ってもらえない場合には、訴訟を提起して最終的な解決をはかることになります。訴訟では、法的根拠に基づいて主張と立証を行っていく必要があります。
そして、主張や立証をする際には、法律上のルールに則って行わなければなりません。したがって、訴訟を適切にすすめていくためには専門的な知識と経験が不可欠となるのです。
訴訟を行うための手続きも煩雑です。そのため、訴訟を提起する際には、弁護士に依頼するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月03日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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