- (更新:2023年02月03日)
- 労働問題
コンサルタント会社の社員が未払い残業代を請求する方法を解説
コンサルタントの仕事は、「高額な年収を得られる」というイメージがある反面、その仕事内容は非常にハードであることでも知られています。
法律上、労働者は、残業代を会社に請求する権利を持ちます。もちろん、コンサルタント会社の社員であっても残業代を請求する権利がありますが、実際には、さまざまな理由から適切な残業代が支払われていない状況にあるのです。
本記事では、コンサルタント会社の社員が未払い残業代を請求する方法について解説します。
1. コンサルタント会社で残業が多い理由
コンサルタント会社は、以下のような理由から残業が多いといわれています。
(1)コンサルタント会社の業務内容
コンサルタント会社の業務は、「プロジェクト」がベースになります。そして、プロジェクトによって定められた納期までに成果を出すために、所定の労働時間だけでは足りず残業をしなければいけなくなることが多いのです。
また、必要となる知識はプロジェクトごとに異なります。未経験の分野について知識を習得するためには、所定の労働時間のほかにも勉強のための時間を設ける必要があります。クライアントとの信頼関係を築くためには、短期間のうちに予備知識をインプットしなければいけません。したがって、勉強や準備のために一日当たりに割く時間も、必然的に長くなってしまうのです。
ただし、実際には、残業の多さはコンサルティング会社によっても異なります。マネージャーによるタスク管理が適切に行われていれば、コンサルティング会社であっても残業がほぼ発生しない場合もあります。
(2)コンサルタントの仕事の特性
コンサルタントの仕事には、資料作成やミーティングに多くの時間を取られるという特徴があります。企業の経営陣であるクライアントに対して、説得的な内容を提案するためには、作成する資料の完成度も高いレベルのものが求められるからです。
また、コンサルタントの業務には、あらかじめ決まった答えというものは存在しません。そのため、不測の事態が発生することも多々あり、その日のうちに対応を迫られることもあるのです。
上述したような業務の特性からも、コンサルタント会社の社員には残業が発生しやすくなっているのです。
(3)プロフェッショナルとしての意識
コンサルタントは、「企業の医者」といわれることもある職業です。クライアントである企業が抱える経営上の問題について、解決策の検討と提案を行い、実現していくことを仕事としています。
したがって、コンサルタント会社で働いている方は、会社員でありながらも、医者や弁護士のようなプロフェッショナルとしての意識やプライドを持っていることが多いのです。そのため、「抱えている案件を適切に処理するためなら、残業も仕方ない」と考えて、自発的に残業を行うことも一般的になっているのです。
2. 未払い残業代を会社に請求する方法は?
コンサルタント会社の社員であっても、残業代を請求することはできます。
以下では、弁護士を通じて未払い残業代を請求する方法について解説いたします。
(1)交渉による請求
弁護士は、労働者の代理人となって、会社の交渉を代行することができます。
また、会社に対して残業代を請求するためには、残業をしたことや残業時間を証明するための証拠が必要になります。労働者の手元にそれらの証拠がなかったとしても、弁護士に依頼すれば、証拠の収集をサポートさせたり代行させたりすることができるのです。
実際に残業代を請求する際には、収集した証拠に基づいて具体的な残業代を計算したうえで、会社に対して請求を行う必要があります。残業代の計算は複雑になりがちですが、弁護士に任せることで、正確な金額を計算してもらうことができるでしょう。
また、労働者個人が残業代を請求しても、会社側が真摯に取り合わないという場合があります。しかし、弁護士を通じて請求することによって、労働者側が未払い残業代の請求に本気であることを、会社側に対して伝えられます。そのため、会社が態度を改めて請求に応じてくれて、問題が早期解決する可能性が高まるのです。
(2)労働審判の申し立て
会社との交渉では埒が明かないときには、「労働審判」という法的手続きを行うことで、未払い残業代の問題が解決する場合があります。
労働審判とは、裁判官1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が労働紛争を原則3回以内の期日で審理して解決を目指す、裁判所を利用した紛争解決手続きのことです。
労働審判には、訴訟よりも早期に解決することができ、事案に即した柔軟な解決がなされるというメリットがあります。
(3)訴訟の提起
話し合いや労働審判で解決しない場合には、最終的に訴訟を提起して解決を図ることになります。
ただし、訴訟では、法廷において証拠に基づいて正確な主張を展開する必要があります。また、訴訟を提起するための手続き自体が、専門的なものとなっています。したがって、訴訟手続きを労働者個人ですべて適切に行うことは非常に困難であるといえるでしょう。
本来なら残業代の請求が認められるだけの証拠や正当性が存在する事案であっても、適切な主張や立証を行なうことで、敗訴してしまうおそれがあるのです。
そのため、未払い残業代を請求するための訴訟を起こす際には、労働問題に詳しい弁護士に依頼をすることが最善であるといえます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月03日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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