ネットで誹謗中傷されて訴訟するときに必要な証拠と手順について
  • 2021年06月07日
  • インターネット

ネットで誹謗中傷されて訴訟するときに必要な証拠と手順について

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

最近では、ネットで誹謗中傷されて自殺する人も出てくるなど、SNSの弊害が社会問題化しています。自分がネットで誹謗中傷された場合、どう対処すればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はネットで誹謗中傷を受けた場合に、書き込みをした相手を訴える方法や手続きの流れ、また、裁判を行うためにおさえるべき証拠などについて解説します。

1. 誹謗中傷を受けた場合にとれる法的手段

(1)民事手続

ネットで誹謗中傷を受けた場合、まず考えるべきは民事的な手続きになります。相手を特定した上で、訴えを提起して不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)請求をしていくことになります。

(2)刑事手続

民事で解決することが基本になりますが、あまりにも悪質な誹謗中傷が繰り返し行われるような場合には、刑事告訴することも検討する必要があります。具体的には、名誉毀損(きそん)罪や業務妨害罪として警察に刑事告訴することになります。

なお、名誉毀損罪は、被害者が告訴しなければ公訴を提起されない親告罪なので、「犯人を知った日から6か月を経過」すると告訴できなくなります(刑事訴訟法235条)。犯人を知った日というのは、犯人が誰かがわかる程度で十分で、住所などがわかっていなくても構いません。

ただし、刑事告訴しても、捜査機関が告訴状を受理するとは限りません。特に告訴状がしっかりと書かれてないと受理されないので、告訴状を作成する場合には捜査機関に相談するなどきちんと調べた上で作成する必要があります。

2. 訴訟を起こすための手順と必要な準備

(1)相手の特定

相手が特定できなければ裁判所に訴えることすらできませんので、民事でも刑事でも、相手を特定するところから始める必要があります。具体的には、「発信者情報開示請求」の手続きを行うことになります。発信者情報開示請求が認められるためには、当該投稿により権利侵害が明白であり、情報開示を行うことにつき正当な理由が認められることが必要です。

また、接続プロバイダの記録は3か月程度で消えてしまうので、相手を特定するためには迅速な行動が求められます。手続きとしては、サイト運営者にIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。しかし、仮処分などの裁判所の命令がないと通常は開示してくれないので、すみやかに裁判所に仮処分の申し立てをする必要があります。仮処分命令が出れば、IPアドレスとタイムスタンプは開示されます。

IPアドレス等がわかったら、IPアドレス等の情報から接続プロバイダを特定できるので、そこに発信者情報開示請求を行い、契約者である相手の氏名と住所を特定します。こちらも、単に請求するだけでは開示してくれないので、IPアドレス等を削除しないようログの保存を接続プロバイダに依頼したのち、発信者情報開示請求訴訟を起こして判決を得る必要があります。判決が出れば、相手の名前や住所が特定できます。

(2)証拠の確保

発信者情報開示請求の手続きにより相手が特定できても、証拠がなければ裁判で戦うことはできないため、証拠を確保しておくことが必要になります。掲載サイトによってはいつでも投稿内容を削除できるので、削除されてしまっては該当の投稿を見ることができなくなります。誹謗中傷されている内容を見つけた場合にはスクリーンショットで保存しておくなどして、証拠を集めておくことが重要です。

(3)民事手続

相手の特定と証拠が確保できれば、後は加害者に対して、慰謝料を請求していくことになります。まずは内容証明郵便で慰謝料請求をするのが一般的です。その際、内容証明郵便を送付すれば、相手も誹謗中傷をやめ、慰謝料を支払ってくる場合もあります。それでも無視するような場合には訴えを提起することになります。

訴えを提起する場合、手続きとしては、訴状を作成して裁判所に提出することになります。その後、複数回弁論が行われ、判決ということになります。したがって、通常、1年以上かかります。

(4)刑事手続

刑事手続きについては、告訴状を作成して警察署に提出します。警察で受理されると、捜査が開始されます。犯人の特定や投稿内容の確認などが行われますが、名誉毀損罪の場合、逮捕されないケースが多いでしょう。

捜査の結果、立件する必要があると判断されると、検察庁に事件記録が送付されます。検察官の取り調べにおいて本人が罪を認めれば、略式起訴で罰金となることが多いようです。

ネットで誹謗中傷されるということは、世界中の人の前で批判されているのと同じことなので、精神的に非常につらいものがあります。ネットの匿名性から、発言は過激化しやすい傾向があるので、あまりにひどい場合には法的措置で対抗するしかありません。

しかし、発信者情報開示など、裁判所での手続きが必要となるため、個人で行うことは非常にハードルが高いと言えます。ひとりで抱え込まずに弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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