個人情報を漏洩されたらどうしたらいい? 警察に相談すべきケースは?

個人情報を漏洩されたらどうしたらいい? 警察に相談すべきケースは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

もしもSNSなどで自分の個人情報を漏洩されてしまった場合、警察に相談するべきなのでしょうか。

本コラムでは、個人情報とは何かという基本知識からはじめ、個人情報漏洩の危険性や漏洩してしまった際の対処法について解説します。

1. 個人情報とは

個人情報保護法が定める個人情報とは、特定の個人を識別できる情報のことを指します。名前、住所、電話番号、メールアドレスなどが該当しますが、それだけで誰の情報なのか特定できるものだけでなく、他の情報と組み合わせることで誰を指しているのか識別できる情報も含まれます。

個人情報保護法では、こうした個人情報に関して、本人の許可なく収集・利用したり、第三者へ提供したりすることを禁じています。もちろん、SNSなどで勝手に他者の個人情報を拡散する行為も該当します。

2. 個人情報を漏洩されたら

個人情報の漏洩は、プライバシーの侵害にあたるだけでなく、本人に大きな被害を与えることもあります。個人情報を不正に取得した人間が、一体どのような行為に出るかはわかりません。中には、警察に相談すべき被害が出る場合もあります。

(1)警察に相談すべきケース

個人情報漏洩から警察沙汰になるケースとしては、たとえば以下の状況が考えられます。

まず、住所や連絡先、顔写真などの個人情報が知られたら、嫌がらせの電話やメールをされたり、待ち伏せなどのストーカー被害を受けたりする可能性があります。その結果、さらに深刻なプライバシーの侵害につながったり、心身の健康や安全を害されたりするおそれもあります。

あるいは、取得した個人情報を基に、SNSやネット掲示板で誹謗(ひぼう)中傷されるなどして、重大な名誉毀損(きそん)を被る可能性も否定できません。名誉毀損はそれ自体刑法に抵触する犯罪行為ですが、それによって社会的信用に大きなダメージを受け、仕事にも悪影響が出るなどすれば、業務妨害にあたることもあります。

さらには、もしも銀行口座やクレジットカードの情報などが漏洩してしまった場合は、不正にお金を盗まれたり使いこまれたりして、多額の金銭被害が出る可能性も否定できません。メールやシステムのアカウントなどを乗っ取られて、なりすましの詐欺行為などに悪用される危険性もあります。

もしこうした事例に遭遇してしまった場合は、警察に相談するようにしましょう。それがさらなる被害拡大を防ぐことにつながります。

(2)損害賠償は請求できるのか

個人情報が漏洩したことで具体的な損害が発生した場合、漏洩元に対して損害賠償を請求できるのでしょうか。この問題は、漏洩元が個人であるか、それとも企業や団体などの個人情報取扱事業者であるかによって、対応が異なります。

①漏洩元が個人情報取扱事業者(企業や団体など)である場合

まず、漏洩元が企業や団体である場合は、損害賠償を請求できる可能性があります。これは、漏洩の原因が悪意によるものであっても、過失によるものであっても変わりません。個人情報取扱事業者は、個人情報保護法に基づき、ビジネスで取得した個人情報を厳重かつ適正に管理運用する責任があるからです。

また、漏洩の原因が直接には一従業員によるものだとしても、使用者責任としてその企業に損害賠償を請求できます。請求にあたっては、まずは被害者と企業のあいだで交渉を行い、それでも解決しない場合は裁判で請求することになるのが一般的です。

②漏洩元が個人である場合

もし個人情報を漏洩したのが、友人や知人などの個人であったとしたら、その扱いは少々複雑になります。まず、個人情報取扱事業者ではない、個人からの情報漏洩は、個人情報保護法に基づく損害賠償や刑事責任に問うことができません。

というのも、個人情報保護法は個人情報を扱う企業などを規制する法律だからです。つまり、漏洩した情報は、加害者が仕事で知ったものなのか、プライベートで知ったものなのかによって扱いが変わります。

ただし、個人情報を漏洩することで被害者に何らかの不利益が発生することをわかっていながら漏洩させた場合は、民法の不法行為を理由に、その損害に対して賠償金や慰謝料を請求できる可能性はあります。

たとえば、友人がストーカーに対して自分の住所を教えた結果、引っ越しせざるを得なくなった場合は、その友人に対して損害賠償として引っ越し代を請求できる可能性があります。

(3)個人情報を漏洩された場合にとるべき対応

自分の個人情報が漏洩してしまったことに気づいた場合は、なるべく迅速に対応することが被害の拡大を防ぎます。まず、SNSやネットの掲示板などに自分の個人情報が記載されている場合は、そのSNSや掲示板の運営者に対して、情報の削除請求をしましょう。

運営者がその要求を無視あるいは拒んだ場合は、裁判所に申し立てることも可能です。その際は、弁護士に手続きを代行してもらうことで、スムーズに問題を解決することができるでしょう。損害賠償請求などを考えている場合も、弁護士には積極的に相談すべきです。

また、もしも漏洩してしまった情報が、何らかのサービス(メールやSNS、通販サイトなど)のアカウント情報である場合は、すぐにパスワードを変更しましょう。漏洩してしまったのがクレジットカード情報である場合は、不審な利用がないか取引履歴を確認し、念のためにカード会社へ相談することをおすすめします。

さらに、情報漏洩に関連して何らかの犯罪被害のおそれがある場合は、警察にも相談するようにしましょう。

3. 個人情報の漏洩を防ぐために個人ができること

個人情報の漏洩リスクは、以下で紹介するように、自分自身の注意や工夫によって大きく減らすことが可能です。

(1)個人情報を安易に捨てない

まずは、個人情報を安易に捨てないことです。たとえば、個人情報が書かれた紙をそのままゴミ箱に捨てると、それが不正に使われる危険性があります。情報が読み取れないように細かく破ってから捨てるなどの工夫をすることで、漏洩のリスクを減らせます。

(2)セキュリティーソフトを導入する

情報漏洩はマルウェア(コンピューターウイルス)などによって生じることもあります。サイバー攻撃による被害を防ぐには、パソコンなどに最新のセキュリティーソフトを導入することが重要です。

(3)パスワードを強化する

アカウント情報などを強力に守るためには、複雑なパスワードを使うことが大切です。簡単なパスワードを使ったり、同じパスワードを複数のサイトで使用したりしていると、不正アクセスなどの被害に遭いやすくなります。

(4)SNSやWebサイトでの情報公開に注意する

SNSやWebサイトで個人情報を公開する際には十分に注意が必要です。不特定多数の人が閲覧できる場所で、住所や電話番号などの重要な個人情報を開示するのは控えましょう。

個人情報の漏洩は、時に重大な被害につながることがあります。もしも個人情報が漏洩してしまった場合は、冷静に状況を整理し、必要に応じて警察や弁護士などに相談するようにしてください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年12月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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