内縁の妻に財産を残したい。相続トラブルを避けるためにできること
  • (更新:2023年02月07日)
  • 遺産相続

内縁の妻に財産を残したい。相続トラブルを避けるためにできること

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

戸籍上の家族ではない場合でも内縁関係があると、相続において子どもや両親、兄弟といった内縁のパートナーの血縁関係にある方とトラブルになることがあります。特に、内縁の夫の持ち家の所有権や居住権をめぐってトラブルになることが多いようです。

「内縁の妻」にまつわる相続トラブルを避けるにはどうすればよいのでしょうか。

1. 内縁の妻が直面しがちな相続トラブル事例

まず、内縁の妻をめぐる相続についてのトラブルを、その内容に基づいて3パターンに分類しました。順に見ていきましょう。

(1)持ち家の所有権で争いが起こるケース

内縁の夫が亡くなってしまった後、その持ち家に、内縁の妻が住んでいる場合、家の所有権をめぐってトラブルになることがあります。

内縁の妻には家を相続する権利はなく、家を相続する権利は法定相続人にあるためです。結果、法定相続人から家の明渡請求がなされることがあり得ます。数多くの裁判で争われ、判例が積み重なった事例ですが、現在でもなおトラブルとなる可能性があるのです。

(2)遺言で内縁の妻が受遺者になっているケース

亡くなった内縁の夫が「内縁の妻に全財産を譲る」などと遺言書を作成しておけば、内縁の妻は遺産を引き継ぐことができます。しかし、法定相続人から遺留分減殺請求や、遺贈無効の訴えが起こることも考えられます。

相続で揉めないために、内縁の夫が遺言を活用したケースに起こりがちなトラブルです。

(3)生前に婚姻届が出されたケース

生前に婚姻の届け出を行い、内縁関係から法律婚関係にしておくことは、トラブル回避のための強力な手法です。

婚姻届を提出しておけば事実婚の関係だったものが法律婚の関係になるので、夫が亡くなってしまっても妻は夫の遺産を相続することができます。しかし、婚姻は無効だという主張が他の相続人からなされてトラブルになることもあります。

2. 内縁の妻が相続するためにすべきことは?

(1)大きな効力を発揮する「遺言書」を残しておく

内縁の妻を受遺者としておくことは、内縁の夫の死後を考えたとき、特に住居を確保するためには有効な方法といえます。

内縁の妻は戸籍上の妻ではない以上、相続権はありませんので、内縁の夫の死後、相続人から住居から出ていくよう告げられるケースが少なくないためです。

住居を守る目的であれば、内縁の夫の所有物である住居を譲ると法的に適切な遺言書で示すことによって、内縁の妻の住むところは確保されます。また、相続税対策で住居を売却して住み替えることもできるでしょう。

しかし、この方法も万全というわけではありません。というのは、法律的には遺留分減殺請求権をもつ相続人を完全に排除することはできないためです。

もちろん、法定相続人が異議を唱えなければ遺言の通りに相続が実行され、故人の意思が実現します。

しかし、内縁の妻と相続人との折り合いが悪い場合などは争いになるケースも考えられます。

仮に遺言が無効になると、内縁の妻は法定相続人ではないため、相続財産はゼロになります。遺言を残す場合は無効の主張をされないよう、できれば公正証書遺言にしておくことをおすすめします。

(2)生前に「法律婚」を結ぶ

もっとも強力な対策は、法律上婚姻関係を結んでおくことです。

子どもたちなど親族が結婚に反対していたとしても、法律上においては絶対的な障害にはなりません。婚姻に必要なのは当人同士の意思のみだからです。

故人が生前、意識がはっきりした状態で、自由な意思に基づいて届出を作成していた場合には婚姻は成立します。

ただし、改めて健常な状態で入籍したという事実を証明しようとすると難しいケースが多くあります。あらかじめ疑問を持たれないよう第三者を証人にするなどして、本人同士の自由意思で婚姻を届け出たことを証明できるようにしておくとよいでしょう。

また、法律婚の関係になったと相続人に知らせておくと、トラブルになりづらいといえます。

あなたが内縁の夫であるならば、内縁関係の妻の財産保護について、生前からきちんと考えておく必要があります。特に住居については、内縁の妻が追い出されたりすることのないよう、前述したような策を講じておきたいものです。

適切な解決方法を知りたい場合は、弁護士に相談してみてください。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年02月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

遺産相続に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す

遺産相続に強い弁護士

  • 日野 卓郎 弁護士

    東京スタートアップ法律事務所静岡支店

    静岡市葵区
    静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー1階
    JR東海道本線(熱海~浜松) 静岡駅 北口より直結
    現在営業中 8:30〜20:00
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 全国出張対応
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    初回相談無料は、内容によっては有料の場合があります。

     
    注力分野

    リーズナブルな料金で遺産相続の専門知識を有する弁護士が解決に向けて力強くサポート!プライバシーに配慮し、お話をとことん伺います。

  • 若松 俊樹 弁護士

    弁護士法人リーガルプラス柏法律事務所

    柏市
    千葉県柏市中央1-1-1 ちばぎん柏ビル4階
    JR・東武柏駅からお越しの場合
    東口より徒歩5分
    現在営業中 9:00〜20:00
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    ※電話相談(簡易回答)は、遺留分トラブル(遺産分割は非対応)のみとなります。

     
    注力分野

    「遺留分を請求したい」 「遺産分割協議がまとまらない」 「遺産の使い込みがある」 相続トラブル案件に注力し、後悔・妥協しない相続トラブル解決を目指します。

  • 杉本 拓也 弁護士

    弁護士法人コスモポリタン法律事務所

    豊島区
    東京都豊島区東池袋4-23-17 田村ビル6階
    現在営業中 9:00〜20:00
    • 24時間予約受付
    • ビデオ相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    まずはメールでご相談の概要をお送りいただけますと助かります。

     
    注力分野

    【初回面談無料】遺言書作成、家族信託、遺産分割協議・調停・訴訟など、生前対策から紛争対応まで「争族」対策を支援いたします

  • 谷 靖介 弁護士

    弁護士法人リーガルプラス東京法律事務所

    中央区
    東京都中央区日本橋2-2-3 リッシュビル4階401
    JR東京駅八重洲北口より徒歩5分
    東京メトロ東西線・銀座線、都営浅草線の日本橋駅B0出口より徒歩3分
    東京メトロ東西線・丸の内線・半蔵門線・千代田線、都営三田線の大手町駅B10出口より徒歩5分
    現在営業中 9:00〜20:00
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    ※電話相談(簡易回答)は、遺留分トラブル(遺産分割は非対応)のみとなります。

     
    注力分野

    「遺留分を請求したい」 「遺産分割協議がまとまらない」 「遺産の使い込みがある」 相続トラブル案件に注力し、後悔・妥協しない相続トラブル解決を目指します。

  • 戸谷 景 弁護士

    ベリーベスト法律事務所 木更津オフィス

    木更津市
    千葉県木更津市東中央2-4-14 木更津東中央ビル6階
    JR[木更津」駅より徒歩8分
    「駅前通り」バス停より徒歩1分
    現在営業中 10:00〜18:00
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    ※初回相談無料は、ご相談の内容によって一部有料となる場合がございます。

     
    注力分野

    相続について経験と実績豊富な弁護士が、遺産分割協議・遺留分侵害額請求・遺言書作成など遺産相続のあらゆる問題について、スムーズで有利な解決を目指し尽力します。

弁護士を検索する