離婚して子どもの相続が気になる方へ。相続について知っておくべきこと
  • 2021年04月14日 (更新:2021年07月15日)
  • 遺産相続

離婚して子どもの相続が気になる方へ。相続について知っておくべきこと

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

再婚して新しい子どもをもうけ、元配偶者に引き取られた子どもと長年疎遠になっている方もいると思います。そのような方のなかには、ご自身の死後、元配偶者との子どもではなく再婚相手との子どもに財産を残したいと考える方もいることでしょう。

本コラムでは、そのようにお考えの場合に有効と考えられる方法と注意点について解説します。

1. 離婚したら子どもの相続権はどうなる?

夫婦が離婚すると、配偶者の相続権はお互いになくなります。しかし、婚姻期間中、離婚した配偶者との間に生まれた子どもは、そうではありません。

たとえあなたが離婚したときに子どもの親権・監護権を得ていなかったとしてもあなたと子どもの法律上の親子関係は継続します。したがって、子どもは民法第887条に定める第1順位の相続人として、あなたが亡くなった際の相続権を持つのです。これはあなたが再婚し、新たな子どもをもうけたとしても同様です。

また、子どもの親権者となった元配偶者が別の方と再婚し、子どもが再婚相手と普通養子縁組した場合も同様です。この場合、子どもは実の親であるあなたと養親の、両方の相続権を持つことになります。

一方で、子どもが再婚相手やそのほかの第三者と「特別養子縁組」をしていた場合は、そうではありません。

特別養子縁組とは、子どもの年齢が6歳(令和2年4月1日以降は15歳)になるまでに家庭裁判所の審判を経て行う養子縁組のことです。普通養子縁組と異なり、特別養子縁組が認められると実の親との関係は法的に断絶されます。これにより、子どもと実の親との間に扶養義務がなくなると同時に、子どもは実の親の財産を相続する権利がなくなります。一般的に、子連れ再婚をする場合には、特別養子縁組は認められませんので、通常は、普通養子縁組がなされます。

このように、前婚の子どもが、後に特別養子縁組をしたという例外的な場合でない限り、前婚の子どもは、あなたの相続においては、法定相続人として、あなたの財産を相続する権利を持つのです。

2. 嫡出子の判断基準

では、子どもが生まれる前に離婚した場合は、どのような判断基準で相続権がある嫡出子とされるのでしょうか。

母親の場合、妊娠期間を経て自ら出産するわけですから、自身が母親であることの証明は容易です。民法においても、母親が出産した子どもは当然に母親の嫡出子とされます。しかし、父親の場合、そうではありません。

そこで民法第772条第1項では、婚姻期間中に妻が懐胎(妊娠)した子どもは夫の嫡出子と定めています。また、同条第2項では、婚姻関係の成立後200日経過したあと、あるいは婚姻関係を取り消した日から300日以内に生まれた子どもは婚姻期間中に懐胎したもの、つまり夫の嫡出子と推定すると規定しています。

さらに、婚姻関係成立後200日以内に生まれた子どもについては、「推定されない嫡出子」として、夫の嫡出子とされます。
なお、上記のように民法第772条2項に定める期間中に生まれた子どもであっても、夫が単身で長期間外国に滞在していた、収監されていたなど、当該期間中に生まれた子どもが夫の子どもではあり得ない場合は、嫡出子の推定はおよびません(推定の及ばない子)。

3. 再婚相手の子どもに財産を残すためには?

では、元配偶者との子どもよりも再婚相手との子どもに財産を残したい場合は、どのような方法が考えられるのでしょうか。

この場合、生前に遺言書を作成し、ご自身の死後の遺産配分方法を指定しておくことをおすすめします。

ただし、たとえ遺言による相続であろうと、元配偶者との間に生まれた子どもの遺産の取り分をゼロとすることはできません。民法が、法定相続人が権利として持つ、最低限の遺産の取り分として、「遺留分」を定めているためです。

子どもの遺留分割合は、法定相続分の2分の1です(民法第1042条)。
亡くなるときに配偶者がいれば、配偶者と子どもが法定相続人となり、配偶者の法定相続分が2分の1、子ども全員の法定相続分はまとめて2分の1です。子どもが複数いる場合には、この2分の1を全員で均等に分けます(子どもが2人であれば、2分の1×2分の1=4分の1)。遺留分は、これの2分の1ですから、子どもが2人の場合は、4分の1×2分の1=8分の1です。
亡くなるときに配偶者がいなければ、子どものみが法定相続人となり、子どもが全てを相続できます。複数いる場合には、全員で均等に分けますので、子どもが2人いれば、それぞれ2分の1の法定相続分を有します。遺留分は、これの2分の1ですから、子どもが2人の場合は、2分の1×2分の1=4分の1です。
前婚の子どもと再婚後の子どもは平等に扱われますので、子どもの間では法定相続分および遺留分は同一です。

遺留分は、被相続人の遺言でも侵害することが許されません。遺言書の内容が遺留分を侵害する内容である場合には、遺留分を侵害された法定相続人は、遺留分侵害額請求を行うことができます。

したがって、仮に、あなたが再婚後の子どもや配偶者に多く残したいと考えて遺言書を残す場合に、前婚の子どもの遺留分を侵害する内容のものにしてしまうと、あなたが亡くなって相続された後に、前婚の子どもから再婚後の子どもや配偶者に対して遺留分侵害額請求がなされる可能性があるということです。
遺言書を残す場合には、前婚の子どもの遺留分を侵害しないよう気を付けて作成しましょう。

あなたが亡くなった後に、再婚後の配偶者や子どもが大変な思いをしないために、遺言書を作成する際には、相続全般に知見があり、トラブル解決の実績がある弁護士に相談することをおすすめします。特に離婚前・再婚後のそれぞれに子どもがいる場合は、相続発生後のトラブルも予想されます。ぜひお早めに弁護士に相談したほうがよいでしょう。

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