
- 学校問題
子どもが学校で体罰を受けたら弁護士に相談すべき?
学校では、子ども同士または子どもと教師との間でさまざまなトラブルが生じることがあります。学校側が問題にしっかりと向き合って対処してくれれば大事には至らないこともありますが、適切な対応ができなければいじめや体罰にまで発展することもあります。このような問題が生じた場合には、早めに弁護士に相談することが大切です。
今回は、子どもが体罰を受けた場合に弁護士に相談をするメリットについて解説します。
1. 体罰はどんな行為を指す?
そもそも体罰とはどのような行為を指すのでしょうか。
(1)体罰にあたると考えられる行為
体罰とは、教師が子どもの身体に直接的または間接的に肉体的苦痛を与える行為をいいます。また、暴言や行き過ぎた指導については、体罰の定義にはあたりませんが、体罰と同様に教育上不適切な行為にあたります。
①身体を侵害する行為
有形力の行使によって、出血、骨折、歯牙破折、鼓膜損傷などの傷害を負わせた場合には、通常子どもが肉体的苦痛を感じるものであり、仮に感じることがなかったとしても、体罰に該当します。身体を侵害する行為の具体例としては、以下のものが挙げられます。
- 授業中にふざけていた生徒の頬を平手打ちして鼓膜損傷させた
- 生徒指導に応じない生徒を突き飛ばして転倒させた
- 部活動顧問の指示に従わない生徒の顔を殴打した
②肉体的苦痛を与える行為
長時間廊下に立たせる、長時間のランニングをさせるなどの肉体的苦痛を与える行為は、体罰に該当します。肉体的苦痛を与える行為の具体例としては、以下のものが挙げられます。
- 宿題を忘れた児童に対し、正座で授業を受けさせた
- 放課後に教室に居残りを命じて、トイレなども含めて室外に出ることを一切禁止した
- 部活動でのミスを理由に一人だけ長時間グラウンドでのランニングを命じた
③暴言、行き過ぎた指導
教師が子どもに対して、恐怖感、侮辱感、人権侵害などの精神的苦痛を与える不適切な言動をした場合や運動部活動やスポーツ指導において子どもの現況に適合しない過剰な指導をした場合には、体罰にはあたりませんが、不適切な指導にあたります。
(2)体罰にあたらないと考えられる行為
学校の教師には、児童生徒の指導のために必要な範囲での「懲戒」は認められています(学校教育法11条)。また、有形力の行使があったとしても、正当防衛や正当行為にあたる場合には、体罰にはあたりません。
①懲戒権の範囲内と考えられる行為
子どもの身体に肉体的苦痛や負担を伴わない以下の行為については、懲戒権の範囲内の行為と考えられます。
- 放課後に教室に残留させる
- 授業中、教室内に起立させる
- 学習課題や清掃活動を課す
- 学校当番を多く割り当てる
- 立ち歩きの多い児童を叱って席につかせる
- 練習に遅刻した生徒を部活動に参加させず見学させる
②正当防衛や正当行為にあたると考えられる行為
子どもから教師への暴力行為に対して防衛のためやむを得ずにした有形力の行使や他の子どもに対する被害を防止するためにやむを得ずにした有形力の行使は、正当防衛や正当行為にあたりますので、体罰にはあたりません。
- 生徒が反抗して殴りかかってきたため、腕をねじ上げて制止させる
- 生徒同士でトラブルが生じ、喧嘩になったため、落ち着かせるために体を抱え込んで押さえつける
2. 子どもが学校で体罰を受けたら、弁護士に相談すべき?
子どもが学校で体罰を受けた場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
(1)学校、教育委員会と話し合いを行う
弁護士に依頼をすれば、弁護士が代理人として学校や教育委員会との話し合いを行うことができます。保護者からの申し出だけでは、真剣に取り合ってくれないケースでも弁護士が窓口になることによって、迅速かつ適切な対応が期待できます。
(2)賠償金の適正な金額を算定してもらえる
体罰によって子どもに怪我や後遺症が生じた場合には、その損害を学校側に対して請求することができます。子どもに生じた損害を算定するにあたっては、損害賠償実務に関する知識や経験が不可欠になります。弁護士であれば賠償金の計算方法や相場などを把握していますので、弁護士に相談をすれば賠償金の適正な金額を算定してもらうことができます。
(3)教師や学校側に損害賠償請求を行う
教師や学校側に損害賠償請求を行うためには、まずは任意の交渉によって解決を目指しますが、交渉に応じない場合や交渉の結果に納得できない場合には、裁判所に訴訟提起をする必要があります。
弁護士であれば、学校側との和解交渉だけでなく訴訟の対応も任せることができます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年06月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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