養育費は税金に含まれる? 課税対象になるケースとは

養育費は税金に含まれる? 課税対象になるケースとは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

配偶者との離婚に際して気になるのが、子どもの養育費の扱いです。子どもと離れて暮らすことになった場合も、毎月養育費を支払うとしたら、税金の扶養控除は認められるのでしょうか。

本記事では養育費の支払いで扶養控除を受けられる場合と受けられない場合、それぞれのケースについて分かりやすく解説します。

1. 養育費は扶養控除の対象になる?

そもそも扶養控除とは、扶養している親族の人数に応じて、所得額に一定の控除を受けられる制度です。扶養とは簡単に言うと、専業主婦の妻や就職前の子など、対象者の生活を支える経済的援助をしていることを意味します。他方で控除とは、税金の課税対象から一定の金額分が除外されることです。

子どもの場合、16歳から18歳まで38万円、19歳から22歳まで63万円の控除を受けられます。15歳以下の子どもに関しては児童手当が支給されるので、扶養控除の対象外です。

参考:「No.1180 扶養控除」(国税庁)

たとえば、扶養控除前の所得が400万円で、16歳の子どもが一人いる場合、所得から38万円引いて、課税対象を362万円に減らすことが可能です。そのため、扶養控除が適用されるか否かは、税金対策のために非常に大きなポイントになります。

ところで、配偶者との離婚に伴って別居することになった子どもに毎月養育費を支払うことになった場合、この扶養控除は受けられるのでしょうか。それとも、子どもの親権を持ち、同居している配偶者側にしか扶養控除は適用されないのでしょうか。

結論から言うと、離婚して子どもと別居するようになった場合でも、養育費を支払っていれば扶養控除を受けられます。たとえ離れて暮らしているとしても、その養育費によって子どもの生活を支えていれば、「子どもを扶養している」とみなせるからです。ただし、扶養控除の適用を受けるには、以下で挙げる条件を満たすことが必要になります。

(1)配偶者以外の親族であること

経済的援助をしている対象が、6親等内の血族または3親等内の姻族であれば、別居していても扶養控除の対象になります。実の子へ養育費を払っていれば問題ありません。

(2)定期的に養育費を支払っていること

扶養控除を受けるには、その子どもの生活が養育費によって成り立っている状態であることが必要です。具体的には、離婚後も養育費を定期的に支払っていることが条件になります。

(3)子どもの所得金額が48万円以下であること

給与収入で言うと、年収103万円以下の子どもが扶養控除の対象になります。たとえアルバイトであっても、子どもがそれ以上の収入を得ていれば、養育費がないと生活が成り立たない状態とは捉えられず、扶養から外れてしまいます。

(4)子どもが青色申告または白色申告の事業専従者でないこと

これは自営業の人に関わることです。簡単に言うと、自分の事業のために子どもを事業専業者として使用している場合は扶養控除を受けられません。

2. 扶養控除にならないケース

養育費を支払っていても、一部のケースでは扶養控除の対象から外れる場合があります。以下のようなケースには注意が必要です。

(1)養育費を一括で支払った場合

養育費を月々で支払うのではなく、離婚時などに元配偶者へ一括で支払う人もいます。しかし、一括で養育費を支払った場合、その後の子どもの生活を自分の収入が支えているとは言いがたくなります。

したがって、金額の多寡とは関係なしに、養育費を一括で支払った場合は扶養控除を受けられない可能性が高まります。もし扶養控除を継続的に受けたいなら、養育費は一括で支払うよりも、定期的に送金するのがおすすめです。

(2)扶養が重複した場合

扶養控除を受けられるのは、一人の扶養親族に対して一人の納税者だけです。つまり、子どもの生活資金を元配偶者も拠出しているとしたら、扶養控除を受けられるのは、元配偶者か自分のどちらかだけになります。

原則的には、先に申請した方が優先的に扶養控除を受けられますが、相手に黙ってそうしてしまうのはトラブルの種になりかねません。基本的に控除の恩恵は所得が高い人ほど大きいので、収入の状況などに応じて元配偶者と相談することをおすすめします。子どもが複数いる場合は、それぞれに扶養を振り分けることも可能です。

(3)その他の場合

「子どもが15歳以下である」「子どもの年収が扶養の上限を超えている」などの場合も扶養控除の対象から外れてしまいます。特に年収に関しては、アルバイトに熱心な子どもなら高校生・大学生でも103万円以上の収入を得てしまう可能性もあるので注意が必要です。

両親ともに子どもの生活費を負担していても、扶養控除を受けられるのは一人だけのため、どちらが受けるのかは話し合って決めることをおすすめします。扶養控除の問題に限らず、税務上の問題でお悩みの場合は、専門家への相談をご検討ください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2025年02月21日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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