離婚するときに有効な理由はどんなもの? 性格不一致でも離婚可能?
  • (更新:2022年05月20日)
  • 離婚・男女問題

離婚するときに有効な理由はどんなもの? 性格不一致でも離婚可能?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

配偶者に対して「離婚したい」と申し出たとしても、素直に応じてくれないこともあります。お互いが合意をすればどのような理由でも離婚をすることができますが、相手が離婚に同意してくれない場合には、法律上定められた離婚理由がなければ離婚をすることができません。

今回は、配偶者が離婚に同意しない場合でも離婚をすることができる理由について解説します。

1. 離婚することができる理由5つ

配偶者が離婚に同意しない場合には、民法770条1項各号に規定された法定の離婚事由が存在しなければ離婚をすることができません。法定離婚事由には、以下の5つがあります。

(1)不貞行為(1号)

不貞行為とは、配偶者以外の人と自由な意思で肉体関係を持つことをいい、一般的に「不倫」と呼ばれるものを指します。

不貞行為は、あくまでも肉体関係を持つことをいいますので、配偶者以外の人と食事やデートをしていただけでは、不貞行為にはあたりません。不貞行為を理由に離婚を求める場合には、相手が不貞行為の存在を否定することもありますので、ホテルに出入りする写真などの証拠をあらかじめ収集しておくようにしましょう。

(2)悪意の遺棄(2号)

悪意の遺棄とは、民法752条に定められた夫婦の同居・協力・扶助義務を正当な理由がないにもかかわらず履行しないことをいいます。たとえば、愛人の家に行ったきり戻ってこない、仕事をしているのに生活費を入れてくれないなどの場合が悪意の遺棄にあたります。

(3)配偶者の生死が3年以上明らかでない(3号)

3年以上配偶者の生死が明らかでない場合には離婚をすることが可能です。生きていることは知っているものの連絡が取れないまたは所在がわからないというケースでは、生死不明にはあたりません。

なお、生死不明の状態が7年以上続いている場合には、普通失踪宣告の制度を利用することによって、生死不明の配偶者が死亡しているものとみなされ、相続人として配偶者の財産を相続することもできます。

(4)強度の精神病にかかり、回復の見込みがない(4号)

配偶者が回復の見込みがない強度の精神病にかかったということも離婚をする理由になります。夫婦には、お互いに扶助協力義務がありますので、精神病の診断を受けたというだけでは離婚理由にはなりませんが、回復の見込みのない強度の精神病にかかった場合には、形骸化した婚姻関係に縛ることは酷だということから、離婚事由にされています。

ただし、強度の精神病にかかり、回復の見込みがないだけでは離婚できず、さらに病者の今後の療養や生活等について具体的方策を講じ、ある程度においてその方途の見込みがついたうえでなければ離婚は許されないとされています(最高裁判決、昭和33年7月25日)。

(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由(5号)

民法770条1項1号から4号に該当する理由がなかったとしても、総合的にみて夫婦関係を継続することが難しいと認められる事情がある場合には、離婚が認められます。

離婚理由としてよく挙げられる性格の不一致だけでは、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとは認められず、少なくともある程度の別居期間が必要になります。

2. 離婚する前に検討しておきたいこと

離婚をする場合には、単に離婚をするかどうかだけでなく、どのような条件で離婚をするのかも決めていかなければなりません。離婚にあたって決めなければならない条件としては、以下のものが挙げられます。

(1)財産分与

財産分与とは、婚姻生活中に築いた財産を離婚時に清算する制度のことをいいます。財産分与の割合は、原則として2分の1であり、この割合は妻が専業主婦である家庭であっても変わりません。

財産分与の対象となる財産は婚姻期間中に築いた財産であり、どちらの名義になっているかは問いません。婚姻前から有している財産や相続などによって夫婦の協力とは無関係に取得した資産については、特有財産として、財産分与の対象には含まれません。

熟年離婚など婚姻期間の長い夫婦では、財産分与によって得ることができる金額も大きくなる傾向にありますので、離婚後に安定した生活を送るためにもしっかりと財産分与を求めていくようにしましょう。

(2)慰謝料

配偶者に不貞行為、暴力、モラハラなどの離婚原因がある場合には、離婚時に慰謝料を請求することができます。慰謝料を請求し、最終的に裁判で判断される場合には配偶者の有責行為を裏付ける証拠が重要です。どのような証拠が有益であるかは事案によって異なってきますので、慰謝料の請求を検討している方は、証拠収集についても弁護士に相談をするようにしましょう。

(3)親権・養育費

子どもがいる夫婦では、離婚にあたってどちらか一方を親権者と指定しなければなりません。また、離婚によって子どもと離れて暮らすことになった非監護親は、監護親(子どもと一緒に暮らす親)に対して養育費を支払わなければなりません。養育費は、将来の不払いのリスクが高いものといえますので、協議離婚の場合には、協議離婚書を公正証書にして、強制執行認諾文言を入れておくことも検討しましょう。

(4)面会交流

面会交流とは、離婚または別居後に子どもと離れて暮らす親が子どもと定期的に交流する権利のことをいいます。子どもの面会で揉めている場合には、面会交流の頻度、日時、場所、方法などをできる限り具体的に決めておくと離婚後のトラブルを防ぐ効果が期待できます。

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