離婚裁判はどれくらいの期間で終わる?

離婚裁判はどれくらいの期間で終わる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

夫婦が話し合いで離婚をすることができなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。しかし、離婚調停も基本的には話し合いの手続きですので、お互いに譲歩ができなければ、解決するのは難しくなります。そのような場合には、最終的には離婚裁判によって解決を図ることになりますが、離婚裁判をするにあたって気になるのが解決までにどれくらいの期間がかかるかということです。

今回は、離婚裁判が解決するまでにどれくらいの期間を要するのかについて見ていきましょう。

1. 離婚裁判の期間はどれくらい?

裁判というと何年もかかるイメージがありますので、早期に離婚を成立させたいと考える方は、なかなか離婚裁判に踏み切れないでいるかもしれません。離婚裁判を起こしてから離婚裁判が終了するまでには、一般的にどれくらいの期間を要するのでしょうか。

最高裁判所事務総局家庭局が公表している令和2年1月から12月までの人事訴訟事件の概況によりますと、離婚裁判のうち欠席判決を除き判決で終わった事件の平均審理期間は、19.1か月となっています。平成23年の平均審理期間は、15.5か月でしたが、そこから年々審理期間は延びてきており、令和2年には、19.1か月にまでなっています。

離婚裁判は、離婚調停とは異なり、基本的には書面をベースに進められます。具体的には、1回の期日でどちらか一方の主張が提出され、それに対する反論は次の期日になされることになります。それに加えて、離婚裁判の期日は、1か月に1回のペースでしか行われないというのも解決までの期間が長くなる要因といえます。

2. 離婚裁判期間が短くなるケースはある?

離婚裁判は、上記のとおり解決までに長期間を要することになりますが、一定の場合には解決までの期間が短くなることがあります。以下では、離婚裁判期間が短くなるケースについて紹介します。

(1)被告が争わない場合

離婚裁判が長期化する原因としては、当事者間に離婚や離婚条件をめぐって争いがあるからです。争いがある事項については、当事者双方で主張や立証が繰り返されるため、何度も期日を重ねなければならない結果、解決までの期間が長くなってしまうのです。

しかし、被告が答弁書を提出せずに裁判を欠席したり、積極的に争わなかったりする場合には、原告側の主張立証だけで判決まで行くことになりますので、解決するまでの期間が大幅に短くなります。

なお、民事訴訟では、被告が答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日を欠席した場合には、擬制自白(民事訴訟法159条1項)が成立しますので、被告欠席のまま判決が言い渡されることになります。

しかし、人事訴訟である離婚裁判では、擬制自白の制度は適用されません(人事訴訟法19条1項)。そのため、被告が答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日を欠席したとしても、当然に原告の訴えが認められるものではなく、証拠に基づいて主張立証をしていく必要がありますので注意が必要です。

(2)裁判の途中で和解した場合

離婚裁判の平均審理期間である19.1か月というのは、判決によって終了した事案を対象にした期間になります。離婚裁判が終了する原因には、判決以外にも和解という方法があります。

和解とは、当事者がお互いに譲歩して合意により争いをやめる手続きのことをいいます。離婚裁判がある程度進行してくると、その時点の主張や証拠に基づいて裁判官から和解が提案されることがあります。

提案された和解案にもよりますが、和解を受け入れることによって、その時点で離婚裁判は終了しますので、解決までの期間を短縮することができます。

ただし、和解よりも判決を選択した方が有利になることもありますので、和解を受け入れるかどうかについては、弁護士に相談をしながら慎重に判断するようにしましょう。

3. 離婚裁判のメリットとは?

離婚訴訟は、期間がかかるというデメリットはありますが、離婚裁判をするメリットも存在します。

(1)判決によって必ず解決できる

協議離婚や調停離婚は、夫婦の話し合いによる解決になりますので、お互いが譲歩しなければ、いつまでたっても解決することができません。これに対して、裁判離婚は、当事者の主張立証に基づいて最終的に裁判官が判断を下してくれますので、離婚や離婚条件に争いがあったとしても必ず結論が出るというメリットがあります。

だらだらと話し合いを続けるよりも、早めに離婚裁判に切り替えた方が早期に解決することができる可能性もあります。

(2)判決には強制力がある

離婚にあたっては、養育費、慰謝料、財産分与などの金銭給付が伴うことがあります。離婚後に不安になるのが、相手がきちんとお金を払ってくれるかどうかという点ですが、判決には強制力がありますので、その点も安心です。

相手が離婚裁判によって決まった内容に従わなかった場合には、強制執行の手続きをとることによって、相手の財産から強制的にお金を回収することができるようになります。

協議離婚では、離婚協議書を作成することがありますが、単純な離婚協議書では直ちに強制執行をすることができず、金銭の支払いを求める裁判を別途起こさなければなりません。

このように、解決後の手続きを考えた場合にも離婚裁判をすることにはメリットがあります。

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