MDMAの所持・使用で逮捕|起訴を回避するためにできることとは?
カラフルな色でラムネ菓子のように見えるものもあるMDMAの実態は、強い精神依存性を持ち麻薬および向精神薬取締法により規制されている薬物です。MDMAの所持や使用は刑罰の対象となります。
本コラムでは、MDMAの概要や、所持・使用により逮捕される場合の流れ、逮捕されたときの弁護活動、弁護士の選び方などを解説します。
1. MDMAとは
(1)MDMAはどのような薬物か
MDMAは覚せい剤と似た化学構造を持ち、摂取した人に幻覚作用をもたらす合成麻薬の一種です。強い精神的依存性があり、使用し続けると精神錯乱、腎機能や肝臓機能の障害、記憶障害などを引き起こし、多量に摂取すれば死に至ることもあります。
接種方法は、錠剤をそのまま口に含む、液体に溶かして飲む、粉にして鼻から吸うなどです。エクスタシー、エックス、バツ、タマ、ピュア、アダムなど、さまざまな隠語を持ちます。
(2)MDMAで有罪になった場合の罰則
MDMAの所持や使用は、麻薬および向精神薬取締法違反となる行為です。所持・施用(使用)で有罪になった場合、営利目的か否かにより罰則が異なります。同法の第66条および第66条の2によると、以下の罰則が科されます。
- 営利目的の場合:「1年以上10年以下の懲役、または情状により1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金」
- 非営利目的の場合:「7年以下の懲役」
2. MDMAの所持・使用による逮捕のケース
(1)MDMAの所持で逮捕される場合
MDMAの所持が発覚し逮捕につながるケースで多いのは、警察の職務質問をきっかけとするものです。警察が職務質問と併せて行う所持品検査によりMDMAが見つかると、MDMAは押収され、鑑定に回されます。鑑定の結果、所持していたものがMDMAであったと判明し、逮捕につながるケースです。
(2)MDMAの使用で逮捕される場合
MDMAの使用を理由とする逮捕では、尿検査が行われます。職務質問の際、対象者の言動から薬物使用の疑いを覚えた警察官が、任意の尿検査を要請するケースです。尿検査により薬物反応が認められた場合、逮捕される可能性があります。
任意の尿検査を拒否することも可能ではありますが、必ずしも尿検査を免れるわけではありません。任意の尿検査を拒否しても、裁判官の発する令状に基づく強制採尿を要求されれば、拒否できません。この場合、カテーテルを挿入されての採尿となるため、任意の尿検査と比較して精神的にも身体的にも負担が重くなります。
3. MDMA事件で逮捕された後の流れ
MDMA事件は、証拠隠滅や再び使用するおそれが高いことから、逮捕・勾留される可能性が高い事案です。逮捕されると48時間以内に警察の取り調べを受け、検察官に送致されます。その後、検察官は引き続き捜査の必要があると判断すると、24時間以内に裁判官に勾留を請求します。それを受けて裁判官が勾留決定を下すと、原則10日間、最長で20日間、刑事施設に身柄を拘束されます。
(1)MDMA事件は起訴されるケースが多い
MDMA事件では鑑定結果などの証拠がそろっていることが多いため、起訴率は高めです。令和4年版犯罪白書によると、令和3年における麻薬取締法違反の起訴率は61.6%でした。
もっとも、不起訴になるケースがないわけではありません。初犯であったり、故意に使用や所持をしたのではないと認められたりしたケースでは、不起訴処分になる可能性があります。
(2)MDMA事件で執行猶予はつく?
MDMA事件で起訴された場合、初犯であれば執行猶予がつく可能性があります。しかし、執行猶予中や、執行猶予期間満了後間もなく再度MDMA事件で逮捕・起訴された場合は、執行猶予のつかない実刑判決となる可能性が高まります。
4. MDMAで逮捕されたときの弁護活動と弁護士の選び方
MDMAの所持や使用により逮捕された場合、法律にもとづいた適切な主張をすることで、不当な扱いを免れられる可能性があります。
(1)MDMAの所持・使用を認めない場合
身に覚えがない場合などMDMAの所持・使用を認めないのならば、取り調べの段階から一貫して否認し続けることが大切です。専門知識と経験豊富な弁護士のサポートを得て取り調べに対応することにより、嫌疑不十分で不起訴となるケースもあります。
弁護士は取り調べにおける黙秘権や供述調書への署名・押印拒否権などの重要な権利についてアドバイスするとともに、不当な取り調べがあれば抗議するなどして被疑者を守ります。勾留前の早期に弁護士へ相談すれば、検察官や裁判官へ意見書を提出するなどして、勾留しないように働きかけることも可能です。
(2)MDMAの所持・使用を認める場合
MDMAの所持・使用を認める場合、弁護士のサポートを得ることで期待できるのは、起訴猶予や執行猶予の獲得です。罪を認めた上で真摯(しんし)に反省し、今後は決して薬物に手をださないと誓うことで、検察官からの起訴猶予や、裁判官からの執行猶予の判断獲得を目指します。
そのためには口頭で誓うだけでなく、交友関係を整理する、薬物依存の治療を受けるなどの更生に向けた具体的な行動が必要です。弁護士はどういった行動が必要かをアドバイスし、治療施設や自助グループの紹介なども含めて適切にサポートします。更生の材料を検察官や裁判官へ示し、起訴猶予や執行猶予が適切だと主張するのも弁護士の役割です。
(3)MDMA事件に強い弁護士の選び方
MDMA事件に強い弁護士を選びたいなら、薬物事件の解決実績を確認しましょう。多数の実績を持つ弁護士であれば、知識だけでなく実際の経験に裏付けられた適切な対応が期待できます。コミュニケーションの取りやすさも重要です。こちらの意見を言いづらい雰囲気だったり、なかなか連絡がつかなかったりすると、事件への対応をスムーズに進められません。
身近な人がMDMAで逮捕された場合、本人へのサポートと併せて警察や裁判所での対応をするのは重い負担になるだけでなく、法律に関する専門的な知識が求められます。適切な対応を迅速に行うためにも、専門家である弁護士に早めに相談しましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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