債権回収のために行う少額訴訟のメリット・デメリットとは?
  • 2021年07月21日
  • 債権回収

債権回収のために行う少額訴訟のメリット・デメリットとは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

相手方にお金を支払ってほしい、あるいは、貸したお金を返してほしい場合、少額訴訟制度を利用することが考えられます。少額訴訟制度とは、請求金額の元本が60万円以下の場合に利用できる民事訴訟制度のひとつです。少額訴訟制度はどのような場面で利用するのがよいのでしょうか。また、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

1. 少額訴訟はどんな場面で利用する?

少額訴訟は、主に事案がシンプルで証拠もそろっていて、請求金額が60万円以下と比較的少額の場合に用いられる法的措置のひとつです。具体的には、次の5つの場面で利用される傾向があります。

(1)お金の貸し借りをしたとき

個人間でお金の貸し借りをしていて、約束の期日を過ぎても相手からお金を返してもらえないケースがあります。親しい間柄であればあるほど、「返して」とは言いづらいこともあるでしょう。このような場合、少額訴訟を利用すれば、自分にとっても相手にとっても負担が少なく、迅速な問題解決が見込めます。

(2)敷金を返還してもらいたいとき

アパート・マンションの部屋を借りるときは、たいていの場合敷金を支払います。敷金は修繕の必要があったときのために大家さんに預けておき、退去するときには返還してもらえるものです。

ところが、退去時に敷金を請求しても返ってこないことも少なくありません。そういうときに、少額訴訟を起こすことで返還してもらえる可能性が高くなるのです。

(3)代金や売掛金を請求したいとき

「取引先に商品を納入したのに代金を支払ってもらえない」「業務委託で仕事をしたのに支払期日になっても売掛金を回収できない」といったケースにも少額訴訟が利用できます。

少額訴訟で相手方に支払いを命じる判決が出れば、相手方が支払いに応じることが期待できますし、その後も未払いが続く場合は強制執行もできるようになります。

(4)未払賃金を請求したいとき

給料日には、それぞれの従業員が働いた分の給与をきちんと支払うことは事業主の義務です。しかしサービス残業を強要したり、持ち帰って仕事をさせた分の残業代を支払わないケースがよくあります。会社と交渉しようとしても、個人では相手にされないかもしれません。

しかし、少額訴訟で裁判所から支払いを命じられれば、さすがに会社側も未払賃金の請求を無視できなくなるため、支払いに応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。

(5)損害賠償請求をしたいとき

「店先においてある商品が壊された」「ネットで名誉を傷つけられた」など、賠償金額が比較的少ない事件であれば、少額訴訟で解決できることがあります。弁護士をたてると費用倒れになる、加害者・被害者双方とも通常訴訟は望んでいない場合に利用するとよいでしょう。

2. 少額訴訟のメリット・デメリット

少額訴訟制度は通常訴訟よりも手軽に利用できる便利な制度のように見えますが、デメリットもいくつかあります。少額訴訟を利用する際には事前にメリット・デメリットを比較検討してから利用するようにしましょう。

(1)メリット①:訴訟費用が安くスピーディー

少額訴訟は原則として1日で審理が終わって判決まで出るので、スピーディーに手続きが終わる点がメリットです。
申し立てから判決までの期間も1~2か月程度しかかかりません。

また、訴訟費用も収入印紙代が1000~6000円と切手代のみですみます。そのため、債権者・債務者双方にとって負担が少なくすみます。ただし、管轄の裁判所が遠方にある場合はその分交通費がかかるため、その点は留意しておいたほうがよいでしょう。

(2)メリット②:相手が判決に従わない場合は強制執行もできる

相手方に金銭の支払いを命じる判決が出てもなお、相手方が支払おうとしない場合は、判決を債務名義に相手方の財産を差し押さえ、強制執行が可能です。少額訴訟では、通常の強制執行よりも簡便な手続である「少額訴訟債権執行」という制度が使えます。

ただし、相手方の財産調査については申立人が行わなければなりません。

(3)少額訴訟のデメリット:①訴額が60万円までに限られる

少額訴訟は訴額が60万円までに限られることがデメリットです。身内同士の借金でも金額が数十万円~100万円以上になるケースもありますし、企業同士では60万円を超えることも多いでしょう。その場合は、いくら少額訴訟にしたくても少額訴訟が利用できず、通常訴訟で争うことになります。

ただし、全額を請求するのではなく、一部請求として60万円を請求する場合には、少額訴訟を利用することが可能です。

(4)少額訴訟のデメリット:②通常訴訟に移行することがある

少額訴訟を申し立てても、相手方が通常訴訟を望んでいる場合や、裁判所が少額訴訟にふさわしい事案ではないと判断した場合は、通常訴訟に移行することがあります。
その場合、せっかく1回の期日のために準備を万全にしていても、その苦労が水の泡になってしまう可能性もあるのです。

また、証人がいる場合は、別の日に再度裁判所に来てもらうことも必要になります。

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