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- (更新:2023年05月29日)
- 債権回収
債権回収での少額訴訟とは? メリット・デメリットを解説
相手方にお金を支払ってほしい、あるいは、貸したお金を返してほしい場合、少額訴訟制度を利用することが考えられます。少額訴訟制度とは、請求金額の元本が60万円以下の場合に利用できる民事訴訟制度のひとつです。
少額訴訟制度はどのような場面で利用するのがよいのでしょうか。また、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
1. 少額訴訟はどんな場面で利用する?
少額訴訟は、主に事案がシンプルで証拠もそろっていて、請求金額が60万円以下と比較的少額の場合に用いられる法的措置のひとつです。具体的には、次の5つの場面で利用される傾向があります。
(1)お金の貸し借りをしたとき
個人間でお金の貸し借りをしていて、約束の期日を過ぎても相手からお金を返してもらえないケースがあります。親しい間柄であればあるほど、「返して」とは言いづらいこともあるでしょう。このような場合、少額訴訟を利用すれば、自分にとっても相手にとっても負担が少なく、迅速な問題解決が見込めます。
(2)敷金を返還してもらいたいとき
アパート・マンションの部屋を借りるときは、たいていの場合敷金を支払います。敷金は修繕の必要があったときのために大家さんに預けておき、退去するときには返還してもらえるものです。
ところが、退去時に敷金を請求しても返ってこないことも少なくありません。そういうときに、少額訴訟を起こすことで返還してもらえる可能性が高くなるのです。
(3)代金や売掛金を請求したいとき
「取引先に商品を納入したのに代金を支払ってもらえない」「業務委託で仕事をしたのに支払期日になっても売掛金を回収できない」といったケースにも少額訴訟が利用できます。
少額訴訟で相手方に支払いを命じる判決が出れば、相手方が支払いに応じることが期待できますし、その後も未払いが続く場合は強制執行もできるようになります。
(4)未払い賃金を請求したいとき
給料日には、それぞれの従業員が働いた分の給与をきちんと支払うことは事業主の義務です。しかしサービス残業を強要したり、持ち帰って仕事をさせた分の残業代を支払わないケースがよくあります。会社と交渉しようとしても、個人では相手にされないかもしれません。
しかし、少額訴訟で裁判所から支払いを命じられれば、さすがに会社側も未払い賃金の請求を無視できなくなるため、支払いに応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。
(5)損害賠償請求をしたいとき
「店先においてある商品が壊された」「ネットで名誉を傷つけられた」など、賠償金額が比較的少ない事件であれば、少額訴訟で解決できることがあります。弁護士をたてると費用倒れになる、加害者・被害者双方とも通常訴訟は望んでいない場合に少額訴訟を利用するとよいでしょう。
2. 少額訴訟のメリット
少額訴訟制度は通常訴訟よりも手軽に利用できる便利な制度のように見えますが、デメリットもいくつかあります。少額訴訟を利用する際には事前にメリット・デメリットを比較検討してから利用するようにしましょう。少額訴訟のデメリットを払拭できない場合、債権の回収は弁護士などの専門家へ相談し慎重に行うことが最善です。
それでは、まず少額訴訟のメリットからご説明します。
(1)訴訟費用が安く、出廷が1回で済みスピーディーである
少額訴訟は原則として1日で審理が終わって判決まで出るので、スピーディーに手続きが終わる点がメリットです。
また、訴訟費用も収入印紙代が1000~6000円と切手代のみですみます。そのため、債権者・債務者双方にとって負担が少なくすみます。ただし、管轄の裁判所が遠方にある場合はその分交通費がかかるため、その点は留意しておいた方が良いでしょう。
(2)相手が判決に従わない場合は強制執行もできる
相手方に金銭の支払いを命じる判決が出てもなお、相手方が支払おうとしない場合は、判決を債務名義に相手方の財産を差し押さえ、強制執行が可能です。少額訴訟では、通常の強制執行よりも簡便な手続きである「少額訴訟債権執行」という制度が使えます。
ただし、相手方の財産調査については申立人が行わなければなりません。
3. 少額訴訟のデメリット
(1)訴額が60万円までに限られる
少額訴訟は訴額が60万円までに限られることがデメリットです。身内同士の借金でも金額が数十万円~100万円以上になるケースもありますし、企業同士では60万円を超えることも多いでしょう。その場合は、少額訴訟が利用できず、通常訴訟で争うことになります。
ただし、全額を請求するのではなく、一部請求として60万円を請求する場合には、少額訴訟を利用できる場合があります。
(2)通常訴訟に移行することがある
少額訴訟を申し立てても、訟訴を起こされた相手方が通常訴訟を望んでいる場合や、裁判所が少額訴訟にふさわしい事案ではないと判断した場合は、通常訴訟に移行することがあります。
相手方が少額訴訟を拒否し通常訴訟を望む理由のひとつとして、弁護士を雇っていることがあげられます。相手方に弁護士がいるとわかっている場合は少額訴訟ではなく通常訴訟を考えた方が良いでしょう。
通常訴訟に移行することになれば、せっかく少額訴訟1回の期日のために準備を万全にしていても、その苦労が水の泡になってしまう可能性もあるのです。
また、証人がいる場合は、別の日に再度裁判所に来てもらうことも必要になります。
(3)審理が決まったら不服があっても控訴できない
通常訴訟の場合は、第一審判決に不服がある場合は上級審に控訴が可能です。しかし、少額控訴では不服申し立ては可能なものの、同じ裁判所に異議を申し立てることができるだけで、しかもさらに控訴することはできません。
そういった理由から、証拠が明確で勝訴が確実な場合のみ少額訴訟が有効といえます。
(4) 相手方が住所不明だと提起できない
少額訴訟では相手方の住所がわからないと訴訟が提起できません。ただし、相手方の勤務先がわかっていれば、少額訴訟でも住所の代わりに勤務先に訴状を送ることが考えられます(ただし、相手の名誉を傷つけないような配慮が求められる場合もありますので、弁護士にご相談ください)。
通常訴訟であれば、住所や勤務先が不明であっても公示送達が認められているため訴訟を提起できます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年05月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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