マンション近隣住民のタバコ臭が気になる…トラブル回避の解決法は
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マンション近隣住民のタバコ臭が気になる…トラブル回避の解決法は

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

マンションの入居者間のトラブルで多いのが、ベランダでの喫煙です。ベランダでタバコを吸うと、隣室や上下階の部屋の洗濯物に臭いが移ったり、開けている窓から部屋に煙が入ったりすることがあり、住人は不快な思いをするでしょう。

では波風を立てずに喫煙をやめてもらうには、どのようにしたらいいのでしょうか。

1. マンションのベランダでタバコを吸ってもいいのか

プライベートな空間であるマンションの部屋は、他人に侵害されたくないものです。特に非喫煙者の住人にとって、隣室からのタバコの煙はストレスになるでしょう。ではそもそもマンションのベランダでは、自由にタバコを吸ってもいいのでしょうか?

(1)管理規約で禁じられている場合は不可

ベランダでの喫煙が認められるかどうかは、マンションの管理規約によります。規約でベランダ喫煙が禁じられている場合には、喫煙は規約違反です。

そもそもマンションには「専有部分」と「共有部分」という区分があります。

分譲マンションの場合、玄関やトイレ、リビングなどの家の中は所有者の専有部分です。そのため喫煙は自由です。一方でマンションのエントランスや外廊下、自転車置き場などは共用部分に当たるため、利用の際は管理規約に従わなくてはいけません。

ベランダは専有部分と思われがちですが、災害時の避難経路として利用されることもあるため、共有部分と位置づけられています。ただし実際には緊急時でなければほかの部屋の住人が利用することはないため「専有使用部分」とされています。

専有使用が認められていることからベランダでの喫煙はOKと考える方もいるかもしれませんが、マンションの規約で禁止されている場合には、喫煙はNGです。

賃貸マンションの場合には、マンションの敷地も建物もオーナーの所有物です。ベランダはその部屋の住人が専用使用するものと位置づけされています。

ベランダでの喫煙を認めるかどうかは、賃貸借契約書などで定められています。禁止事項に含まれている場合は、住人はそれに従わなければいけません。最近ではベランダだけでなく室内なども禁煙にする禁煙マンションも出てきています。

(2)規約で禁じられていなくても不法行為になることがある

マンション管理規約や賃貸借契約書にベランダでの喫煙に関する規定がない場合、タバコを吸っても規約や契約違反には当たりません。だからといって自由に喫煙していいというわけではなく、場合によっては不法行為と判断される可能性があります。

ベランダ喫煙をめぐっては、重要な裁判例があります。

ぜんそくの持病があり、下の階の住人がベランダで喫煙することにストレスを感じていた住人が、何度苦情を言っても改善せず、管理組合が注意しても改善されなかったことから、損害賠償を求めて裁判を起こしました。

裁判所は「規約にベランダでの喫煙に関する定めがない場合でも、ほかの居住者に不利益を与えていることを知っていながら喫煙をつづけた場合は不法行為に該当する」とし、下の階の住人に賠償を命じました。

この判例をもとに考えると、たとえ規約や契約書で禁じられていなくても、ほかの住人への配慮を欠き、注意も聞き入れない場合には法的責任を問われることがあります。

2. 隣人トラブルを避けて問題解決するには

マンションでは喫煙のほか騒音やゴミなど、住人間でさまざまなトラブルが発生します。ではベランダでの喫煙問題をできるだけスムーズに解決するためにはどうしたらいいのでしょうか。

(1)直接苦情を言うのは避ける

連日のベランダ喫煙でイライラしているかもしれませんが、感情のままに相手の部屋を訪問し苦情を言うなどの行為はやめましょう。相手が逆上して暴力をふるってきたり、嫌がらせをしてきたりするおそれがあります。

フラストレーションがたまっていても、いったん冷静になり、ほかの方法で解決を図りましょう。

(2)管理組合、管理会社に相談

分譲マンションの場合、住人らで構成するマンション管理組合があるはずです。管理組合に状況を説明し、マンションの管理規約で喫煙が禁じられている場合には、掲示板の張り紙やチラシの投函により、喫煙をやめるように周知を促してもらいましょう。

賃貸マンションやアパートの場合には、管理会社に相談してください。管理会社も同様に張り紙や戸別訪問などにより、注意喚起をしてくれます。直接相手に喫煙をやめるように、伝えてくれるかもしれません。

なお喫煙の時間帯や被害の程度など、状況がわかるように記録を取っておくとよいでしょう。

(3)弁護士に相談

管理組合や管理会社からの注意、警告をもってしても相手がベランダ喫煙をやめない事態も考えられますので、弁護士に相談することも検討しましょう。ベランダ喫煙が不法行為といえるかどうかは、マンションの規約や被害状況などによります。弁護士は事情を聴き、契約書を調べたり判例を確認したりして、不法行為かどうか判断し、対処方法をアドバイスしてくれます。

タバコの煙による体調不調など大きな被害が出ている場合には、損害賠償請求など法的手続きも視野に入れて対応してくれますので、まずは相談してみましょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年10月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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