休日出勤を拒否したい|クビになる可能性があるって本当?

休日出勤を拒否したい|クビになる可能性があるって本当?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「上司から毎週のように休日出勤をお願いされる」「連勤ばかりで休みがほとんどない」などの悩みを抱える方は、少なくないものです。

この記事では、休日出勤を断れる正当な理由や、クビになる可能性があるかといった点を解説します。キャンセルが難しい予定などによって休日出勤を断りたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。

1. 条件を満たしていれば会社側は休日出勤を命令できる

休日出勤を断れるかどうかを判断するには、まず企業との契約における労働条件を確認しなければなりません。ここでは言葉の定義に触れながら、どういう条件下で企業が休日出勤を命じることが可能なのかについて解説します。

(1)休日出勤とは

そもそも休日出勤とは、労働義務のない休日に会社から出勤を命じられることです。休日出勤には「法定休日出勤」と「所定休日出勤」の2種類があります。

法定休日とは、企業は従業員に対して、1週間あたり1日もしくは4週間あたり4日の休日を与えなければならないと法律で定めたものです。一方、所定休日とは、法定休日のほかに決められた休日を指します。

たとえば、毎週土日が休みである場合は、法定休日のほかに所定休日を1日取っていることになります。この2種類の休日は、出勤した際の割増賃金率が異なるといった点で異なります。

(2)会社側が休日出勤を命令できる条件

法定休日に出勤を命じるのは違法となりうる行為であり、従業員は原則として出勤を拒否できます。しかし、下記の場合は労働義務が発生するため、命令を断ることができません。

  1. 36協定が締結されている
  2. 就業規則に休日労働の定めが置かれており、記載された要件を充足する

36(サブロク)協定とは、法定労働時間を超える労働をするときに、従業員と企業の間で結ばれる取り決めのことです。従業員の過半数で組織する労働組合、または従業員の過半数を代表する代表者が企業と書面を交わして締結します。

36協定を締結すると、企業は法定労働時間を超えた労働を命令できるようになるため、従業員は基本的に休日出勤を断ることができません。

また、企業によっては、就業規則や雇用契約書で休日出勤についての取り決めを定めています。それらに「企業は休日出勤を命令できる」といった記載がある場合は、従業員の個別の同意なしに命じられます。

(3)命令に根拠がないときは出勤を断れる

上記のように、36協定を結んでいて、かつ就業規則や雇用契約書で休日出勤の記載がある場合は、基本的に従業員は命令を拒否できません。しかし、企業によっては就労規則や雇用契約書などで、休日出勤を命じられる条件を定めているケースがあります。

たとえば、「業務上やむを得ない場合のみ、休日出勤を命令できる」とされているとき、緊急性が少なく必要のない場合には出勤を強要できません。また、冠婚葬祭や育児、介護などの事情があるときも拒否できることが多いでしょう。それらの事情は、平日にこなすのが難しく日程の調整が困難な場合が多いからです。

2. 休日出勤を拒否してクビ(懲戒処分)になる可能性は?

休日出勤の義務があるのにもかかわらず、正当な理由がないまま何度も拒否したり連絡を無視したりすると、懲戒処分を受ける可能性があります。しかし、懲戒処分を実行するには客観的かつ合理的な理由が必要です。休日出勤を一度断ったからといって、減給や解雇などにつながることはまずありません。

一般的には、始めに口頭や書面での注意を行い、それでも改善しないときは始末書の提出などの軽い懲戒処分を行います。その後も改善されないときは減給や出勤停止、降格などの処分が下されるケースが多いでしょう。

また、解雇をするときは懲戒解雇ではなく普通解雇を選択されることが一般的です。業務命令を数回違反した程度で懲戒解雇とするのは、正当ではないとみなされることが多いからです。

したがって、休日出勤を一度断っただけで解雇になったり、厳しい懲戒処分が下されたりした場合は違法と判断されることがあります。万が一、休日出勤を拒否してクビになったときは、すみやかに弁護士への相談を検討しましょう。

3. 休日出勤を拒否できる正当な理由とは?

休日出勤は、やむを得ない正当な理由があるときには断ることができます。具体的には、以下のケースです。

  • 冠婚葬祭
  • 引っ越し
  • 通院
  • 体調不良
  • 育児・介護

これらは日程を変更するのが難しく、休日に行われることが多い予定です。また、通院が必要な従業員や体調不良の従業員を無理に出勤させるのは安全への配慮に欠けるため、正当な拒否理由として認められています。

加えて、企業が定めた休日にあらかじめ育児休暇や忌引休暇、有給休暇などを申請している場合、企業は休日出勤を命令できません。どうしても休みたい休日があるときは、事前に休暇を申請しておくとよいでしょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年09月21日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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