パワハラの示談金、相場は? 悪質性で異なる慰謝料

パワハラの示談金、相場は? 悪質性で異なる慰謝料

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

労働者が上司などからパワハラ(パワー・ハラスメント)を受け、精神的損害などを被った場合、加害者や会社に対して慰謝料などを請求できます。実際には示談交渉を通じて、慰謝料に代わる「示談金(和解金)」の支払いに合意するケースが多いですが、パワハラ被害の示談金額はどのように決まるのでしょうか。

今回は、パワハラの示談金額の相場や、示談金が増額・減額される場合などについて解説します。

1. パワハラの示談金相場は?

職場におけるパワハラは、不法行為(民法第709条)や使用者責任(民法第715条)に基づく損害賠償請求の対象です。

損害賠償に代えて示談金の支払いを合意する場合、示談金額は被害者・加害者間の合意で決まります。示談金額の交渉に当たっては、被害者に生じた客観的な損害額が考慮され、それに近い金額で合意に至るケースが多いです。

パワハラによって被害者に生じる損害額がどのくらいかについては、個々のケースに応じて判断する必要があります。

あくまでも目安ですが、精神的損害を被ったのみであれば、パワハラの示談金は数十万円~100万円程度が相場と考えられます。これに対して、パワハラの結果として被害者が自殺に至ってしまった場合には、示談金額が数百万円~数千万円に上る可能性もあります。

このように、一言で「パワハラ被害」と言っても、その内容・実態はさまざまであり、個々のケースをよく分析して示談金額の目安を見定める必要があるのです。

2. パワハラの示談金を増額できる場合とは? 減額される場合もある?

パワハラの示談交渉を行う際には、パワハラ行為の内容や被害者の損害の大きさなどを踏まえて、相手方の提案が適正かどうかを見極め、自らも適正額を提案することが大切です。

(1)パワハラの示談金額を左右する主な考慮要素

パワハラの示談金額は、主に以下の要素によって増減します。

  1. パワハラ行為の悪質性
  2. パワハラ行為の頻度、期間
  3. 被害者側の素因
  4. 精神的損害以外に生じた損害

など

(2)パワハラの示談金増額が認められやすいケース

上記の各考慮要素に対応して、パワハラの示談金増額が認められやすい場合の例を挙げます。

①パワハラ行為の悪質性

  • 極めて強度の暴力が振るわれた場合
  • 非常に口汚い侮辱的な発言が、公の場でなされた場合
  • あまりにも激しいプライベートの詮索が行われた場合

②パワハラ行為の頻度、期間

  • 週に何度も暴力が振るわれる状態が数か月間に及んだ場合
  • オフィスへ出勤するたびに、他の従業員の前で罵倒される日々が数か月間続いた場合
  • プライベートの詮索がエスカレートして頻回に及び、ストーカー行為に発展した場合

③被害者側の素因(普通の人より傷つきやすいなど)

  • 被害者が忍耐強く仕事をすることで知られていた場合(忍耐強い被害者に大きなショックを与えるほどの、悪質なパワハラが行われたことが推認される)

④精神的損害以外に生じた損害

  • 長期間にわたる通院を余儀なくされた場合
  • パワハラに起因して発症したうつ病が深刻化して働けなくなり、収入が大きく減少した場合
  • パワハラに起因して被害者が自殺した場合

(3)パワハラの示談金が減額される可能性のあるケース

これに対して、以下の事情が存在する場合には、パワハラの示談金が減額される可能性もあります。

①パワハラ行為の悪質性

  • 叱責の際に口汚い暴言が見られたものの、叱責自体には業務指導上の必要性が認められる場合

②パワハラ行為の頻度、期間

  • 暴力や暴言などが行われたが、単発にとどまった場合
  • 1週間にわたって集中的に口汚い暴言が発せられたが、その後は加害者が改心して、暴言が浴びせられることはなくなった場合

③被害者側の素因

  • 被害者が普通の人よりかなり傷つきやすい性格の場合(パワハラにより大きなショックを受けたことは、被害者の素因による部分が大きく、パワハラ自体に起因する損害は小さいと判断される)

④精神的損害以外に生じた損害

  • 被害者が精神障害を発症するまでには至らず、通院等も特に必要としなかった場合

このようにパワハラの示談金は、個々のケースにおける事情によって増減します。

加害者や会社に対して慰謝料請求の示談交渉を行う際には、被害者側に有利な事情・不利な事情を整理したうえで、適正額の請求を行うことが大切です。事案によってはパワハラがあったとしても慰謝料が発生せず、慰謝料請求の裁判を起こしても請求が棄却されることもあります。どの程度の金額を請求するのが妥当か、どのように交渉すれば有利な結果を得られるかなどについては、弁護士への相談をお勧めいたします。

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