家族間の脅迫でも逮捕される?

家族間の脅迫でも逮捕される?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

家族・親族に対して脅迫を行った場合、他人に対する脅迫と同様に逮捕、起訴され、有罪判決を受ける可能性があります。もし家族・親族に対する脅迫で逮捕された場合には、速やかに弁護士までご相談ください。

今回は、家族・親族間の脅迫事件によって逮捕される可能性や、逮捕後の手続きの流れについて解説します。

1. 脅迫の相手が家族や親族でも、逮捕される可能性あり

人(その親族含む)の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫した場合、加害者は「脅迫罪」(刑法第222条)により罰せられる可能性があります。脅迫罪は、家族や親族に対する脅迫行為にも適用されるので注意が必要です。

(1)脅迫罪は非親告罪

刑事訴追に告訴は不要

「家族や親族を脅迫しても、警察に告訴されることはないから大丈夫だろう」このように高をくくるのは非常に危険です。

原則として被害者本人の告訴がなければ、刑事訴追が認められない犯罪を「親告罪」と言います。しかし、脅迫罪は親告罪ではないので、被害者本人の告訴がなくても、逮捕・起訴されて刑事罰を受ける可能性があるのです。

仮に被害者本人が被害届を提出しなくても、周囲の親族などが脅迫行為を警察に告発すれば、捜査が及んで逮捕等に至る可能性があるので注意しましょう。

(2)脅迫罪に親族相盗例は適用されない

家族・親族間の脅迫も処罰され得る

親族間の犯罪について刑が免除されるケースとして、親族間の犯罪に関する特例、いわゆる「親族相盗例」が存在します。親族相盗例が適用される場合、配偶者・直系血族・同居の親族に対する犯罪は刑が免除され(刑法第244条第1項)、それ以外の親族に対する犯罪は親告罪となります(同条第2項)。

しかし脅迫罪については、親族相盗例は適用されません。親族相盗例は、窃盗罪、恐喝罪、詐欺罪などの財産犯について適用されますが(刑法第244条第1項、第251条)、脅迫罪はその対象に含まれていないからです。

したがって、たとえ脅迫の被害者が家族や親族であっても、犯人は通常どおり脅迫罪によって罰せられる可能性があります。

2. 家族・親族に対する脅迫で逮捕された後の手続きの流れ

家族・親族を脅迫して逮捕された場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。身柄拘束によって身動きが取れなくなってしまうので、弁護士への依頼をお勧めいたします。逮捕されなくても、在宅事件として捜査されることもあります。

(1)逮捕・起訴前勾留

脅迫罪の疑いで逮捕されたら、最長72時間(3日間)、逮捕による身柄拘束が行われます(刑事訴訟法第205条第2項)。

検察官は、罪証隠滅や逃亡を防ぐためにさらなる身柄拘束が必要と判断した場合には、裁判官に対して勾留請求を行います(同条第1項)。裁判官が勾留請求を認めれば、さらに最長20日間、起訴前勾留による身柄拘束が続きます(同法第208条第1項、第2項)。

弁護士に刑事弁護を依頼する場合、起訴前の勾留期間中は、被害者との示談を試みるなどして、検察官に起訴の必要性がないことを訴えます。また、起訴前勾留の処分に対しては、準抗告による異議申し立てを行うことも可能です(同法第429条第1項第2号)。

これらの身柄解放に向けた活動を行うためには、弁護士によるサポートが必須といえるでしょう。

(2)正式起訴・略式裁判請求・不起訴

起訴前勾留期間の満了までに、検察官は以下のいずれかの処分を行います。

①正式起訴

通常の方式で被疑者を起訴し、裁判所に対して公判手続きを請求する処分です。

②略式命令請求(略式起訴)

100万円以下の罰金または科料を課す場合に限り、裁判所に対して、略式命令により簡易的に刑を科すことを請求する処分です。被疑者本人に異議がないことが、略式命令請求の要件となります。

③不起訴

被疑者に対して刑を科すことを請求せず、刑事手続きを終了する処分です。嫌疑なし・嫌疑不十分の場合のほか、被疑者の性格や年齢、境遇、情状などにより、社会内で更生を促すべきとの判断から不起訴とする「起訴猶予」があります。

(3)起訴後勾留

保釈が認められる場合あり

略式命令に応じて罰金・科料を支払った場合、または不起訴処分となった場合には、刑事手続きは終了して被疑者の身柄は解放されます。これに対して、正式に起訴された場合には、起訴前勾留が起訴後勾留へと自動的に切り替わり、被疑者の身柄は引き続き拘束されます。

なお起訴後勾留中は、起訴前勾留中とは異なり、一定の保釈保証金を預けることで、暫定的に身柄拘束を解く「保釈」が認められることがあります(刑事訴訟法第89条、第90条)。

保釈請求を行う際には、保釈の法的根拠を明らかにする必要があるほか、保釈保証金の準備に家族などの協力も必要です。弁護士に保釈請求を依頼すると、家族などの窓口対応も含めてサポートしてくれます。

(4)公判手続き・判決

公判手続きでは、検察官が犯罪事実を立証し、被告人とその弁護人はそれに対して反論します。

被告人の方針としては、罪を認めて寛大な処分を求めるか、犯罪事実を否認して争うかの大きく2通りに分かれます。被告人は、弁護士と話し合いながら、どちらの方針で公判手続きに臨むかを判断しなければなりません。

検察官により、犯罪の成立要件がすべて立証された場合、裁判所は被告人に対して有罪判決を言い渡します。これに対して、犯罪の成立要件の一つでも立証が失敗した場合には、裁判所は被告人に対して無罪判決を言い渡します。

(5)判決の確定・刑の執行

刑事裁判の判決は、控訴期間の経過によって確定します。控訴期間は、判決の言い渡しから14日間です(刑事訴訟法第373条)。

被告人または検察官が控訴した場合、高等裁判所で引き続き刑事裁判の審理が行われます。さらに、高等裁判所の判決に対しては、上告が認められる場合もあります(同法第405条)。

刑事裁判の判決が確定した後、被告人に対して刑が執行されます(同法第471条)。懲役または禁錮の実刑判決であれば刑務所に収監されますが、執行猶予付き判決であれば、一定期間収監が猶予されます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年09月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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