私立学校の退学処分を回避できる? 弁護士にできることを解説
何らかの非行や校則違反を犯してしまった場合には、学校から退学処分を受けることがあります。退学処分を受けてしまうと、子どもの将来にも大きな影響を与えることになりますので、保護者としては退学処分の回避を求めたいと考えることでしょう。
今回は、私立学校で退学処分を受けた場合の対処法について解説します。
1. そもそも学校は自由に退学させられる?
そもそも学校は、生徒を自由に退学させることができるのでしょうか。
(1)退学処分とは
退学処分とは、学校側が生徒や学生の意思にかかわらず、一方的に在学関係を終了させる処分のことをいいます。
子どもには、教育を受ける権利がありますので、義務教育課程である公立小学校や公立中学校では、学校側は退学処分をすることができません。しかし、公立の高等学校や大学、私立学校であれば退学処分をすることができます。
(2)退学処分は自由にできるわけではない
退学処分は、生徒が学校で学ぶ機会を一方的に奪う処分ですので、学校側が行う処分のなかでも最も重い処分になります。生徒に対する不利益も非常に大きいことから、学校長が行う退学処分にも一定の制限があり、いつでも自由に退学処分を行うことができるわけではありません。
当該行為の軽重、本人の性格、他の生徒に与える影響などを考慮して、退学処分が学校長の裁量権を逸脱していると認められる場合には、退学処分は無効になります。
2. 退学処分は回避できる?
学校からの退学処分を回避するためには、以下のような対応をとる必要があります。
(1)交渉、監督機関への是正申込、民事調停
私立学校から退学処分を受けたとしても、退学処分が裁量権の逸脱にあたる場合には、退学処分の撤回を求めることができます。
そこで、学校との交渉、監督機関への是正申込、民事調停などの方法によって話し合いでの解決を図ります。学校側の不十分な調査によって、違反行為をしていないにもかかわらず違反行為が認定された場合には、再調査を求めることなどによって退学処分の撤回が認められる可能性もあります。
(2)仮処分や執行停止などで退学処分を一時的に停止させる措置
学校との話し合いでは解決できない場合には、訴訟提起などの法的手続きによって解決を図ります。しかし、後述する退学処分無効確認訴訟では、解決までに1年以上もかかることがあり、その間学校で学ぶ機会を奪われてしまいます。
このような場合には、裁判所に仮の地位を定める仮処分や執行停止などの申し立てをすることで早期の復学や退学処分の一時停止などを実現することができます。
(3)退学処分無効確認訴訟や損害賠償請求訴訟を提起
裁判所に退学処分の無効確認訴訟を提起して、学校長による退学処分が裁量の逸脱にあたると認められれば、復学が可能です。また、その場合には、違法・不当な退学処分によって教育を受ける機会を奪われていますので、損害賠償請求をすることも可能です。
3. 退学処分に対して弁護士ができることは?
退学処分を受けた場合には、弁護士に相談をすることによって、以下のようなサポートを受けることができます。
(1)退学処分の適法性についてのアドバイスをもらえる
学校が行う退学処分には、一定の制限があり、自由に退学処分を行うことができるわけではありません。弁護士に相談をすることによって、退学処分に至った経緯などを踏まえて、退学処分の撤回を求めることができるかどうかについてのアドバイスを受けることができます。
(2)学校との交渉を弁護士に任せることができる
退学処分を受けた場合には、まずは学校側との話し合いによって退学処分の撤回を求めていきます。しかし、生徒や保護者だけでは退学処分の違法性を主張して、学校側に撤回を認めさせるのは難しいといえます。
弁護士であれば、法的観点から退学処分の違法性を主張することができますので、学校側との話し合いによって早期に復学が認められる可能性があります。
(3)法的な手段に進むことができる
学校側との話し合いで解決することができない場合には、退学処分無効確認訴訟の提起や仮の地位を定める仮処分の申し立てといった法的手段をとる必要があります。
話し合いであれば当事者だけでも対応できる場合もありますが、このような法的手段をとる場合には、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。複雑な裁判手続きに適切に対応するためにも弁護士への依頼をおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年05月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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