
- (更新:2022年05月20日)
- 学校問題
学校の退学と除籍、違いってどんなもの? 将来への影響
学校を卒業するまでの中途段階でやめることを、広く「退学」や「中途退学(中退)」と呼びますが、特に大学をやめる場合には退学と似た処分として「除籍」とされることがあります。
退学と除籍は、同じような意味でとらわれがちですが、詳しくみれば意味が異なり、その後の生活に与える影響も異なるものです。
「退学」と「除籍」の違いや、不本意な処分を受けた場合の対策を紹介しましょう。
1. 退学と除籍の違い
「退学」と「除籍」は、同じような場面で使われる用語です。ただし、それぞれがもつ意味を詳しく見て比較すると、その後の就職活動などにおける影響は同じではありません。
(1)退学とは
退学とは、学生が学校をやめることを意味します。ひとくちで「退学」といってもいくつかの種類があるため、状況によって意味合いが異なります。
①自主退学
学生本人の意思による退学です。別に希望する進路がみつかった、経済的に苦しくこれ以上は在学するのが難しくなった、体調不良で治療に専念することになったなど、理由はさまざまでしょう。
②懲戒退学
刑事事件を起こして逮捕された、大学の信頼を損ねる重大な非違事案を起こしたなど、大学側から退学処分とされるものです。
③措置退学
学費の未納など、在学契約に反した場合の処分です。
(2)除籍とは
除籍とは、大学側が学生を在籍者名簿から外すことを意味します。事務的な処理によって学籍が削除されるため、除籍を受けると「在籍していない」という立場になります。
除籍となるのは次のようなケースです。
- 期限までに学費を納付しなかった
- 在籍限度の年数を超えた
- 休学期間を超えた
- 学業を怠り、卒業できる見込みがない
(3)退学と除籍、どちらが不利か?
退学と除籍は、それぞれの意味をみれば異なるものですが、法律などによる統一された規格は存在しないため、厳密に区別することはできません。
たとえば、学費の未納を理由とした場合でも、措置退学とする大学があれば除籍とする大学もあります。
このように見ると、退学と除籍の違いはあいまいなもので、どちらが有利・不利であるのかも一定ではありません。
ただし、多くの大学では、除籍者について在学中に取得した単位も一切認めず成績証明書を発行しない、除籍者の編入を認めないなど、除籍のほうが不利な扱いを受けることが多いようです。
また、退学に対する一般的なイメージは自主退学であるため、除籍は「大学側から学籍を抹消された」という事実が浮き彫りになりやすく、悪い印象を与えてしまいます。
就職活動における学歴欄に記載すれば「なぜ除籍されたのか?」と注目されやすいため、将来においても除籍を受けたほうが不利になるといえるでしょう。
2. 事実と反する理由で除籍や退学を求められたら
思いがけずトラブルに巻き込まれてしまったことを理由に、大学側から除籍や懲戒的に退学処分を受けてしまうケースも少なからず存在します。
事実と反する理由で不本意な処分を受けてしまえば、将来における悪影響が生じるおそれもあるので、直ちに対策を講じなくてはなりません。
(1)不本意な処分は取り消しを求める
あらぬ疑いをかけられて除籍や退学処分を受けた場合は、大学側に対して不服を申し立てて処分の取り消しを求めるべきです。処分を取り消すことができれば、復学や再入学によって大学に在籍し続けることが可能になります。
また、除籍ではなく退学とすることが認められれば、その後の就職活動などで不利な扱いを受ける事態も回避できる可能性があります。
(2)弁護士に対応を依頼する
学生本人やその家族による交渉では、処分の取り消しは難しいでしょう。大学側との交渉は、弁護士を代理人として進めることをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、除籍・退学処分が妥当ではないことを法的な立場から具体的に証明しながら、除籍・退学といった不本意な処分を取り消すよう交渉を進められます。大学側が要求に応じない場合は、処分を取り消すよう裁判に訴えることになりますが、裁判の準備や対応も弁護士に一任したほうがよいでしょう。
状況次第では、除籍・退学処分によって被った精神的苦痛を理由に損害賠償を請求できる可能性もあります。直ちに弁護士に相談して、詳しい状況を説明したうえで適切なサポートを受けましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2022年05月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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