【少年事件】家庭裁判所から学校に連絡が行ったら高校は退学になる?

【少年事件】家庭裁判所から学校に連絡が行ったら高校は退学になる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

大学受験を控えた高校生のわが子が事件を起こして逮捕された場合、気になるのが退学処分にされるかどうかです。退学処分で子どもの将来に悪影響が及ぶのは、親として避けたいところです。

本コラムでは、少年事件の基本的な流れや逮捕によって退学処分にされる可能性、退学処分を回避するための方法について解説します。

1. 事件を起こしたら学校にばれる? 家庭裁判所から連絡は行くのか?

通常、高校生が何らかの犯罪を起こして警察に逮捕されると、警察や検察官が取り調べをしたのち、家庭裁判所に引き継がれ、犯罪の内容や少年の生活環境などを総合的に考慮して処分が決められます。この一連の流れの中で、警察や家庭裁判所から学校側に連絡が行く可能性があります。

(1)警察からの連絡

少年事件では大前提としてまず親元へ連絡が行きますが、警察と学校の間には「学校・警察相互連絡制度」が結ばれています。学校・警察相互連絡制度とは、児童・生徒の健全な育成や非行・犯罪行為の再発防止を目的に、連携が必要と認められた場合、警察と学校が連絡を取り合って児童や生徒の個人情報を共有する制度のことです。

そのため、学校へ通う未成年者が傷害や暴行事件、窃盗事件など重大な事件を起こして逮捕された場合、警察から学校側へ連絡が入る可能性が高いです。

(2)家庭裁判所からの連絡

少年事件では成人の事件と異なり、どこかのタイミングで必ず家庭裁判所に引き継がれます。家庭裁判所では、その少年の生活状況をさまざまな角度から調査し、処分を下します。家庭裁判所から学校へ連絡が行くのはこの調査の一環です。普段の生活態度や交友関係、成績などを学校から聞き取り、保護処分や検察官送致などの処分を決めます。

2. 家庭裁判所から高校に連絡が行くと退学処分になる?

警察や家庭裁判所からの連絡が退学処分につながるかどうかは、事件の内容はもちろん、通っている高校が公立か私立かによっても大きく異なります。

(1)公立高校の場合

退学処分になるのは、重大な犯罪行為や少年院送致が決定されたケースのみに限られているのが一般的です。ただし、高校は義務教育ではありません。事件の悪質性や普段の素行、成績、他の生徒への影響、前例など多角的な観点から判断し、最終決定権を有する校長が退学処分を決める場合もあります。

(2)私立高校の場合

各校が独自に退学処分の基準を定めています。そのため、私立高校は公立高校よりも処分の裁量が広く、退学処分に踏み切るハードルが低い傾向にあります。なお、退学処分の基準は校則に明記されていることがあるため、まずは校則を確認しましょう。

総じて言えば、公立・私立問わず、基本的には学校側の裁量に委ねられます。そして、逮捕されたことが学校側に伝わっても退学理由になるとは限りません。

しかし、事件が傷害や強盗、性犯罪のように重大な犯罪に該当する場合は、即退学処分を下される可能性もあります。また、比較的罪の軽い犯罪でも常習性がある場合や、普段の素行が悪くて更生が見込めない場合、校則の厳しい学校の場合などでは、厳しい処分が出る可能性も否定できません。

3. 逮捕による退学処分を回避するためには

逮捕による退学処分をできる限り免れるためには、事件が発覚したらすぐに弁護士へ連絡し、警察や家庭裁判所、そして学校側へ適切に働きかけてもらうことが非常に重要です。弁護士に依頼することで、以下の対応が期待できます。

(1)警察や家庭裁判所への対策

前述したように、警察には学校との間に学校・警察相互連絡制度がありますが、必ずしもすべての事件で学校側に連絡を入れるわけではありません。そのため、逮捕後すぐに弁護士に依頼することで、警察や家庭裁判所に対して学校への連絡を控えるように働きかけ、事件の連絡自体を回避できる場合があります。

また、逮捕後すぐは弁護士しか面会できません。弁護士がいることで早期釈放に向けて活動しつつ、面会を通して子どもに適切なアドバイスやサポートをしてもらうことが可能です。

(2)学校に事件が発覚した場合の対応方法

学校側は事件について知った際、さまざまな観点から処分内容を決めます。だからこそ退学処分を避けるためには、事件の内容や原因、背景、本人の反省や更生に対する意欲、家族や周囲による今後の監督体制などについて、できるだけ具体的かつ丁寧に学校側へ伝えることが求められます。弁護士ならば、当事者である本人やご家族では説明しにくいことも整理し、退学処分は重すぎることを学校へアピールできます。

このように弁護士は、警察や家庭裁判所、そして学校との交渉を通して、退学処分を避けるための手助けをします。もちろん、事件の弁護や被害者との示談交渉など、処分を軽減するための活動も行ってくれるため、少年の更生意欲を支える観点からも役立ちます。

弁護士による早急な対応は、子どもやその家族の精神的なサポートになります。子どもが少年事件で逮捕された場合には、退学処分を回避するためにもなるべく早く弁護士へ連絡し、警察や家庭裁判所、学校との交渉にあたってもらいましょう。

弁護士JP編集部
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