リベンジポルノ防止法ってどんな法律? 被害の相談先と防止策も紹介
近年、ストーカーやDVなどの被害と同じように危険視されているのが、「リベンジポルノ」と呼ばれる行為です。警察への相談は年々増加しており、令和3年の時点で5年連続の増加、相談件数は過去最多を記録しました。
このような状況から、リベンジポルノの被害防止を目的に制定されたのが、「リベンジポルノ防止法」です。リベンジポルノの実態や、リベンジポルノ防止法の内容などをみていきましょう。
1. リベンジポルノ防止法ってどんな法律?
「リベンジポルノ防止法」の正式名称は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」です。
この法律は、いわゆるリベンジポルノにあたる画像を公開されることで生じる個人の名誉や私生活の平穏の侵害を防ぐために制定されたもので、主に元交際相手などからの性的な被害から女性を守る役割が期待される法律です。
(1)リベンジポルノ防止法で処罰される行為
リベンジポルノ防止法では、性交や性交類似行為をしている様子、人の性器などを触る様子、衣服の全部や一部を着けていない様子などを撮影した画像を「私事性的画像記録」と定義し、次の行為を処罰の対象としています。
- 公表罪
・第三者が撮影された対象者が誰なのかを特定できる方法で、インターネット等を通じて私事性的画像記録を不特定・多数の者に提供する行為
・第三者が撮影された対象者が誰なのかを特定できる方法で、私事性的画像記録を印刷した写真などを不特定・多数の者に提供したり、公然と陳列したりする行為 - 公表目的提供罪
公表罪に該当する上記各行為を実施する目的で、インターネット等を通じて私事性的画像記録を提供したり、その印刷物などを提供する行為
(2)違反した場合の罰則
リベンジポルノ防止法の違反には、次のとおり罰則が設けられています。
- 公表罪:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 公表目的提供罪:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
悪質なケースでは、刑務所に収監されることもある犯罪です。
2. リベンジポルノは実在する! 逮捕の実例
リベンジポルノの被害は、他人ごとではありません。とはいえ、実際に自分が被害に遭ってみないと、「法律で規制されているのにリベンジポルノを公開するなんて行為を働く人なんているのだろうか?」と疑問に感じる方も少なくないでしょう。
しかし、リベンジポルノの被害は確実に存在しています。
(1)リベンジポルノ被害の実態
警察庁の発表によると、令和3年中に全国の警察へ寄せられたリベンジポルノ被害の相談件数は1628件でした。単純に計算すると、一日あたり4件を超える相談が毎日寄せられているという状況です。被害者の88%は女性で、とくに20代以下に被害が集中しています。
被害者と加害者の関係の半数は、交際相手や元交際相手です。ただし、近年の事例では、「ネット上だけの知人・友人」が増えています。ネット上だけの関係でも、「裸の画像を送って」などと求められ、これに応じてしまうと、リベンジポルノの被害に遭うかもしれません。
(2)リベンジポルノ防止法違反で加害者が逮捕された事例
リベンジポルノ防止法に違反した容疑で加害者が逮捕された事例も存在しています。令和4年9月には、知人女性の性的画像をSNSに投稿した疑いで、無職の男が逮捕されました。
逮捕された男は、リベンジポルノ防止法違反のほかにも、ストーカー規制法・不正アクセス禁止法の違反にも問われています。恋愛感情を満たす目的で、性的画像を被害女性のSNSに投稿するなどのストーカー行為や、被害女性が利用するSNSに不正アクセスした疑いが持たれています。
リベンジポルノ防止法違反にあたる行為は、それ単体だけでなく、ストーカー行為など別の犯罪行為と併せて問題となることが多いという点を覚えておきましょう。
3. リベンジポルノが怖い! 誰に相談すればいい?
リベンジポルノの被害に遭うと、平穏な社会生活が大きく脅かされてしまいます。実際に被害が発生している場合はもちろん、元交際相手などから脅されており、リベンジポルノの被害に遭う危険があるという状況なら、ただちに適切な相談先に助けを求めましょう。
(1)身の危険を感じたら最寄りの警察へ
犯罪を捜査し、容疑者の逮捕や検挙といった活動をするのは警察の役目です。身の危険を感じていたり、すでに被害が発生しており加害者に罰を下してほしいと強く望んでいる場合、警察への相談を急ぎましょう。
なお、リベンジポルノ防止法違反にあたる公表罪・公表目的提供罪は、いずれも「親告罪」です。親告罪とは、検察官が刑事裁判を起こす際に被害者による「告訴」が要件となる犯罪で、告訴がない場合は検察官が起訴できず、加害者の罪を問えません。
告訴の方法は、口頭・書面のどちらでもよいことになっていますが、被害の状況を正確に伝えたうえで、捜査の実施を強く求めたい場合は、最初の段階から「告訴状」を持参したほうがよいケースもあると覚えておきましょう。
(2)画像の削除や慰謝料請求は弁護士へ
リベンジポルノ行為の最も怖いところは、インターネットを通じて不特定・多数の人に自分の性的な画像が拡散されてしまうという点です。被害の拡大を防ぐには、公表された画像の削除を急ぐ必要があります。
公開されている画像の削除には、SNSなどの運営会社に対する削除請求や、裁判所の手続きを利用した法的措置が欠かせないので、個人での対応は困難です。
また、性的な画像が拡散されたことによって生じた損害の賠償や、精神的苦痛に対する慰謝料などの支払いを求めたいと考えるのも当然ですが、被害者が加害者に直接請求するのは危険が伴います。
削除請求や、慰謝料などの請求は、警察では対応してもらえません。まずは画像の削除を優先したい、加害者の処罰までは考えていないが慰謝料などは請求したいと考えているなら、警察への相談に先立って弁護士に相談するのもよいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年04月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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