不倫の慰謝料請求には時効がある?請求のベストタイミングとは
配偶者が不倫(浮気)をしていた場合、配偶者および不倫相手に対して慰謝料を請求できます。ただし、慰謝料請求権には消滅時効があるため、必ず時効完成前に請求しなければなりません。
この記事では、不倫慰謝料請求権の消滅時効(および除斥期間)について解説します。
1. 不倫慰謝料の消滅時効・除斥期間について
配偶者や不倫相手に対して不倫慰謝料(不貞行為慰謝料・離婚慰謝料)を請求する場合、不法行為の消滅時効および除斥期間に注意する必要があります。
(1)消滅時効・除斥期間とは?
消滅時効・除斥期間は、いずれも債権の請求期限を意味しており、経過すると債務者に対して債務の履行を請求できなくなってしまいます。
なお、消滅時効と除斥期間は、以下の2点で異なります。
- 消滅時効は、完成猶予(ストップ)および更新(リセット)が認められます。これに対して除斥期間は、ストップ・リセットが認められず、常に不変期間となります。
- 消滅時効は、債務者が援用(完成を主張)して初めて、債務消滅の効果を生じます。これに対して除斥期間は、援用は不要であり、期間の経過によって自動的に債務が消滅します。
(2)民法改正前
消滅時効・除斥期間の両方が適用
不倫の慰謝料請求権は、民法上の「不法行為責任」(民法第709条)に基づいて発生します。
不法行為に基づく損害賠償請求権の期間制限については、2020年4月1日施行の改正民法によってルールが変更されました。そのため不倫慰謝料についても、民法改正前後で取り扱いが異なります。
まず、民法改正前の2020年3月31日以前に行われた不倫の慰謝料請求権は、以下のとおりです。
民法改正前の2020年3月31日の時点で不法行為の時から20年が経っている場合、消滅時効と除斥期間の両方が適用されます。
- 消滅時効:損害および加害者を知った時から3年
- 除斥期間:不法行為の時から20年
不倫のケースに即して考えると、被害者が不倫の事実および不倫相手を知った時から3年で、慰謝料請求権は時効消滅してしまいます。また、不倫の事実および不倫相手に気づいていないとしても、不倫があった時から20年が経過すると、慰謝料請求権は除斥期間によって消滅してしまいます。
次に、2020年3月31日の時点では不法行為の時から20年が経過していない場合、以下のとおり消滅時効のみが適用されます。
消滅時効:
- 損害および加害者を知った時から3年
- 不法行為の時から20年
(3)民法改正後
消滅時効のみ
改正民法が施行された2020年4月1日以降に行われた不倫の慰謝料請求権については、以下のとおり、消滅時効のみが適用されます。
消滅時効:
- 損害および加害者を知った時から3年
- 不法行為の時から20年
民法改正により、不法行為の除斥期間が消滅時効に統一されたため、上記の取り扱いになっています。債権者(不倫の被害者)としては、「不法行為の時から20年」が除斥期間から消滅時効へと変更され、時効の完成猶予や更新が認められるようになった点で、有利な変更といえるでしょう。
2. 不倫慰謝料の消滅時効期間を過ぎていた場合の対処法
権利の承認を主張
不倫慰謝料の消滅時効期間が過ぎてしまったとしても、時効期間内に配偶者や不倫相手によって「権利の承認」(民法第152条第1項)がなされたと認められる場合には、消滅時効が更新され、リセットされます。
「権利の承認」とは、債務者が債権者に対して、自ら債権の存在を認めることをいいます。また、債務者が債権の存在を前提とした行為をした場合も、黙示的に「権利の承認」があったと認められます。
権利の承認に該当し得る行為の例は、以下のとおりです。
- 債務の支払いを待ってほしいと頼む行為(支払い猶予の要請)
- 債務の一部を弁済する行為
- 反対債権との相殺を主張する行為
など
債務者(配偶者・不倫相手)の過去の行動を細かく分析することにより、権利の承認に該当する行為が見つかる可能性があるので、一度弁護士に相談してみましょう。
また、時効期間が経過した後になされた権利の承認の場合も、これによりその後に時効を援用することが許されず、結果として期間の経過により権利が消滅しない場合があります。権利の承認にあたりうるかもしれないと考える事情がある場合には、弁護士にご相談されるとよいでしょう。
3. 消滅時効の完成が迫っている場合の対処法
内容証明郵便の送付等
慰謝料請求権の消滅時効の完成が迫っている場合、ひとまず時効の「完成猶予」の効果を生じさせるための対応をとりましょう。「完成猶予」とは、消滅時効の進行を一時的にストップさせることをいいます。
時効の完成猶予の効果を生じさせるためには、内容証明郵便による催告(民法第150条第1項)を行うのが一般的です。すなわち、「不倫慰謝料の支払いを請求する」という内容の内容証明郵便を、配偶者または不倫相手に送付することで、慰謝料請求権の消滅時効が6か月間ストップします。
この6か月の間に、裁判所に対して訴訟を提起すれば、訴訟が終了するまで完成猶予期間を延ばせます(民法第147条第1項)。そして、判決が確定した段階で、慰謝料請求権の消滅時効はリセットされます(同条第2項)。
このように、消滅時効の完成を阻止するには、即座に、かつ、訴訟を視野に入れた対応が必要になりますので、お早めに弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2022年03月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
離婚・男女問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年10月02日
- 離婚・男女問題
-
- 2024年09月27日
- 離婚・男女問題
-
- 2024年08月16日
- 離婚・男女問題
離婚・男女問題に強い弁護士
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00