自己破産と生活保護はどっちが先? 借金が厳しいときの手続きを解説

自己破産と生活保護はどっちが先? 借金が厳しいときの手続きを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

現在、まとまった収入がなく生活が困窮しており、なおかつ借金の返済を抱えている場合、自己破産の申し立てと生活保護の申請を視野に入れなくてはなりません。その場合、どちらの手続きを先に実行するべきなのでしょうか。

本コラムでは、自己破産と生活保護の概要を紹介するとともに、それぞれの優先順位について状況別に解説します。

1. 自己破産と生活保護とはどのような手続き?

自己破産とは、裁判所に破産申立書を提出して免責許可を得る一連の手続きを指します。わかりやすく言えば、現在保有している資産や今後得られる収入では借金の返済が不可能であると裁判所に認めてもらい、借金の返済義務を法的に免除してもらう制度です。

自己破産は債務整理の一形態であり、その他にも返済負担の軽減を交渉する任意整理や、資産を維持したまま債務を減額する個人再生などの手続きがあります。現在の収入では返済が困難な借金を抱えており、なおかつ生活保護を検討するほど生活に困窮している場合は自己破産手続きを検討するべきタイミングです。

生活保護とは、生活に困窮している国民を対象として国が経済的な援助を行う制度です。原則として収入が厚生労働省の定める最低生活費以下であり、なおかつ持ち家や自動車などの資産を持たない人が生活保護の受給対象となります。

生活保護の受給が認められると、日本国憲法第25条で定められた権利に基づいて最低限の生活費が支給されるとともに、保険料や医療費、住民税などの支払いが免除されます。なお、原則として借金の有無は生活保護の受給要件には含まれていません。

(参考:「日本国憲法 」(e-Gov法令検索))

(1)自己破産手続きの際の注意点

自己破産手続きによって免責が認められると借金の法的な返済義務がなくなります。しかし税金や養育費などの非免責債権は免責されず、ギャンブルや投機などによる借金は免責不許可事由に該当する可能性がある点に注意が必要です。さらに99万円を超える現金や20万円以上の資産価値があるものは原則として処分し現金化し、債権者への配当に充てられます。

また、自己破産後は信用情報機関に事故情報が登録されるため、5〜10年の間はクレジットカードの作成やローンの利用ができません。自己破産の手続き中は海外旅行や特定の職業に就くことが制限されるとともに、自己破産した方の個人情報が官報に掲載される点にも注意が必要です。

(2)生活保護受給の注意点

借金の有無は生活保護の受給要件に含まれていないものの、生活保護費を借金の返済に充てることは原則として認められません。国から支給された生活保護費を借金の返済に充てた場合、不正受給として生活保護を打ち切られるリスクが懸念されます。

また、生活保護受給中の借り入れは収入とみなされる点に注意が必要です。収入がある場合、最低生活費から当該収入を差し引いた不足分が生活保護費として支給されます。借り入れの事実を申告せずに生活保護費を受給すると不正受給と見なされ、その行為が悪質と判断された場合は生活保護法第85条で定められた罰則が科される可能性があります。

(参考:生活保護法 昭和二十五年法律第百四十四号(e-Gov法令検索))

2. 自己破産と生活保護どっちを優先したらいい?

自己破産と生活保護のどちらを優先するべきかは当事者の経済状況によって異なります。

(1)収入はあるが借金返済が苦しい場合

収入が最低生活費を超える場合、生活保護の受給要件を満たせません。したがって、一定の収入があるものの、借金の返済が苦しい場合は自己破産を含む債務整理が優先です。たとえば月々の返済金額が手取り収入の3割を超える場合、自己破産手続きの開始が推奨されます。自己破産後に生活が困窮すると予測される場合は、自己破産の手続き中に生活保護を申請しましょう。

(2)借金はないが収入もない場合

借金はないものの経済的に困窮している場合は生活保護の申請が推奨されます。自己破産を含む債務整理は借金の減額交渉や免責許可を得る一連の手続きであり、基本的に借金のない方とは無関係の制度です。したがって、借金はないが収入もない場合、迷うことなく生活保護を申請し、経済的な生活基盤の立て直しに取り組むべきといえるでしょう。

(3)借金返済が苦しく収入もない場合

多額の借金を抱えている状態で収入を得る見込みがない場合は債務整理が優先です。たとえ生活保護を受給できても返済の督促は続くとともに、生活保護費は借金の返済に充てることは認められていません。そのため、債務整理で借金問題を解消し、その後に生活保護を申請するプロセスが推奨されます。

詳しくは後述しますが、自己破産の手続きと生活保護の申請を同時に検討している方の場合、生活保護を先に申請するべきケースもある点に注意が必要です。

また、借金を抱えている状態で生活保護の申請を相談した場合、市役所や福祉事務所の担当者に「自己破産を優先してほしい」と言われるケースがあります。しかし、このような発言に法的な強制力はありません。自分としても自己破産を優先したいが、その費用を工面できない方は弁護士に相談するのがおすすめです。

3. 自己破産と生活保護を同時に利用するなら弁護士に依頼しよう

多額の借金を抱えると同時に収入の見込みもなく、自己破産と生活保護の両方を検討している場合、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。自己破産手続きは高度な専門知識が必要となるため、司法書士や弁護士に依頼するのが一般的です。その場合、事例によって異なりますが、裁判所費用や弁護士費用を合わせて30〜80万円程度の費用が発生します。

しかし生活保護受給者は自己破産の費用を法テラスが立て替えてくれる制度があり、生活保護が継続する限り立替金の償還義務が免除されます。また、弁護士が債権者に受任通知を送付した時点で借金の督促が止まるため、安心して借金問題と生活基盤の改善に取り組める点も大きなメリットです。

経済的な悩みは友人や知人に相談しにくく、ひとりで抱え込んでしまう方も少なくありません。自己破産の申し立てや生活保護の申請などに関するお悩みを抱えている方は、法律の専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年02月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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