自己破産をうまく進めたい! 陳述書の書き方を例文付きで解説
自己破産を検討している方にとって、陳述書に何を書けばよいのかという悩みは珍しくありません。
本コラムでは、陳述書に書くべきことを項目別に示した上で、ケースごとでの例文を取り上げます。併せて弁護士に陳述書の文面作成を依頼するメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 陳述書には何を書く?
自己破産における「陳述書」は、スムーズに破産手続きを進めるために作成・提出する文書です。
ここでは陳述書にどのような内容を書くのかについて解説します。
(1)そもそも自己破産における陳述書とは? 何に使われる?
借金を返せなくなり、住所地を管轄する地方裁判所へ自己破産を申し立てる際には「申立書」と併せて「陳述書」も付けるのが一般的です。
陳述書とは、申立人の状況や、自己破産を選択するまでの詳細な経緯、裁量免責が相当であるという事情などを記した書類です。裁判官に経緯や事情を伝え、自己破産を認めてよいかどうかの判断材料としてもらうために使われます。
(2)陳述書に書くべきポイント
陳述書の様式は、A4横書きであれば特に定めはありません。裁判所に備え付けられているひな型は、あらかじめ欄が設けられており、わかりやすくて便利です。
具体的に、次のような項目が必要とされています。
- 職歴
最終学歴やこれまでどのような職業についてきたのか、また年金や手当の受給状況などを記載します。 - 結婚離婚歴、家族の状況
家族の続柄や年齢、職業などの家庭状況を記載する欄です。 - 家族の収入
配偶者や同居の親族における収入の種類、金額を記載します。借金を返済することが本当に困難なのかの判断材料となる箇所です。 - 借金をするに至った事情
最初にローンや借金したのはなぜなのかを記載します。車や不動産を購入したなら、その時期や理由を具体的に書きましょう。 - 債務が増えてしまった原因
ローンや借金がかさんだ経緯や原因を記載します。たとえば、病気やケガなどでリストラされ収入が減った、などです。 - 支払い不能になった経緯や時期
最終的にいつ頃、なぜ返済できなくなってしまったのかを事実として記載します。
職歴から家族の収入の項目までは、できるだけ端的に書くことがおすすめです。逆に借金をすることになった経緯や返済不可能に陥っている原因などは、なるべくくわしく書きましょう。全体でA4サイズの用紙2枚分、1000〜1200文字ほどで書き上げるのが目安です。署名、押印、住所、事件番号、提出する裁判所の宛名も忘れずに記載します。
(3)陳述書を書くときに避けるべきこと
陳述書を作成するときに決してやってはいけないのは「うそを書くこと」です。
借金を返済できなくなった場合、自己破産以外に「任意整理」や「個人再生」といった手続きを取ることも可能です。しかし、中でも自己破産を選んだ理由、また本当に返済に困っていることを正直に書かなければ、裁判官からの心証が悪化するリスクがあります。
また、破産法第252条では、以下のような免責不許可事由を定めています。これらの事由に該当する場合も、その旨隠さずに書きましょう。よほど悪質性がなければ、通常は裁判所の裁量により免責許可決定が下されます。
- 債権者を害する目的での財産隠し
- 収入に見合わない過大な支出(ギャンブル、買い物、投資など)
- 業務帳簿の隠ぺい など
2. 陳述書の例文
ここからは、陳述書の例文について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
(1)事業に失敗してしまった場合
私は30歳で会社をやめ、個人事業主として最初は順調に業績を伸ばしていましたが、2018年9月に海外との取引で詐欺に遭い、大きな損失を出してしまいました。
X銀行から借り入れていた分では足らず、さらにY銀行へ借り入れしようとしましたが断られてしまい、2020年3月には利息が高めの事業者ローンを申し込んで何とか解決しようとしていました。
しかし、その頃新型コロナウイルス感染症の影響で事業自体がストップし、債務を返済できない状態に陥ったため、自己破産を申し立てるに至りました。
(2)ギャンブルなどで浪費してしまった場合
私は2013年にキャンペーン目的でX社のクレジットカードを作り、収入の範囲で利用していました。しかし2018年に離婚したことがきっかけで気分転換のため、パチンコをするようになりました。パチンコ店に通う日が増えていくに従い、生活費の捻出が苦しくなり、2019年には消費者金融のY社からも借り入れざるをえなくなりました。
2020年9月、新型コロナウイルス感染症流行の影響によりリストラされたことで返済が完全に困難となり、自己破産を申し立てることになりました。
(3)反省文が必要な場合も
陳述書は、「借金を返済できなくなったことへの反省」を書くものではありません。ただ、先に紹介したギャンブルなどの免責不許可事由がある場合は、悪質ではないかを判断するために裁判所から別途、反省文を求められるケースがあります。
3. 自己破産をする前に、弁護士にまずは相談を
(1)免責を受けられるかどうかは陳述書(報告書)などの書類の内容に大きく左右される
免責を受けられるかどうかは、陳述書にどのような内容が書かれているかで決まるといっても過言ではありません。
自己破産の手続きにおけるゴールは、免責の決定がなされることです。免責の判断がなされないと、この先も借金を返済しなければならないため、慎重に作成することが大切です。
(2)弁護士に相談することで申し立て書類のクオリティーがアップ
裁判所にも陳述書のひな型は用意されているため、自分での申し立ても可能です。しかし、ノウハウのある弁護士へ依頼することで、自己破産の申し立てに必要な提出書類の質は格段に向上します。それを読む裁判官の心証がよくなり、スムーズに手続きが進む可能性が高まります。
(3)自己破産の手続きにかかる負担の軽減にも
自己破産の判断へ至るまでには、精神的にも非常にストレスを抱えているはずです。また破産の申し立て手続きでは必要書類を用意しなければならず、さらに負担が増えるのは想像に難くありません。
自己破産を検討しているなら、そうした負担を軽減させるためにも弁護士へ相談し、依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼する場合、一定の費用はかかります。しかし、そのまま放置していては状況が悪化するばかりです。借金の返済が困難と感じられたら、ぜひ早めに弁護士へ相談してみてください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月31日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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