ブラックリストからの取り消しは可能? 影響や削除の条件を解説

ブラックリストからの取り消しは可能? 影響や削除の条件を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「ブラックリストに載ってしまった」という事態は避けたいと考えていても、その意味や影響の範囲を正確に把握している人はそれほど多くないかもしれません。

本コラムでは、ブラックリストとは何を意味しており、登録されるとどうして困るのか、そしてブラックリストからの取り消しができるのかを解説します。

1. ブラックリストに登録されるとはどういうこと?

ブラックリストへの登録とは、国内の信用情報機関が管理している事故情報に自分のデータが登録されることを指します。

信用情報機関の事故情報とは、簡単にいえば「借金(債務)の返済が契約どおりにされなかった」など、登録者の借金返済能力や返済の意思に疑いを感じさせるような情報です。つまり、「ブラックリストに載る」とは、金融機関から「この人にお金を貸しても返してもらえない」と信用されなくなることを意味します。

(1)ブラックリストに登録される主な原因

ブラックリストに登録される原因としては、主に以下のものが挙げられます。

①借金の滞納をした

キャッシングやクレジットカードの支払いを長期間滞納したり、何度も繰り返し滞納したりすることは、借金の返済能力や返済の意思に疑いをもたれる原因となります。

②過度な借り入れをした

複数の金融機関から同時期に多額の借り入れを行うなどすると、返済能力に疑いをもたれやすくなります。

③債務整理をした

債務整理は、借金の返済が難しくなった際に、任意整理・個人再生・自己破産などの手続きを通じて、返済額の減免をする方法です。債務整理は適法な手続きですが、金融機関からすれば当初の契約どおりに返済してもらえなかった事実は変わらないので、ブラックリストに登録されます。

④代位弁済した

代位弁済とは、本人が借金の返済をできなくなったときに連帯保証人や保証会社が代わって返済することです。この場合も本人が借金を返済できなかった事実があるため、登録の原因になります。

(2)ブラックリストに載っているか否かの確認方法

自分がブラックリストに登録されているか否かを確認するためには、信用情報の開示請求を行います。日本には、以下の3つの信用情報機関があります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

ブラックリストの登録確認に際しては、これらの機関にインターネットや郵送での手続きをとおして請求をします。いずれも1000円程度の手数料がかかるのでご注意ください。CICとJICCには主にクレジットカード会社などの消費者金融の利用情報、KSCには主に銀行や信用金庫などの取引情報が登録されています。

(3)ブラックリストから登録が削除されるまでの期間

ブラックリストへ登録された事故情報は、通常、一定の期間を過ぎると削除されます。削除されるまでの期間は、登録の原因となった事情などに応じて変わります。以下が大まかな目安です。

  • 返済の滞納や過度の借り入れ:完済から5年程度
  • 代位弁済:完済から5年程度
  • 債務整理:5~10年程度

2. ブラックリストに載るとどのような影響がある?

ブラックリストに載ったからといって、全ての金融サービスが使えなくなるわけではありません。以下のように、影響が出ることと出ないことがあります。

【影響が出ること】

  • ローンの申し込みが断られる
  • キャッシングが利用できなくなる
  • クレジットカードの利用や新規取得ができなくなる
  • リボ払いに利用制限がかけられる
  • 賃貸物件の契約を断られる可能性が増す

【影響が出ないこと】

  • 銀行口座を開設する
  • 携帯電話などの通信回線を契約する
  • デビットカードを発行・利用する

基本的には、「お金を借りること」に類する行為へ制限がかけられます。そのため、携帯電話(スマホ)の契約に関しては、回線契約自体はできても分割払いなどの支払い方法は選択できない可能性があります。また、クレジットカードと違って、デビットカードは銀行口座にある本人のお金から利用料金を引き落とすだけなので、基本的に影響は出ません。

3. ブラックリストの情報掲載を取り消す方法は?

原則として、ブラックリストに載ってしまった情報を自分で消すことはできません。ただし、借金を完済して一定期間が経てば、信用情報機関側で情報掲載を取り消してくれます。また、以下のようにいくつかの特殊な状況においては信用情報機関に対応してもらえる場合があります。

(1)自分がブラックリストに載る理由に該当しない場合

金融機関が間違って自分の情報をブラックリストに掲載してしまっている場合は、当然、正当に削除申請できます。信用情報機関に開示請求して登録原因を確認し、その情報に誤りのある場合は削除・訂正を求めましょう。

(2)完済から一定期間を過ぎても削除されない場合

先述のとおり、ブラックリストへの登録は一定期間を経ると自動的に削除されます。この一定期間を過ぎても一向に情報が削除されない場合は、申請すれば削除してもらえる可能性があります。

(3)借金の時効が成立している場合

借金そのものにも時効が存在します。これは「債権の消滅時効」という概念です。債権の消滅時効を主張して、借金の返済義務をなくすことを「時効の援用手続き」といいます。この時効が成立するのは、最終取引日から5年後です。時効の援用手続きが認められると、ブラックリストへ登録される理由がなくなります。

このように、ブラックリストに登録された信用情報の削除は、一定の条件を満たした場合のみ申請可能です。世間には「少額の費用でブラックリストから削除する手続きをします」などと宣伝しているサービス業者も存在しますが、それらは詐欺の可能性が高いのでご注意ください。

もしもブラックリストから自分の情報を消したい場合は、ひとまず弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、自分がブラックリストの削除申請をできる正当な理由をもっているかを相談でき、債務整理や時効の援用手続きなどについても必要なサポートを受けられます。

4. ブラックリスト解放後の注意点

ブラックリストから解放されたとしても、以下の点には注意が必要です。

ブラックリストからの解放直後は、信用情報にマイナスもなければプラスもない白紙の状況になります。借金の返済能力などに関する信用は、過去の正常な取引履歴や返済実績などに基づいて高まるので、ブラックリストからは解放されたとはいえ、その直後はクレジットカードやローンの審査などが厳しくなる可能性があります。

また、信用情報機関のブラックリストからは消えても、債務整理をした当の金融機関内部では、「信用できない顧客」として情報が残っている可能性は否定できません。こうした状態は一般に「社内ブラック」と呼ばれます。

この場合、その金融機関との取引は今後も難しくなるかもしれません。もちろん、返済の滞納などの問題行為を繰り返した場合も、改めてブラックリストに登録される可能性はあるので注意が必要です。

まずは何よりもブラックリストに登録されないように、「返済できない借り入れやローンはしない」「誠実に返済する」ことを心がけましょう。もしも身に覚えのない理由でブラックリストに載ってしまった場合、まずは信用情報機関に削除を求め、それでも対応してもらえなかった場合は弁護士に相談してみましょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年01月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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