借金を滞納すると裁判を起こされるって本当? 滞納による影響と対処法

借金を滞納すると裁判を起こされるって本当? 滞納による影響と対処法

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

借金を滞納したまま放置すると、債権者によって裁判所が関与した債権の回収が行われる可能性があります。

本コラムでは、借金を滞納したことにより考えられる裁判所の関与と、それを未然に防ぐための方法についてご説明します。

1. まずは督促が来る

借金を滞納したからといって、ただちに裁判を起こされるとは考えにくいでしょう。裁判を起こす前に、債権者から何らかの方法により督促があることが一般的です。

まず、約定弁済日より数日から数週間滞納すると、債権者から電話や書面による督促が開始されると考えられます。これが何度か繰り返され、それでも滞納し続けると債権者から「内容証明郵便」が送られてくることが考えられます。

内容証明郵便は、それが送られてきたからといって受け取った人に何らかの法的拘束力が生じるわけではありません。

しかし、内容証明郵便は以下のような効果があります。

  • 消滅時効の完成を避けるため、時効完成期間が6カ月延長される効果
  • 内容証明郵便が送付されたことや、内容証明郵便に記載された内容(例えば、借金を返すよう求めたこと)を裁判などの場で証明する効果

このようなことから、内容証明郵便は、送付者が裁判を起こす前段階に行われる「最終通告」のような意味合いがあります。

2. 滞納が続けば裁判所が関与

内容証明郵便の送達を経ても滞納が続く場合、その返済を求め債権者から裁判(民事訴訟)を提起されることが考えられます。
借金の金額や滞納の状況にもよりますが、初期の段階における裁判所の関与は、以下の2つのパターンが考えられます。

(1)支払督促

支払督促は、借金の支払い等をしない債務者に対し、簡易裁判所を通じて支払いを求める手続です。

支払督促は、書類審査のみです。債務者の言い分を聞いたり、証拠調べをすることはありませんので、訴訟の場合のように審理のために裁判所に行くことはありません。

債権者の主張から、請求に理由があると認めれられば、支払督促が発せられます。

債務者は、支払督促を受け取ってから支払督促に仮執行宣言が付されるまでの間、異議の申立ができます。異議申立てをした場合には、事件は請求額に応じて地方裁判所または簡易裁判所の訴訟手続に移行します。

債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てがなかった場合、裁判所は、債権者の申立により、支払督促に仮執行宣言を付します。
仮執行宣言が出されれば、債権者は、後ほどにご説明する、強制執行の申立をすることができます。

債務者は、仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内に、仮執行宣言に対して異議の申立ができます。異議申立てをした場合には、前述同様、訴訟手続に移行します。

(2)少額訴訟

少額訴訟は、30万円以下の借金の支払等をしない債務者に対し、簡易裁判所を通じて支払いを求める手続きです。

少額訴訟では、原則として、1回の期日で審理が終わり(1期日審理の原則)、ただちに判決が下ります。審理においては、即時に取り調べることができる証拠にかぎり、証拠調べが行われます。

言い渡された判決に対し、不服のある原告または被告は、裁判所からの書面を受け取ってから2週間以内に異議の申立ができ、異議の申立があると通常訴訟に移行します。

3. 財産が差押えられる

仮執行宣言付支払督促や少額訴訟が確定がした後は、債務者の財産に対する強制執行が考えられます。

(1)強制執行(民事執行法)

強制執行は、借金の支払等をしない債務者に対し、債権者の申立てによって、債務者の財産を差押えてお金に換え、債権者に分配するなどして、債権を回収させる手続です。

強制執行は、民事執行法22条に書かれている「債務名義」(債権の存在および範囲を公的に証明した文書)について行われます。

「債務名義」として、仮執行宣言付支払督促が確定した場合や、少額訴訟が確定した場合が挙げられます。

強制執行が申し立てられた場合、執行機関(裁判所または執行官)が債務者の財産(不動産、債権、動産等)を差し押さえた上でこれを売却等行い、売却代金等を各債権者に配当することになります。

なお、不動産に対する強制執行は、強制競売または強制管理(債務者所有の不動産の収益に対する強制執行)の方法により行われます。不動産の収益とは、債務者所有の不動産が賃貸に出されている場合の賃料等をいいます。


いかがでしたでしょうか。

借金を滞納したまま放置しておくと、債権者からの電話や書面が来るだけでなく、訴えられたり、財産を差押えられることになります。借金の返済の目途が立たなくなったのであれば、弁護士に相談することにより柔軟な解決が望めます。

状況に適した債務整理の方法について、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年05月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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