借金や奨学金が返せない! 返済しないリスクや対処法を解説

借金や奨学金が返せない! 返済しないリスクや対処法を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

最初は少額だった借金が徐々に膨れ上がっていき、返済ができない金額にまでなってしまうことがあります。新型コロナウイルスの影響によって収入が減り、返済が厳しくなったという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、返済できなくなったからといって借金を放置したり、新たな借り入れをしたりすることは非常にリスクの高い行為です。

今回は、借金を滞納した場合のリスクや借金を返せないときの解決策について解説します。

1. 借金を返済しないとどうなるか?

借金の返済ができずに放置すると、以下のようなリスクがあります。

(1)借金を返済しない場合のリスク

借金の返済が1日でも遅れると遅延損害金が発生します。遅延損害金は、利息よりも年率が高いため、滞納している日数が増えるにつれて遅延損害金の金額も多くなり、元金以上となることも少なくありません。

また、借金をしていることを家族に秘密にしている方は、自宅に債権者からの督促状が届いたり電話がかかってきたりするため、同居している家族に知られてしまうというリスクもあります。

さらに、債権者から裁判を起こされた場合には、最終的に預金や給与などが差し押さえられてしまうリスクもあります。このようなリスクがあるため、借金を放置するということは絶対に避けるようにしましょう。

(2)借金を滞納した後の流れ

借金を滞納した場合には、一般的には以下のような流れで進むことが多いでしょう。なお、金融業者によって流れは異なりますのでご注意ください。

①電話督促

返済期日までに借金の返済がない場合には、債権者から電話で支払いの催促がなされます。借金滞納後の電話督促がなされる期間は、業者によって異なりますが、返済日を過ぎた翌日から2週間程度で督促がなされるでしょう。

②督促状(催告書)が届く

電話督促を無視したり、再度設定した期日にも支払いをしなかった場合には、封書やハガキなどで督促状が自宅に送られてきます。督促状には、利息や遅延損害金を含めた請求金額などが記載されており、債権者宛てに連絡をするように記載されていることが多いでしょう。

さらに滞納を続けていると、2か月前後で内容証明郵便によって督促状が届きます。内容証明郵便による督促状が届くと、今まで分割払いだった借金について一括返済を求められてしまいます。

③裁判所から訴状が届く

督促状も無視して借金を放置していると、最終的に債権者から訴訟を提起されることになります。

④差し押さえ

判決が確定後も返済を滞納しているときには、債権者は、債務者の給料や預貯金を差し押さえて強制的に借金を回収しようとします。

なお、給料の差し押さえは、勤務先に裁判所からの通知が届くことになりますので、借金返済の滞納が勤務先に知られてしまうリスクもあります。

2. 借金の減額が認められる場合とは?

借金の返済が難しくなった場合、解決策のひとつとなるのが「借金減額」です。

「借りたお金は全額返さなければいけない」「返済できなければ自己破産しかない」と考えている方もいるかもしれませんが、借金は減額できる可能性があります。減額できれば、返済も楽になるはずです。

返済を諦める前に、まずは減額ができるかどうか確認しましょう。

(1)借金が減額できる理由

借金は合法的に減額できることがあります。ここではその理由と対象者をご紹介します。

貸金業者からお金を借りると、元金の返済に加えて利息を払わなければいけません。金利は法律で定められていますが、以前は法律の穴をついた高金利での貸付が横行していました。いわゆる「グレーゾーン金利」です。

法律が改正されたため、現在借金をする場合にはグレーゾーン金利が適用されることはありません。ですが法改正前の借金については、返済の際に利息を払いすぎていた可能性があるのです。

過払い分を貸金業者に請求して、それを残りの借金と相殺できれば、借金総額を減らせます。過払い金額、借金の残額によっては完済できるかもしれません。

(2)借金減額の対象者

過払い金が発生している可能性があるのは、主に以下の方です。

  • 平成22年6月17日よりも前に借金をしている
  • 法律の上限を超えた金利が適用されていた
  • 借金完済から10年以内

法改正によりグレーゾーン金利が撤廃されたのは平成22年6月18日です。そのためそれ以前に借入をした方は、違法な高金利が適用されていた可能性があります。

また完済済みの方は、自分は対象外だと思い込んでいるかもしれませんが、過払い金請求の時効は「最後に借入や返済をした日から10年」です。完済から10年以内であれば、過払い分を取り戻せるかもしれません。

3. 借金を返済できない人がやってはいけないこと

借金が返せないからといって、以下のようなことをするのは非常に危険です。できる限り早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

(1)債権者からの督促状の無視

債権者からの督促状を無視していると、上記のような流れで、財産の差し押さえをされるリスクがあります。この段階になると、財産の差し押さえばかりか、家族や職場に借金の事実が知られてしまい、社会的な信用も失うおそれがあります。

(2)返済のための借金

返済期日までに借金を返せないときに、別の業者から借り入れをして借金の返済に充てることをする方も少なくありません。まるで返済できているような錯覚に陥ってしまいますが、実際には、借金を増やしているだけで何の解決にもなっていません。

また、給与ファクタリングや闇金など違法な金利をとる業者から借金をすることもより状況を悪化させるリスクが高いため、絶対に避けるようにしましょう。

借金返済ができない状態になった場合には、なるべく早く、債務整理の実績がある弁護士に相談しましょう。

弁護士が債権者に受任通知を送付し、債権者が受け取ると督促は一時停止しますので、精神的なプレッシャーから解放されるとともに、家族に知られるリスクも減ります。きちんと借金額を調査し、任意整理、自己破産、個人再生などの最適な債務整理の方法を選択することによって、借金の悩みから解放されるでしょう。

まずは、ひとりで悩まずに弁護士を頼るようにしましょう。

4. 奨学金が返せない場合の救済制度

奨学金を借りて大学や専門学校に通っていた方が、さまざまな事情によって奨学金の返還ができなくなっていることが社会問題となっています。奨学金も借金ですので、返済を滞納している場合には、信用情報機関に登録されたり、財産の差し押さえをされたりするなどのリスクがあります。

(1)日本学生支援機構が定める救済制度

多くの方が利用していると思われる「日本学生支援機構」では、返済が困難となった場合に、以下の救済措置を定めています。

①減額返還

減額返還制度とは、災害に遭った、病気やケガをした、経済的に困難な状況にある、仕事がないなど奨学金の返還が困難となる事情が生じた場合に、一定期間毎月の返済額を減額する制度のことをいいます。

減額することができる金額は、返還金額の2分の1または3分の1です。毎月の奨学金返還金額を減額することによって、月々の負担は減りますが、利息を含む返還予定総額には変わりありませんので、一時的な事情によって返還が困難となった場合に利用するとよいでしょう。

なお、減額返還は、1年ごとに申し出ることによって最長で15年間利用することができます。

②返還期限猶予

返還期限猶予制度とは、災害に遭った、病気やケガをした、経済的に困難な状況にある、仕事がないなど奨学金の返還が困難となる事情が生じた場合に、月々の返還を猶予し、先送りにする制度のことをいいます。

返還期限猶予は、最長10年間認められますが、利息を含む返還予定総額は変わりません。減額返還制度を利用しても奨学金の返還が困難となった場合には、返還期限猶予制度を利用するとよいでしょう。

③返還免除

本人が死亡した場合や、精神または身体の障害によって労働能力を喪失したような場合には、奨学金の返済の全部または一部が免除される場合があります。このような事情に該当する場合には、返還免除の申し出をするようにしましょう。

5. 奨学金を含む借金を整理できる、3種類の債務整理とは

「日本学生支援機構」が定めている救済措置を利用したとしても、返済を継続することが困難という事情がある場合には、債務整理を検討するようにしましょう。奨学金以外の借金においても以下の方法を検討してみてください。

(1)任意整理

任意整理とは、債権者との交渉によって、借金減額や分割払いを認めてもらう債務整理の方法です。任意整理は、現在の返済金額では支払いを続けていくことが厳しいけれども、返済金額が減れば支払いを続けていくことができる、という場合には有効な方法となります。

しかし、奨学金については、任意整理に応じていないところが多いため、奨学金を対象に任意整理をすることは難しいといえます。奨学金の場合には、減額返還や返還期限猶予などの救済措置を利用しながら、毎月の負担を抑えるのがベストな方法といえます。

そして、奨学金以外の消費者金融から借り入れがあるような場合には、そちらを任意整理の対象として債務整理を行うことで、さらに毎月の負担を減らすことが可能となります。

(2)個人再生

個人再生とは、債権者との交渉によって行う任意整理とは異なり、裁判所に申し立てをすることによって、借金の総額を大幅に減額し、3~5年での分割払いによって返済をしていく債務整理の方法です。

後述する自己破産とは異なり、借金の金額がゼロになるというわけではありませんが、財産を処分する必要はないため、主に住宅ローンなどがある場合に利用される手続きです。

もっとも、個人再生の手続きによって奨学金が減額されるのは、あくまでも債務者本人であり、連帯保証人や保証人に対しては、全額の請求がされることになりますので、注意が必要です。

(3)自己破産

自己破産とは、個人再生と同様に裁判所に申し立てをすることで、借金をゼロにすることができる債務整理の方法です。

自己破産をする際には、法律上定める最低限の資産以外は保有することができず、それ以外の資産については原則として換価したうえで債権者への配当にまわさなければなりません。

多くの資産がある場合には、不向きな債務整理の手段ですが、ほとんど資産がないという場合には、借金をゼロにして再出発できるため有効な手段となります。

ただし、個人再生と同様に、連帯保証人や保証人に対しては、全額請求がされることになりますので、あらかじめ連絡をして事情を伝えておくようにしましょう。

弁護士JP編集部
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  • こちらに掲載されている情報は、2025年03月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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