【犯罪・刑事事件】不法侵入の時効は何年? 過去の罪で逮捕される可能性は?

【犯罪・刑事事件】不法侵入の時効は何年? 過去の罪で逮捕される可能性は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

令和5年2月、テレビ局に所属しているアナウンサーの男が同僚女性の自宅マンションに「不法侵入」した疑いで逮捕されました。逮捕された男がテレビに出ているアナウンサーであることから大々的に報道されたので、ご存じの方も多いでしょう。

この事件では、侵入が発覚して被害に遭った女性が連れていた知人男性と犯人の男がもみ合いになり、逃げようとした男がマンション3階から地上へと飛び降りたそうです。

当然、男はケガを負って逃げることもできず、病院へ搬送されたうえで回復を待って逮捕されましたが、仮に現場で侵入が発覚せず逃走に成功して時効が過ぎれば、逮捕には至らなかったでしょう。

では、不法侵入を犯してどのくらいの時間が経てば「時効」となるのでしょうか?

1. 不法侵入とは? 問われる罪と刑罰

不法侵入は、法律で定められている犯罪です。ただし、刑法のほかどの法律をみても「不法侵入罪」という犯罪は存在しません。

不法侵入を罰するのは、刑法第130条前段です。刑法第130条前段では、侵入した場所によって適用される罪名が変わります。

(1)住居侵入罪

他人の住居や人の看守する邸宅に侵入すると「住居侵入罪」です(邸宅への侵入は厳密には邸宅侵入罪です)。

実際に人が住んでいる家やマンション・アパートの部屋、管理されている空き家や日ごろは使用されていない別荘などへの侵入には、住居侵入罪(邸宅侵入罪)が適用されます。

また、室内に立ち入らなくても、住居に接続して壁や塀で囲まれている庭や敷地、アパートやマンションの共用部分なども、住居や邸宅の一部と考えられています。

有罪になると、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

(2)建造物侵入罪

建造物もしくは艦船への侵入は「建造物侵入罪」として罰せられます(艦船への侵入は厳密には艦船侵入罪です)。

建造物とは住居・邸宅にあたらない建物で、スーパーなどの商業施設や役所の庁舎といった公共施設、パチンコ店などの娯楽施設、廃ビル・廃屋などです。艦船とは、その平穏を保護する必要がある程度の大きさや設備が整ったものに限られます。

刑罰は住居侵入罪と同じで、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

2. 不法侵入の時効は何年? 後日になって逮捕される可能性は?

犯罪には、一部を除いて「時効」が存在します。刑事上の時効には「公訴時効」と「刑の時効」のふたつがありますが、「罪を犯しても時間が経てば逮捕や刑罰を受けない」という一般的なイメージにつながるのが公訴時効のほうでしょう。

公訴時効とは「検察官が起訴できるタイムリミット」を意味するものです。検察官が起訴できなければ刑事裁判が開かれないので、刑罰を受けることも、前科がつくこともありません。刑事裁判を開けないのだから捜査する必要もないので、逮捕もされないという図式です。

では、不法侵入の公訴時効は何年なのでしょうか?

(1)不法侵入の公訴時効

公訴時効は、対象となる犯罪についてどの程度の刑罰が予定されているのかによって決まります。

住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」なので、刑事訴訟法第250条2項に照らすと「人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪」のうち「長期5年未満の懲役もしくは禁錮または罰金に当たる罪」に該当します。この場合、公訴時効は「3年」です。

公訴時効は、刑事訴訟法第253条1項の規定によって「犯罪行為が終わったとき」から進行します。

不法侵入の場合は、侵入行為が終わった時点で時効が進行しますが、通常は日をまたいで、あるいは何日間も不法侵入の状態が続くことはないので「不法侵入した日」が起算点になると考えておけばよいでしょう。

なお、何度も同じ場所に不法侵入を繰り返していた場合、一連の行為ではなくそれぞれが別の事件として扱われます。時効も各事件でそれぞれ別に進行すると考えてください。

(2)ほかの犯罪目的で侵入した場合の考え方

不法侵入を犯す多くのケースでは、ほかの犯罪の目的をもっています。その代表となるのが「窃盗」を目的としたケースでしょう。

たとえば、家人の不在を狙って留守宅に侵入し金品を盗む「空き巣」では、不法侵入は「金品を盗む」という目的を果たすための手段であり、侵入が目的ではありません。このように、ある犯罪の手段もしくは結果となる行為がほかの罪名に触れる関係にある犯罪を「牽連犯(けんれんはん)」といいます。

牽連犯の関係にある犯罪では、複数の罪のなかで最も重い刑により処断されます。

空き巣の場合、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」で住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑よりも重いので、窃盗罪の法定刑の範囲内で量刑が決定されます。窃盗罪は「長期15年未満の懲役または禁錮に当たる罪」に該当するので公訴時効は「7年」となります。

ほかの犯罪目的で不法侵入を犯した場合は、時効が到来するまでの期間が長くなるおそれがあることを覚えておきましょう。

(3)不法侵入は後日逮捕されるのか?

不法侵入を犯して家人や周辺の住民、施設の管理者や警備員などに発見されると、その場で通報されて警察に現行犯逮捕されてしまう可能性が高いでしょう。では、誰にも見つかることなくその場から逃げられた場合は逮捕されないのかといえば、それは間違いです。

何者かが不法侵入したことに気づいた家人などが警察に通報すると、警察は現場の鑑識作業や防犯カメラ映像の解析といった捜査を進めます。さまざまな証拠・資料から容疑者として特定されると、裁判所から逮捕状が発付されて後日でも逮捕されるかもしれません。

原則として、現行犯でなければ逮捕できないという犯罪は存在しないので、たとえその場から逃げることができても「逮捕されない」などと考えるのは危険です。

3. 不法侵入を犯したら弁護士へ相談を

不法侵入の時効は3年です。つまり、不法侵入を犯したときから3年が経過すれば、逮捕されることも、刑罰を受けることもありません。

とはいえ、警察の捜査から3年にわたって逃れ続けるのは現実的に困難です。しかも、窃盗など別の目的があった場合は時効の期間がさらに長くなります。

逮捕や厳しい刑罰を避けたいと望むなら、時効まで逃げるのではなく、積極的に解決を目指したほうが賢明です。

被害者に対して素直に謝罪し、侵入によって生じた損害や精神的苦痛を賠償すれば、被害届の提出を見送ってもらえたり、すでに提出済みの被害届を取り下げてもらえたりする可能性が高まります。

ただし、犯罪の加害者が被害者と直接交渉するのは危険です。強い怒りをおぼえている被害者が示談をかたくなに拒否したり、過度に高額な賠償を求められたりするおそれもあるので、示談交渉の対応は経験豊富な弁護士に一任したほうがよいでしょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年05月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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