【犯罪・刑事事件】逮捕されたらどうなる? 逮捕の種類や刑事手続きの流れ

【犯罪・刑事事件】逮捕されたらどうなる? 逮捕の種類や刑事手続きの流れ

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

ニュースや新聞の報道に目を向けていると、毎日のように「○○の容疑で逮捕」といった情報が流れてきます。

「逮捕」という言葉を聞けば、「なにか悪いことをして捕まった」というイメージを持つ方が多いと思いますが、実際に逮捕されるとどうなるのか、その後の手続きについて正確には知らない方もいることでしょう。

本記事では、逮捕とはどのような手続きなのか、逮捕されるとどうなるのかを見ていきます。

1. 「逮捕」とは? 基本的な考え方や逮捕の種類

逮捕という手続きについて、多くの方が誤解をしています。

逮捕された人のことを「犯人」だと決めつけて、犯人だから逮捕されると罰せられると考えてしまうのは実は間違いなのです。

逮捕とは、犯罪の疑いがある人について、身柄を拘束して取り調べるための捜査上の強制手続きを指しています。この段階ではあくまでも「犯罪の疑いがある人」、つまり「被疑者」として扱われるだけで、犯人だと決めつけられているわけではありません。

法律の考え方では、犯人だと断定されるのは刑事裁判で有罪が確定した段階からであり、逮捕されたからといって犯人になるわけではありません。

(1)逮捕の種類は大きくわけて2つ

逮捕には、大きくわけて2つの種類があります。

原則的な逮捕となるのが「通常逮捕」です。

刑事ドラマなどでもよく描写されるように、裁判官が発付した逮捕状を手にした捜査員が被疑者を逮捕する手続きで、犯行の後日に逮捕されることから後日逮捕と呼ばれることもあります。

日本国憲法第33条の定めでは、国民の誰もが「令状によらなければ逮捕されない」と明記されており、通常逮捕は憲法の定めに従って裁判所の逮捕状発付を経て執行される手続きです。この考え方を「令状主義」といいます。

令状主義の例外として存在するのが「現行犯逮捕」です。

現に犯罪をおこない、または現に犯罪をおこない終わったばかりの被疑者を逮捕する手続きで、緊急性が高いことや誤認逮捕が起きにくいことから逮捕状は不要とされています。

現行犯逮捕は、事前に裁判官による審査を受ける必要がないため、警察官や検察官ではない一般の私人でも逮捕が可能です。ただし、現行犯逮捕した私人は、すぐに検察官や警察官に身柄を引き渡さなくてはなりません。

2. 逮捕されるとどうなる? 刑事手続きの流れ

逮捕された被疑者は、刑事訴訟法という法律の定めに則って刑事手続きを受けます。

全体的な流れは次のとおりです。

逮捕→送致→勾留→起訴→刑事裁判

(1)逮捕後の身柄拘束と勾留

逮捕された被疑者は、警察署内の留置場に身柄を置かれて取り調べを受けます。

自宅へ帰ることも会社や学校へと通うことも許されず、スマホなどで自由に連絡を取ることも認めてもらえません。ただし、この段階では「犯人」とはいえないので、罰として身柄を拘束されるのではなく、あくまでも「取り調べをするため」に身柄拘束を受けます。

警察の持ち時間は、逮捕から48時間です。被疑者を取り調べたうえで、48時間以内に検察官へと引き継ぐか、釈放しなくてはなりません。

警察から検察官へと引き継ぐ手続きを「送致」といいます。ニュースなどでは「送検」とも呼ばれています。

送致を受けた検察官は、さらに被疑者を取り調べて24時間以内に被疑者を起訴するか、不起訴として釈放するかを決断しなくてはなりません。しかし、逮捕からわずか2日程度しか経っていない段階で重要な決断を下すのは困難です。

そこで検察官は、裁判所に「さらに身柄を拘束して取り調べる必要がある」と求めます。

この手続きを「勾留請求」といいます。

裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長によってさらに10日間、合計で20日間を限度に身柄拘束が続きます。

勾留を受けた被疑者の身柄は警察に戻され、さらに詳しい取り調べが続きます。

もちろん、勾留中も自由な外出や連絡は許されません。

(2)起訴されると刑事裁判になる

勾留が満期を迎える日までに、検察官は起訴・不起訴を決定します。

刑事裁判が開かれるのは起訴されたときだけで、不起訴となれば刑事裁判は開かれません。

検察官に起訴された被疑者は「被告人」の立場になり、刑事裁判が結審されるまで勾留が続きます。初回の刑事裁判は起訴から1~2か月の間に開かれ、その後はおおむね1か月に一度のペースで開かれるので、刑事裁判が終わるまでには数か月から半年程度の時間がかかります。

逮捕から起訴までの身柄拘束は最長で23日間なので、さらに起訴されれば長期にわたって社会から隔離されてしまいます。

刑事裁判で実刑判決を受けると、逮捕から一度も社会に復帰することなく刑務所に収監されてしまうので、社会生活への悪影響は計り知れないといえます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年07月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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