立退料の相場はある? 大家さんが知るべき交渉のポイント
  • 2022年11月24日
  • 不動産・建築・住まい

立退料の相場はある? 大家さんが知るべき交渉のポイント

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

借家であるマンション・アパート・戸建住宅について、賃貸人が賃借人を立ち退かせるためには、立退料の支払いを要するケースが大半です。

立退料は賃料の数年分程度と高額になるケースも多いので、弁護士を代理人として検討・交渉を行うことをおすすめいたします。

今回は、マンション・アパート・戸建住宅などの立退料について、概要、金額決定の考慮要素や金額相場、立退料交渉の手続きや賃貸人側の注意点などを解説します。

1. マンション・アパート・戸建住宅の立退料とは?

賃貸に出しているマンション・アパート・戸建住宅から、賃借人に立ち退いてもらうためには、立退料の支払いが必要となるケースが多いです。

その理由は、借地借家法において契約更新拒絶の正当事由が要求されているためです。

(1)建物賃貸借契約の賃貸人による更新拒絶には「正当の事由」が必要

建物の賃貸人が、建物賃貸借契約の期間満了に伴う更新を拒絶するには「正当の事由」が必要です(借地借家法第28条)。

更新拒絶の正当事由がない場合、建物賃貸借契約は、従前と同一の条件で期間の定めなく更新されたものとみなされます(同法第26条第1項)。

建物の賃借人は、当該建物を生活や営業の拠点として利用するケースが多い実情を踏まえて、賃借人の権利を厚く保護するため、借地借家法で更新拒絶の正当事由が要求されているのです。

(2)立退料は「正当の事由」の一要素

賃貸人が建物賃貸借契約の更新を拒絶する場合、「正当の事由」の有無は、以下の要素を考慮して判断されます(借地借家法第28条)。

  • 賃貸人および賃借人が、建物の使用を必要とする事情
  • 建物賃貸借に関する従前の経過
  • 建物の利用状況
  • 建物の現況
  • 賃貸人の賃借人に対する立退料の申出

上記のとおり、立退料の申出の有無やその金額は、更新拒絶の正当事由の有無を判断する際の考慮要素の一つです。

実際には、その他の事情だけで正当事由が認められるケースはほとんどなく、立退料の支払いが事実上必須となっています。

(3)立退料の支払いが不要なケースの例

立退料の支払いが必要となるのは、賃貸人が建物賃貸借契約の期間満了に伴う更新を拒絶する場合及び賃貸人から解約の申入れをする場合の2パターンのみです(借地借家法28条)。

上記以外の、たとえば以下に挙げる場合であれば、賃貸人は賃借人に対して立退料を支払う必要はありません。

  • 賃借人が期間満了に伴う賃貸借契約更新を拒絶した場合
  • 賃貸借契約を合意解約した場合
  • 賃借人の債務不履行に基づき賃貸人が賃貸借契約を解除した場合

など

また、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)の場合には、当初から契約の更新がないものとされているため(借地借家法第38条第1項)、期間満了による終了であっても立退料の支払いは不要となります。

2. 立退料はどのように決まる? 考慮要素と金額相場

適正な立退料の金額は、前述の正当事由に関する考慮要素を踏まえて個別に判断されるため、明確な相場は存在しません。

アパート・マンション・戸建住宅など、居住用建物の立退料の金額は、以下の要素を考慮して決定される傾向にあります。

  • 賃料(家賃)の金額
  • 従前の契約期間
  • 借家権価格
  • 新規に居住用建物の賃貸借契約を締結する際の費用
  • 引越し費用
  • 再開発利益の配分
  • 慰謝料

など

具体的な金額は、上記の各要素を考慮してケースバイケースで判断されますが、賃料の1年分~3年分程度の立退料が認められることが多いです。

3. 立退料交渉の手続きと賃貸人側の注意点

立退料の交渉は、契約期間満了のタイミングを見計らいながら、賃借人に通知を行って開始します。更新拒絶の通知は、期間満了の1年前~6か月前の期間に行う必要があるため(借地借家法第26条第1項)、必ずこの期間中に賃借人に対する通知を行いましょう。

その後、賃貸人と賃借人の間で交渉を行い、まとまれば立ち退きの合意書を作成・締結します。一方、立ち退き交渉がまとまらない場合には、裁判所の民事調停や訴訟を通じて解決を図ることになります。

賃貸人が賃借人との立ち退き交渉に臨む際には、借地借家法の規定を踏まえたうえで、立退料の算定根拠を明確に提示することが大切になります。

ただし、強硬な主張を続けるだけでは、賃借人の同意を引き出せる可能性は低いでしょう。そのため、賃借人側の主張にも耳を傾けたうえで、適切な妥協点を探ることも検討すべきです。

弁護士を代理人として立ち退き交渉に臨めば、賃貸人の立場で法的な観点から適正な主張を行いつつ、スピードと条件面のバランスが取れた解決を実現できる可能性が高まります。

賃貸物件から入居者に立ち退いてもらいたいオーナー(大家)の方は、弁護士までご相談ください。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年11月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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