家賃滞納で強制退去! オーナーが知っておきたい方法や費用
  • 2021年04月08日
  • 不動産・建築・住まい

家賃滞納で強制退去! オーナーが知っておきたい方法や費用

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

賃貸物件のオーナーのなかには、家賃滞納者の対策に悩んでいる方もいるでしょう。また、賃料を滞納している入居者への督促などで精神的なストレスを抱えているかもしれません。

このような賃料を滞納している入居者に対しては、裁判手続きを経て、当該賃貸物件から強制的に退去してもらうことが可能です。

今回は、賃貸物件のオーナーに向けて、家賃を滞納し、今後も支払う見込みがない入居者を強制的に退去させる方法やその費用について解説します。

1. 強制退去を求めるためには

入居者に賃料の滞納があったとしても、直ちに強制退去を求められるわけではありません。入居者に強制退去を求めるためには、まず入居者との賃貸借契約を終わらせる必要があります。以下では、入居者との契約を終了させるために、どのようなことを主張していくことになるか、説明していきます。

(1)賃料の不払いが存在すること

先ほど述べたように、賃料を滞納している入居者を強制的に退去させるためには、当該入居者と締結している契約を終了させる必要があり、これを「賃貸借契約の解除」といいます。

賃料滞納は、賃貸借契約を解除する典型的な原因であり、賃料を滞納する入居者を退去させるに当たって、まずはこの事実を主張していくことになります。ただ、1月分でも賃料の不払いがあれば、確実に契約の解除ができるかというと、そうではありません。その点については、次の項目で言及します。

(2)賃貸人と賃借人との信頼関係が破壊されていること

賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との間の継続的な信頼関係を基礎とする契約です。

そこで、賃貸借契約の解除が認められるためには、賃料不払い等の事情があることに加えて、貸主と借主との間の信頼関係が破壊されていると評価できることが、必要とされています。破壊に至っていないと評価された場合、契約の解除ひいては強制退去を求めることはできません。先ほど、1月分の賃料不払いでは確実に解除ができない可能性があることを述べたのは、この考え方があるからです。

信頼関係が破壊されているか否かについては、滞納に至った経緯や、滞納金額、滞納している期間、その他賃借人の態度・状況など、さまざまな事実から判断することになります。

2. 家賃滞納者を強制退去させる流れ

入居者との信頼関係が破壊されたといえる場合、入居者に対して強制退去を求めることができます。
入居者に対して強制退去を求める流れとしては、以下のとおりです。

(1)交渉

家賃の滞納が発生したときには、賃貸人または管理会社から入居者に対して、滞納家賃の支払いを求める内容の督促を行います。また、期限までに入居者から家賃の入金がないようであれば、連帯保証人に連絡をして、連帯保証人に対して請求することも検討します。

家賃滞納の事案では、最終的には、強制退去という手段をとることができますが、それには時間も費用もかかることから、まずは滞納している家賃を回収することを目指すとよいでしょう。保証会社に加入している場合は、保証会社から滞納家賃の支払いを受けられることもあります。

それでも滞納家賃の支払いがないようであれば、強制退去を視野に入れて交渉を進めましょう。

催促を繰り返したものの一定の期間賃料の滞納が続くときには、一定期間内に支払いがないときには契約解除する旨の内容証明郵便を送ります。たとえば、「本書面到達後7日以内に支払いがない場合には、同期間の経過をもって本件賃貸借契約を解除します」というような内容のものです。

(2)裁判

上記の内容証明郵便を受け取っても賃借人が滞納家賃を支払わないときには、未払い賃料の支払いと建物の明け渡しを求める訴訟を提起します。

賃借人(被告)が裁判所に出頭せず、答弁書等の書面を提出せず、何の反論もしないときには、1回で裁判は終結し、賃貸人の勝訴となります(「欠席判決」といわれています)。長期間賃料を滞納している賃借人は、すでに当該物件に居住していないことが多いため、欠席判決となることが多いです。

裁判を起こすためには、裁判所に対して納める印紙代(請求内容によって変わります)と切手代(約6000円)の他に、弁護士に依頼するときには弁護士費用がかかります。

(3)強制執行

賃借人の明け渡しを認める判決が出ても、賃借人が任意に立ち退かないときには、裁判所に対して、明け渡しの強制執行を申し立てます。

強制執行の申し立てが受理されると、まずは、執行官から賃借人に対して期限までに建物を明け渡すよう求める催告がなされます。そして、期限内に建物の明け渡しがないときには、執行官が専門の業者を連れて建物を訪れ、建物内の荷物をすべて撤去し、鍵を交換することで強制執行は完了します。

強制執行にあたっては、予納金(6万円前後)、荷物の撤去費用など(数十万円程度)がかかり、弁護士に依頼するときには、さらに弁護士費用も必要です。

このように、賃借人に対して強制退去を求めるためには、段階を踏んで手続きを進めていかなければなりません。法的な知識や経験がないと、このような手続きを的確に行うことは難しいといえるでしょう。そのため、家賃の滞納が発覚した段階で早期に弁護士へ相談することをおすすめします。

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