【大家さん必見!】建物明け渡し請求から強制執行までの流れを解説
  • 不動産・建築・住まい

【大家さん必見!】建物明け渡し請求から強制執行までの流れを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「賃借人の家賃の滞納が続いている」といった状況になると、大家さんは途方に暮れてしまうでしょう。この場合、賃借人に対して建物明け渡し請求ができる可能性があります。任意の交渉によって建物明け渡しを求めるところから裁判手続によって建物明け渡しを求めるところまで、どのような流れになるのでしょうか。

1. どのような場合に建物明け渡し請求をすべき?

建物明け渡し請求は、家賃を滞納したときに行われるケースが多いのですが、それ以外にも建物明け渡し請求をすべき場合があります。

(1)家賃を滞納したケース

よくありがちなのが、家賃が未払いになっているケースです。もっとも、賃貸借契約が賃貸人と賃借人との間の信頼関係を基礎とする継続的な契約関係であることから、賃借人に賃料未払いがあっても、信頼関係が破壊されているといえない場合には、賃貸借契約の解除は認められません。信頼関係が破壊されているか否かについては、不払いの賃料が何か月分かという事実は非常に重要な事実ではありますが、不払いの程度及び金額、賃借人の支払能力及び支払意思等の諸般の事実を総合考慮して判断することになります。

(2)無断で第三者に家を貸していたケース

賃貸人は、「この人だから貸しても大丈夫だろう。」と考えて家を貸しているものです。そのため、賃借人が、賃貸人に無断で友人又は知人に賃貸物件を賃貸し、又は賃借権を譲渡することは許されていません(民法612条1項)。無断転貸又は無断譲渡は、一般的に賃貸人と賃借人との間の信頼関係を破壊することになるので、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます(民法612条2項)。

(3)無断で増改築をしていたケース

賃借人は、賃貸借契約又は賃貸物件の性質によって定まった用法に従い、賃貸物件を使用しなければなりません(民法616条、594条1項)。そのため、賃借人が賃貸人の許可なく増改築をした場合には、増改築の程度、現状復帰の可否及びその他家屋の構造に変動の有無等の諸般の事実を総合考慮して、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されたと判断された場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます。

(4)その他周辺の住民に迷惑をかけたケース

賃借人が夜中に大音量で音楽をかけて周辺住民の安眠を妨げたり、大量のごみを放置しているため、警察官や市の職員から指導を何度も受けていたにもかかわらず、かかる指導を無視し、かつ、賃貸人から騒音防止対策をするように要請があったにもかかわらず、かかる要請を無視したような場合には、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されたといえ、賃貸借契約の解除が認められる場合があります。

2. 建物明け渡し請求の流れ

建物明け渡し請求は以下のような流れで進みます。ここでは家賃の滞納を理由に建物明け渡し請求をする場合を例に見ていきましょう。

(1)内容証明郵便で未払いの家賃を催促する

支払期限を定めて内容証明郵便を用いて、賃借人に対し家賃を請求します。

(2)支払わない場合は立ち退きを請求する

賃借人が家賃を支払ってくれない場合には、契約解除を通知して期限内に立ち退くようよう請求します。立ち退いてもらえることになれば、滞納分の家賃をどのように支払ってもらえるかを交渉し、賃貸人と賃借人との間で取り交わしたことは合意書等の書面に残すようにしましょう。

(3)明け渡さない場合は建物明け渡し請求訴訟を提起する

賃借人が立ち退かない場合は、建物明け渡し請求訴訟を提起します。訴状を作成し、賃貸契約書、解除の意思表示を行った通知書や家賃を滞納していることを示す銀行通帳等の証拠を集め、訴訟を提起します。建物明け渡し請求は賃借人に対して行いますが、訴訟提起後、賃借人ではない第三者がその建物に居住することがまれにあります。かかる場合には賃借人の立ち退きを命じる判決が得られたとしても、賃借人ではない第三者に対し、立ち退きを命じることはできません。そのため、占有移転禁止の仮処分も訴訟と併せて申し立てておくべきです。

(4)裁判

訴状を提出した後は、第1回口頭弁論期日が開かれます。期日はおよそ1か月に1回のペースで開かれます。期日が進行していくと、裁判官から和解が提案されることも少なくありません。和解が成立しない場合には、裁判所が判決を下すことになります。

(5)立ち退かない場合は強制執行手続

和解が成立した後又は判決が下された後に賃借人が立ち退かない場合は、判決書や和解調書を基に建物明け渡しの強制執行をすることができます。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年09月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

不動産・建築・住まいに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す

関連コラム

不動産・建築・住まいに強い弁護士

  • 髙見 晋祐 弁護士

    アップリーガル法律事務所

    大阪市北区
    大阪府大阪市北区西天満2-3-6 大阪法曹ビル3階
    • 初回相談無料

    初回相談無料は、事案内容等により有料となる場合もあります。

     
    注力分野

    豊富な経験をもとに適切かつ迅速な解決を目指します。

  • 藤田 誓史 弁護士

    アディーレ法律事務所岡崎支店

    岡崎市
    愛知県岡崎市明大寺町字川端19-13 山七東岡崎ビル3階
    名鉄東岡崎駅から徒歩2分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    初回相談無料は、内容によっては有料の場合があります。

     
    注力分野

    営業用建物の立退きを専門としております

  • 松本 匡史 弁護士

    下川原法律事務所

    札幌市中央区
    北海道札幌市中央区北1条西9丁目3-10 松崎大通ビル10階
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 全国出張対応
    • ビデオ相談可

    通常営業時間外のご相談は、時間外加算があります。

     
    注力分野

    【元不動産ディベロッパー】不動産業界や現場の実情を踏まえた解決策をご提案。顧問契約で売買取引・賃貸借処理におけるトラブル予防、スピード対応が可能になります

  • 山本 恭輔 弁護士

    福岡つむぎ法律事務所

    福岡市早良区
    福岡県福岡市早良区百道1-9-12 アーバンももちⅡ102
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • ビデオ相談可
     
    注力分野

    【藤崎駅から徒歩5分】【出張相談/オンライン相談可能】不動産全般で解決実績多数あり【オーナー様向け】【借主様向け】どちらも対応可能!お早めにご相談ください

  • 黒江 卓郎 弁護士

    木村・黒江法律事務所

    横浜市中区
    神奈川県横浜市中区尾上町1-4-1 関内STビル6階
    • 全国出張対応
    • 電話相談可
    • メール相談可
     

弁護士を検索する