育休の延長申請を上司に断られた。これって違法?

育休の延長申請を上司に断られた。これって違法?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「育休の延長を申請したのに会社に断られてしまった」という場合、その判断を違法として訴えることはできるのでしょうか。共働きや一人親家庭が増える中、育休をきちんと取得できるかどうかは社会的問題でもあります。

本記事では育休の延長申請を会社が断ることの違法性や、もしも申請を断られてしまった場合の対処法などを解説します。

1. 会社が育休の延長を拒否することは違法?

「保育園に空きがない」「実家を頼れない」などの理由から、育休を延長することは珍しくありません。しかし、いざ上司に育休の延長申請をしてみると、無理にでも復帰を求められたり、逆に退職を迫られたりすることもあるようです。会社には会社の都合があるとはいえ、法律的な違法性をアピールして説得はできないのでしょうか。

(1)そもそも育休とは

育休(育児休業制度)とは、労働者が子育てに専念できるように、一定期間の休業を取得することを認める制度です。育休中は、ハローワークから育児休業給付金を支給されるなど、経済的な援助を受けられます。この制度を利用することで、従業員は育児のために必要な時間や生活の余裕を得ると共に、一定期間後に元の職場へ戻ることが可能です。

育休は、出産した女性従業員だけでなく、男性従業員も取得可能です。育休の基本期間は子どもが1歳になるまでですが、次に解説する一定の要件を満たすことで最長2歳まで延長できます。育休の取得および延長は、法律で認められた従業員の権利です。

そのため、従業員が育休延長を申請できる要件を満たしているのにもかかわらず、正当な理由なく会社が育休の延長を断るのは違法になります。また、復帰後に閑職へ追いやるなど、従業員が育休を取得したことに対して、報復的な人事を行うのも違法です。

しかし、会社によってはその従業員が休業する期間、追加で人員補充などをしないといけないことから、育休の取得や延長を快く思わず、育休の延長を断ることも珍しくありません。

(2)育休延長の要件

育休の延長には「延長(1歳6か月まで)」と「再延長(2歳まで)」があり、それぞれ申請をする必要があります。

申請には、各延長の要件を理解することが必要です。延長を申請できる基本的な要件は、その従業員が育休を取得しないと子どもの育児をする人がいなくなってしまう場合です。

具体的には、以下の条件にあたる場合が該当します。

  • 保育園に入園申し込みを断られ、保育園に入れることができない
  • 子どもが1歳になる時点(再延長の場合は、1歳6か月になる前日の時点)で、従業員本人またはその配偶者が育休を取得済みである
  • 子どもの育児をする予定だった人が、病気やけが、死亡などによって不可能になった

これらの要件を満たしているにもかかわらず、育休の延長を断られた場合、違法とされる可能性が高いです。現実問題、この状態では子どもを預けられる場所も相手もいないため、親としては会社を休まざるをえません。そのため、会社は従業員の育休取得の権利を尊重し、それに適切に対応する責任があります。

しかし、全てのケースで育休の延長が認められるわけではありません。基本的に育休の延長は、やむをえない場合のみに許可されるため、労働者が育休の延長理由を証明できない場合は会社としても申請を正当に拒否できます。

具体的には、従業員側が必要な申請書類を提出しない、または提出書類に不備がある場合などです。育休延長の申請には、所定の申請書類が必要となります。これらの書類手続きに際して労働者側に問題があると、育休延長の要件を満たしていないと判断され、その結果申請が拒否される可能性があります。

また、延長申請をする際に、労働者は「保育所入所保留通知書」の提出が必要です。そしてこの書類に、従業員が保育所の第1次申し込みで内定を辞退している旨が記載されていた場合も、会社が育休延長を拒否できる理由になります。

これは、育休制度が保育施設を利用可能な状況での延長を想定していないためです。せっかく保育園から内定を得ていたのにもかかわらず、「第一希望の保育園ではなかった」など正当性の弱い理由で断っていた場合は労働者にとって不利に働きます。

2. 育休の延長を拒否された場合の相談先

上記のように、会社が延長申請を拒否できる場合もありますが、ここで想定されているのは労働者側に何らかの落ち度があった場合です。もしもそうした理由もなく会社に育休の延長を拒否された場合、まずはどこに相談すればいいのでしょうか。

(1)労働基準監督署

まず相談先として挙げられるのは、労働基準監督署です。労働基準監督署は労働者の権利を守るための公的な機関です。育休の延長を不当に断られた証拠を集めた上で相談すれば、会社に対して必要な指導をしてくれるかもしれません。

(2)弁護士

次に挙げられる相談先は、弁護士です。育休の延長を断られたり不当な扱いを受けていたりする場合、弁護士に相談すれば、法的な観点から適切な助言やサポートを受けることが可能です。

育休の延長を会社都合で断られたというケースは違法にあたります。もしもそうした不当な事態に遭遇したときは、労働問題の経験豊富な弁護士に相談するなどして、自分や家族の生活を守る行動をすることをおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年08月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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