- (更新:2023年05月29日)
- 労働問題
会社を退職させてくれないのは法律違反! 違法性と対処法を解説
「退職したいのに引き止められてなかなか辞めることができない」、いわゆる在職強要に悩む方は少なくないようです。会社を退職させてくれない理由にはどういったものがあるのでしょうか。また、どのように対処すべきなのでしょうか。退職をさせてもらえないことの違法性とその対処法を解説します。
1. 労働者は自発的に退職する権利がある
職業選択の自由が憲法で定められている日本では、全ての労働者が自分で選んだ職業に就く権利をもち、同時に退職の自由も保障されています。
会社を退職させてくれない理由として、企業側の人件費の問題や離職率の増加、繁忙期の人材不足、上司の評価が下がることなどを危惧し退職をさせたくないというケースが散見されます。人事や上司から退職しないようお願いされている程度の段階であれば特に違法性はないのですが、強引な引き止めに関しては法律違反行為になります。
民法では、期間の定めのない雇用契約と期間の定めのある雇用契約で労働者が自発的に退職できる基準を設けています。
(1)期間の定めのない雇用契約の場合
雇用契約に期間の定めがない場合には、労働者は、いつでも会社に退職を申し入れることができます。雇用契約の解約を申し入れた日から2週間を経過することによって、雇用契約は終了する、つまり退職できることになります(民法第627条第1項)。
(2)期間の定めのある雇用契約の場合
雇用契約に期間の定めがある場合には、期間の定めがない場合よりも退職に関する制限が厳格になっています。もっとも、条件を満たせば会社を退職することは可能です。
①やむを得ない事由がある場合
やむを得ない事由がある場合には、労働者は直ちに会社を退職することができます(民法第628条)。
やむを得ない事由とは、使用者の賃金未払いなどの労働問題のほか、病気、妊娠、出産などの労働者の身体的事情や、介護などの家庭の事情のことをいいます。
②自動更新をした場合
雇用期間が満了した場合に、労働者が引き続き労働に従事しているにもかかわらず、使用者が異議を述べないときには、従前の雇用契約と同一の条件で雇用契約が締結されたものと推定され、自動更新がなされます。
自動更新をした場合、期間の定めのない雇用契約の場合と同様、労働者が雇用契約の解約を申し入れた日から2週間を経過することによって、退職することができます(民法第629条)。
③1年を超える労働契約を締結した後、1年が経過した場合
1年を超える労働契約を締結し、契約期間の初日から1年間が経過した場合、労働者はいつでも退職することができます(労働基準法第137条)。
2. 労働者の退職は就業規則より民法が優先
会社を退職させてくれない理由として、使用者は「就業規則では、退職する日の30日前に会社に申請することとなっているから、退職の申し入れから30日を経過しないと退職できない。」と、就業規則を根拠に労働者の希望する時期に退職させてくれないかもしれません。
しかし、民法や労働基準法に抵触する範囲では、就業規則は無効と判断される可能性があります。
つまり、期間の定めのない雇用契約では、就業規則で労働者からの退職の申し入れから30日を経過しなれば退職できない旨が定められているとしても、民法第627条第1項に抵触する範囲で就業規則が無効と判断されたならば、退職の申し入れから2週間を経過すれば退職できることになります。
3. 「退職したら損害賠償請求する」と脅してきたら?
会社を退職させてくれない使用者は、「退職したら損害賠償請求する」と脅してくることがあります。
使用者の労働者に対する損害賠償請求が認められるためには、以下3点の事由に該当する必要があると考えられています。
- 労働者の退職について、労働者側に重大な過失や不法行為があること。
- 上記により、使用者に損害が発生していること。
- 使用者に発生した損害について、使用者が客観的に立証できること。
また、労働基準法第16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と規定しています。
このような考え方から、使用者が労働者に対し、研修費用などを請求してきた場合であっても、その請求が認められる可能性は法律上低いと考えられます。
とはいえ、実際に会社から損害賠償請求をされるとどのように対応すべきか困ってしまうこともあるでしょう。会社からの損害賠償請求が正当であるか、その請求に応じるべきか個人で判断することは困難です。退職時に会社から損害賠償請求をされた場合には弁護士にご相談ください。
4. どうしても退職させてくれない場合は?
使用者からの引き止めがしつこく、どうしても会社を退職させてくれない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
労働問題に関する知見と解決に実績のある弁護士であれば、会社を退職させてくれない使用者に対してあなたの代理人として交渉し、あなたの円満な退職を目指します。
自分の都合ばかりを考え会社を退職させてくれない使用者に対しては、法的な見地を踏まえた交渉が必要なのです。
会社を退職させてくれない使用者についてお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年05月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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