退職したいのに辞めさせてくれない! 退職を妨害するのは違法?
  • 2021年05月18日
  • 労働問題

退職したいのに辞めさせてくれない! 退職を妨害するのは違法?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「退職したいのに引き止められてなかなか辞めることができない」、いわゆる在職強要に悩む方は少なくないようです。どのように対処すべきなのでしょうか。

1. 労働者が自発的に退職できる基準

民法では、期間の定めのない雇用契約と期間の定めのある雇用契約で労働者が自発的に退職できる基準を設けています。

(1)期間の定めのない雇用契約の場合

雇用契約に期間の定めがない場合には、いつでも退職を申し入れることができます。雇用契約の解約を申し入れた日から2週間を経過することによって、雇用契約は終了する、つまり退職できることになります(民法第627条第1項)。

(2)期間の定めのある雇用契約の場合

雇用契約に期間の定めがある場合には、期間の定めがない場合よりも退職に関する制限が厳格になっています。もっとも、条件を満たせば退職することは可能です。

①やむを得ない事由がある場合

やむを得ない事由がある場合には、労働者は直ちに退職することができます(民法第628条)。
やむを得ない事由とは、病気、事故等によって長期間就労できない場合、使用者の賃金未払等で就労が困難な場合等のことをいいます。

②自動更新をした場合

雇用期間が満了した場合に、労働者が引き続き労働に従事しているにもかかわらず、使用者が異議を述べないときには、従前の雇用契約と同一の条件で雇用契約が締結されたものと推定され、自動更新がなされます。
自動更新をした場合、期間の定めのない雇用契約の場合と同様、雇用契約の解約を申し入れた日から2週間を経過することによって、退職することができます(民法第629条)。

③1年を超える労働契約を締結した後、1年が経過した場合

1年を超える労働契約を締結し、契約締結日から1年間が経過した場合、労働者はいつでも退職することができます(労働基準法第137条)。

2. 就業規則より早く退職できる?

退職させてくれない理由として、使用者は「就業規則では、退職する日の30日前に会社に申請することとなっているから、退職の申入れから30日を経過しないと退職できない。」と、就業規則を根拠に労働者の希望する時期に退職させてくれないかもしれません。

しかし、民法や労働基準法に抵触する範囲では、就業規則は無効と判断される可能性があります。

つまり、期限の定めのない雇用契約では、就業規則で退職の申入れから30日を経過しなれば退職できない定められているとしても、民法第627条第1項に抵触する範囲で就業規則が無効と判断されたならば、退職の申入れから2週間を経過すれば退職することができることになります。

3. 「退職したら損害賠償請求する」と脅してきたら?

退職させてくれない使用者は、「退職したら損害賠償請求する。」と脅してくることがあります。

しかし、労働者が以下の事由に該当しないかぎり、使用者が損害賠償を請求してもそれが認められる可能性は低いと考えられます。

  • 労働者の退職について、労働者側に重大な過失や不法行為があること。
  • 上記により、使用者に損害が発生していること。
  • 使用者に発生した損害について、使用者が客観的に立証できること。

また、労働基準法第16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と規定しています。

このような考え方から、使用者が労働者に対し、研修費用等を請求してきた場合であっても、その請求が認められる可能性は低いと考えられます。

どうしても退職させてくれない場合は?

使用者からの引き止めがしつこく、どうしても退職させてくれない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

労働問題に関する知見と解決に実績のある弁護士であれば、退職させてくれない使用者に対してあなたの代理人として交渉し、あなたの円満な退職を目指します。

自分の都合ばかりを考え退職させてくれない使用者に対しては、法的な見地を踏まえた交渉が必要なのです。

退職させてくれない使用者についてお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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