内定取り消しをされた…損害賠償を請求できる?

内定取り消しをされた…損害賠償を請求できる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

内定を受けて就職活動を終了した方にとって、会社から一方的に内定を取り消されるのは大変ショックな出来事でしょう。もし会社から一方的に内定を取り消された場合、会社に対する内定取り消し(内定取消し)の無効主張や損害賠償請求をご検討ください。

今回は内定取り消しの可否、および違法な内定取り消しに遭った場合の対処法などを解説します。

1. 会社が一方的に内定を取り消すことは可能? 違法?

一度採用内定を出したにもかかわらず、会社側の都合で一方的に内定を取り消す例がしばしば見受けられます。しかし、内定取り消しは実質的に解雇と同等であり、適法と認められるケースは少ないのが実情です。

(1)内定取り消しは解雇と同等

認められるケースは少ない

会社が採用内定通知を発し、それを内定者が受諾した場合には内定が成立します。この場合、内定成立の時点で、会社と内定者の間に(始期付・解約権留保付)労働契約が成立すると解されています(最高裁昭和54年7月20日判決)。

労働契約を会社が一方的に解消することは、法的には「解雇」に当たります。解雇については「解雇権濫用の法理」が適用され、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は違法・無効です(労働契約法第16条)。

解雇権濫用の法理は、会社側に対して非常に厳しい運用がなされています。内定取り消しについても、その理由が後述する要件を満たさなければ違法・無効と解されており、実際に適法と認められる内定取り消しは少ないと考えられます。

(2)内定取り消しが認められるケースの例

内定取り消しを適法に行うことができるのは、その理由が以下の2つの要件を満たす場合に限られます。

  1. 会社側にとって採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること
  2. 採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できること

たとえば以下のような場合には、内定取り消しが適法と認められる可能性が高いです。

(例)

  • 大学を卒業することを前提に内定を出したが、内定者が卒業できなかった場合
  • 採用面接当時に内定者が述べていた経歴に、重大な詐称があった場合
  • 内定者が刑事事件の被疑者として逮捕、起訴された場合

など

これに対して、単に「内定者の性格が思っていたのと違う」というだけでは、会社が一方的に内定を取り消すことはできません。内定者の性格は、採用面接の段階で調査を尽くせば知ることができる事情だからです。

2. 違法な内定取り消しに遭った場合の対処法

会社によって違法に内定を取り消された場合には、内定取り消しの無効を主張して入社を求めるほか、損害賠償を請求することも考えられます。

(1)内定取り消しの無効を主張する

違法な内定取り消しに遭った場合は、会社に対して内定取り消しの無効を主張しましょう。

内定取り消しが無効となる場合、会社と内定者の間の労働契約は有効に存続します。この場合、内定者は労働契約所定の勤務開始日以降、会社の従業員としての地位を取得します。

会社の従業員となる以上、会社の業務命令に従う義務が生じますが、その一方で賃金請求権も発生します。会社が入社を認めず、出勤や業務を指示しない場合でも、賃金を請求することが可能です。

(2)会社に対して損害賠償を請求する

さらに、不当に内定を取り消されたことにつき、精神的な損害に関する慰謝料(損害賠償)を請求することもできます。金額としては50万円から100万円程度が標準的です。

内定取り消しの無効主張および賃金の支払い請求と併せて、慰謝料請求を行い、会社からできる限りの賠償を引き出しましょう。

3. 違法な内定取り消しに遭ったら弁護士に相談を

会社によって違法に内定を取り消された場合は、弁護士に相談することをおすすめいたします。

弁護士に依頼すれば、内定取り消しが違法であることを、法的な観点から説得的に主張してもらえます。その結果、内定取り消しの撤回・無効や、慰謝料など損害賠償の獲得につながる可能性が高いです。

会社との協議・労働審判・訴訟など、紛争解決の手続きを一貫して代行してもらえる点も、弁護士に依頼することの大きなメリットです。強大な会社と対等に渡り合いつつ、労力やストレスを大幅に軽減できます。

突然の内定取り消しに不信感をお持ちの方は、お早めに弁護士へご相談ください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年02月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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