教育委員会にいじめを相談。対応してくれない場合はどうする?

教育委員会にいじめを相談。対応してくれない場合はどうする?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

学校でいじめの被害に遭った場合、相談先の一つとして教育委員会が挙げられます。

ただし、教育委員会がいじめに対して機動的に動いてくれることはまれで、多くの場合は根本的な解決に至りません。教育委員会が動いてくれない場合は、弁護士などへご相談ください。

今回は、いじめに関する教育委員会の役割や、教育委員会が動いてくれない場合の相談先などを解説します。

1. 教育委員会とは

「教育委員会」とは、各地方公共団体において、教育に関する事務を管理・執行する行政機関です。「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、都道府県・市区町村ごとに設置されています。

公立学校に対しては、教育委員会は強力な規制権限を持っています。具体的には、学校が設備・授業その他の事項につき、都道府県教育委員会の定める規程に違反した場合、都道府県教育委員会はその変更を命ずることができます(学校教育法第14条)。

一方、私立学校に対しては、教育委員会は監督機関という位置づけではあるものの、具体的な規制権限をほとんど持っていません。規程違反の取り扱いについて変更を命ずる権限についても、私立学校の場合は適用除外とされています(私立学校法第5条)。

いじめ防止・いじめ対策に関しても、教育委員会には上記の規制権限の範囲が適用されます。そのため、公立学校におけるいじめについては、生徒指導などにより介入しやすいものの、私立学校におけるいじめについては介入しにくいのが実情です。

2. 教育委員会がいじめをすべて解決してくれるわけではない

私立学校に限らず、公立学校におけるいじめについても、教育委員会がすべて解決してくれるわけではありません。

教育委員会がいじめのもみ消しを図ったことが報道され、社会的に問題となった事例はたくさんあります。

(例)

  • 2005年から2006年にかけて、小学5年生の男子生徒が複数の同級生から暴行を受け、総額約50万円を奪われて転校を余儀なくされた。 市教育委員会は、恐喝を含むいじめの発生を把握していたが、いじめに関して学校が作成した記録を意図的に隠ぺいした。被害者が加害者を相手に提起した訴訟においても、市教育委員会は「いじめ・恐喝は断定できない」旨の回答をした。
  • 2011年に中学2年生の男子生徒がいじめを受け、自殺に追い込まれた。市教育委員会は、いじめに関して報告を受けたものの、調査を短期間で打ち切るなどずさんな対応に終始した。本事件をきっかけとして、いじめ防止対策推進法が制定されるに至った。

教育委員会による対応が遅きに失する場合には、すぐにでも別の相談先を頼りましょう。

3. 教育委員会が動いてくれない場合の相談先

教育委員会が動いてくれない場合には、文部科学省の相談窓口や弁護士に相談することが考えられます。

(1)文部科学省の相談窓口

文部科学省では、いじめなどについて児童生徒が24時間無料で相談できる「24時間子供SOSダイヤル」を設置しています。専門の相談員に対して、いじめへの対処法についてアドバイスを求めることが可能です。

(参考:「子供のSOSの相談窓口」(文部科学省))

また、電話相談窓口のみならず、SNSの相談窓口や、地元で利用できる相談窓口についても紹介されています。利用しやすい相談窓口を選択して、いじめに関する悩みを打ち明けてみましょう。

(2)弁護士

いじめの被害については、弁護士も相談を受け付けています。

弁護士は、いじめをやめさせるための方法について、被害者目線で親身になって考えてくれます。たとえば学校や教育委員会に働きかけたり、加害者やその親へ直接クレームを入れたりすることも、弁護士に依頼すれば被害者の代わりに行ってもらえます。

さらに、加害者(またはその保護者)に対して損害賠償を請求したり、加害者を刑事告訴したりする際には、特に弁護士によるサポートが役立ちます。法律トラブルを専門的に取り扱う弁護士に相談すれば、スムーズに加害者の責任を追及することができるでしょう。

いじめの被害に1人で耐え続ける必要はなく、1日も早く専門家に相談することが大切です。ご自身やご家族が、学校で理不尽ないじめに遭っている場合には、お早めに弁護士などへご相談ください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年02月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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