【子どものいじめ】認めない加害者の親に「事実を認めさせる」方法

【子どものいじめ】認めない加害者の親に「事実を認めさせる」方法

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

子どものいじめ被害を訴えても、加害者の保護者(親)が事実を認めず、問題解決が進展しないケースは少なくありません。

本コラムでは、加害者の親が事実を認めない主な理由について紹介し、さらに加害者の親がいじめを認めない場合の対応やいじめ問題を法的に解決したいときの方法について解説します。

1. いじめ加害者の親が事実を認めない理由

学校に相談した上で加害者の親にコンタクトをとったのにもかかわらず、加害者の親がいじめの事実を認めないことは珍しくありません。ではなぜ、加害者の親はいじめの事実を認めないのでしょうか。代表的な理由としては、以下のようなことが考えられます。

(1)子どもがいじめを否認している

まず加害者の親がいじめを認めない理由として、その子どもがいじめを否認していることが挙げられます。多くの場合、親は自分の子どもを信じる(信じたい)傾向があります。たとえ疑う気持ちはあっても、わが子が「自分はいじめをしていない」と主張すれば、それを否定してまで厳しく追及する親は少ないです。

(2)証拠がない

いじめは隠れて行われることが多く、明確な証拠がないことがほとんどです。被害者がどんなに嫌な思いをしたとしても、具体的な証拠がなければ、加害者の親を納得させることは難しく、人によってはいわれのない誹謗中傷を受けたと逆に憤慨するケースもあります。

(3)子どものやることだと軽視している

加害者の親の中には、いじめを「子ども同士のじゃれ合い」や「ちょっとしたすれ違い」、あるいは「成長に伴う一時的な問題」などと捉え、いじめを軽い問題として考えていることがあります。このようないじめに対する認識のズレが、いじめの事実の否認や、いじめ行為があったことは認めても誠実な対応をしない理由につながるケースが少なくありません。

(4)学校が解決してくれると思っている

「学校で起きたことは学校で解決すべき」、あるいは「学校で解決してもらった方が安心」など、自分たちが介入する必要はないと考える親もいます。これもある意味で、いじめ問題の深刻さを軽視しているがゆえの考え方です。

2. 加害者の親がいじめを認めない場合の対応

いじめを認めない加害者の親には、いじめの証拠をそろえ、いじめが犯罪や民事上の不法行為に該当することだと示すことが重要です。

(1)いじめは不法行為になりうる

いじめの被害が深刻な場合や、加害者家族の対応に強い不満がある場合には、法的な措置をとることが可能です。仮に受けたいじめが刑事責任を問えない場合でも、民事上の不法行為として損害賠償を請求できるケースがあります。また、損害賠償の責任は本来加害者本人が負いますが、保護監督責任が問える場合には、子どもを監督すべき保護者に対しても損害賠償を請求できることがあります。

(2)いじめの証拠をそろえる

法的な措置をとる場合には、いじめの証拠を被害者側で確保する必要があります。いじめの証拠になるものとしては、いじめの状況を捉えた写真や動画、音声データ、SNSの記録など、いじめ行為や加害者本人の関与がわかるものです。また、壊されたり汚されたりした物も証拠として利用できます。ほかにも被害者の子どもが書いた日記や友人の証言なども有力な証拠です。いじめによってけがやPTSDなどの被害を受けた場合には、医師の診断書も忘れず取得してください。診断書はいじめの事実と被害の深刻さを示す効果的な証拠になります。

(3)法的文書で責任を追及する

一般的にクラスの担任や学校、いじめた子どもの母親や父親と話し合いを重ねても進展がない場合には、内容証明郵便を用いて、学校や相手の親に対して差し止めたい行為や要求事項(損害賠償や謝罪など)を正式に通知するケースが多いです。法的な主張を書いた文書を送付することで、学校や加害者の親に対して、真剣な対応が必要なことを気付かせる効果があります。

3. いじめ問題を法的に解決したいときは弁護士に相談しよう

学校側が十分な対応をしてくれない、加害者の親がいじめの事実を認めないなど、打つ手がない場合には弁護士の力を借りることを検討しましょう。

(1)学校が対応してくれないケースで有効

先述したように、いじめは民法上の不法行為、場合によっては刑法上の犯罪行為にも該当します。そのため、子どものいじめ問題に弁護士が介入することは、本来まったく不思議なことではありません。

たとえば、非協力的な学校と交渉することは、被害者家族にとって非常に苦痛が大きいことです。つい感情的になってしまい、話が余計にこじれてしまう場合もあります。

しかし、弁護士に依頼することで学校や相手の親とやり取りを任せられるため、心身の負担軽減につながります。また、弁護士が介入することで、いじめの事実調査やいじめの再発防止策の作成、加害者への指導など、学校側が動いてくれる可能性も高まります。

(2)いじめ問題で弁護士ができること

法的な知識と豊富な経験がある弁護士がいれば、問題解決に向けて欠かせない証拠の収集についてアドバイスがもらうことができ、学校側や加害者とのやり取りを一任できます。また、刑事告訴や損害賠償請求、示談など、専門的な手続きも任せられ、手間と負担が大幅に軽減できます。

子どものいじめはできるだけ早く解決したい問題です。スムーズな問題解決を実現するためにも早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年06月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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