当て逃げしてしまった! 現場で気づかなかった場合の罰則と対処法は?

当て逃げしてしまった! 現場で気づかなかった場合の罰則と対処法は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

他人の車や建物、電柱などに車をぶつけたにもかかわらず、適切な対処をしないまま逃げ去ると「当て逃げ」となります。

本コラムでは、当て逃げが発生する理由と、当て逃げが発覚した場合に生じる問題、そして万が一当て逃げしてしまった場合の対処方法を解説します。

1. 当て逃げが発生する理由

当て逃げとは、自分の車が物にぶつかる事故(物損事故)を起こしながら、警察への報告や危険防止の措置をしないままその場から立ち去ることです。当て逃げが発生する理由はいくつかのケースが考えられます。

(1)衝撃や音に気づかなかった

音楽を大音量で聴いていたり、カーナビなどに気を取られたりしていると、車が何かに当たっても気づけないことがあります。とりわけ、ドアミラーがわずかにかすったような場合には、ぶつかったことを認識するのも困難です。

そもそも車が物に接触したとの認識すらなく、意図的に逃げたわけではないケースもあります。しかしそのような場合でも、防犯カメラなどの証拠にもとづいて、警察による捜査を受けたり、被害者からの損害賠償請求を受けたりする可能性はあります。後から気づいたのであれば、後述する方法で速やか、かつ適切に対処しましょう。

(2)動揺して対処できなかった

他人の車や家の塀、ガードレールなどに車をぶつけると、動揺してしまって適切に対処できないこともあります。駐車場などで目撃者が周囲にいなかったとしても、車を物に当てたと認識した上で何も対処せずに逃げたのであれば、当て逃げとなります。

(3)弁償や罰金を免れたかった

他人の物を壊してしまうと、修理代を負担しなければなりません。加害者としての賠償責任を免れようと逃げてしまうケースが考えられます。また、ただ車を物にぶつけただけで罰金が生じることはありませんが、罰金を徴収されると思い込み、逃げてしまうケースもあるかもしれません。

この場合、逃げることで刑事責任が生じ、罰金が科されるため、かえって金銭的な損失は大きくなることを理解しておきましょう。

2. 当て逃げがバレたらどうなるか

ひき逃げとは異なり、当て逃げに関する検挙率は公表されていません。しかし、防犯カメラやドライブレコーダーの普及により、以前よりも発覚しやすくなっていると考えられます。では、実際に当て逃げがバレると、どうなってしまうのでしょうか。

(1)行政・刑事・民事での責任を問われる

当て逃げが発覚すると、行政責任・刑事責任・民事責任がそれぞれ問われます。

  • 行政責任:違反点数の加算・免許停止
  • 刑事責任:主に罰金などの刑事罰
  • 民事責任:損壊した物の弁償(損害賠償)

以下では、行政責任について解説します。このほか、事故の状況に応じて刑事処分などを受ける可能性があります。

(2)当て逃げの点数は合計7点で”一発免停”

交通違反を犯したり交通事故を起こしたりすると、項目に応じた「違反点数」が加算されます。この点数が過去3年間で6点を超えた場合に免停(免許停止)処分となります。なお、15点以上となれば免許取り消しです。

当て逃げは、「警察への報告義務」「安全運転義務」「危険防止等措置義務」という3つの義務に違反する行為です。これらの義務は道路交通法に定められています。

  • 警察への報告義務:警察官へ交通事故の詳細について報告する義務
  • 安全運転義務:車の適切な操作を行い、他者へ危害をおよぼさない速度・方法で運転する義務
  • 危険防止等措置義務:車を停止し、道路上の危険を防止するなど必要な措置を講じる義務

道路交通法施行令には、安全運転義務に違反した場合の点数は2点、危険防止等措置義務に違反した場合には5点を加算するとの定めがあります。つまり、当て逃げをすると違反点数は合計7点となり、一発で免許停止です。

(参考:「道路交通法第72条」(e-Gov法令検索))

(参考:「道路交通法施行令 別表第二」(e-Gov法令検索))

3. 接触に気づかず当て逃げしてしまった場合の対処法

車の接触に気づかず事故現場を離れると、結果的に当て逃げとなります。接触事故を起こしていたことに後から気づいた場合の対処法は、以下のとおりです。

(1)警察へ出頭・自首する

まず、車が何かに接触していたと気づいた時点で、速やかに警察へ出頭し、自首する方法があります。事故の被害者が警察に通報していた場合、当て逃げ事件として捜査が行われ、放置していると逮捕されるおそれもあるためです。被害届が出される前に出頭しておくことで、「接触に気づかなかった」との言い分が認められる可能性もあります。

(2)弁護士や保険会社へ相談する

「ぶつかったことに気づかなかった」という主張が本当でも、それが警察に受け入れられるとは限りません。的確な主張を行うには、弁護士のサポートが有効です。また、壊した物に対して修理代を負担したり、被害届を取り下げてもらったりするうえでは、示談交渉も必要となります。この際も弁護士に頼むことで、相手方との話し合いがスムーズに進みます。

併せて保険会社にも相談しておくと、必要書類や手続きなどに関するアドバイスを受けることが可能です。弁護士特約を付帯していた場合には、弁護士費用が保険で賄えることもあります。

(3)警察から連絡が来たら

当て逃げに気づかず、または放置していて後日警察から連絡が来たら、速やかに対応する必要があります。この場合にも弁護士への相談がおすすめです。たとえば「被害者と示談を行って被害届の取り下げを求める」「意図的に逃げたわけではないことの証拠を集める」など、さまざまなサポートを受けられます。

現場で車がぶつかったことに気づかなかったとしても、後に自覚したのであれば速やかに対処しなければなりません。警察による取り調べへの対応や被害者との示談にあたっては、弁護士に相談しておくことをおすすめします。

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