結婚詐欺とは|代表的な手口と成立要件を解説
オンライン婚活やマッチングアプリなどの利用は年々増加しています。気軽に出会えるメリットがある一方、結婚に対する熱意の差などからトラブルにも発展しかねません。
この記事では、相手から結婚詐欺師だと疑われた場合に対処するための、成立要件や具体的手口など結婚詐欺における基本的な情報を紹介します。
1. 結婚詐欺とは?
結婚詐欺とは、結婚をほのめかすことで金品などをだまし取る詐欺行為を指します。ただし、刑法に「結婚詐欺罪」という罪名が規定されているわけではありません。通常の詐欺罪の要件に具体的な行為を照らしあわせ、犯罪が成立するか否かが判断されます。
(1)詐欺罪の成立要件
通常、詐欺罪の成立要件は以下に示す5点です。
- 相手を欺く行為
- 相手の錯誤
- 相手の処分行為
- 財物の移転
- それぞれの因果関係
加害者が欺くことで相手が錯誤に陥り、それによって相手が財物を処分して加害者に移転した、という一連の流れが認められた場合、詐欺罪に該当します。
詐欺罪の成立にあたって重要なのは、相手を欺いて金品などを得ようとする意思が当初から存在したことです。最初は本当に結婚する気持ちがあったものの、途中から何らかの事情で結婚できなくなった場合、詐欺罪は成立しません。ただし、これは被疑者本人が主張するだけでは認められず、当事者のやり取りや記録といった証拠から客観的に判断されます。
(2)結婚詐欺と認められるケース
たとえば、結婚する気がないにもかかわらず「君と結婚する前に、自社の経営を軌道に乗せておきたい。そこで事業資金を貸してくれないか」と金銭を要求したとします(欺く行為)。相手は自分と結婚してくれると信じて(錯誤)、お金を用意して差し出し(処分行為)、受け渡しが完了します(財物の移転)。
相手がお金を渡したのは、結婚するといううそによって自分と結婚してくれると信じたからです。そのため、各要件の関係性(因果関係)が認められます。以上のような場合に、詐欺罪としての結婚詐欺が成立します。
2. 結婚詐欺の手口
結婚詐欺の代表的な手口は、結婚の約束をし、または結婚をほのめかして「財産を渡しさえすればこの人と結婚できる」と相手に思わせる方法です。出会い方やお金を必要とする口実は事例によってさまざまですが、基本的な流れは変わりません。
以下では、結婚詐欺の典型的な手口を4ステップに分けて紹介します。
(1)出会い
近年、婚活市場やマッチングアプリでの出会いが増加傾向にあります。結婚詐欺のターゲットとなりやすいのは、男女を問わず「結婚を焦っていて、一定の資産を保有している人物」です。とりわけ婚活市場にはこの条件に当てはまる人物が多く、結婚詐欺師に狙われやすくなっています。
たいていの場合、詐欺師は自身の身元を明らかにしようとしません。婚活パーティーなどで職業や年収といったパーソナルな情報を偽って相手と出会ったのであれば、結婚詐欺目的であると判断されやすくなります。たとえ自身を良く見せたかったとしても、身元を偽ることは避けましょう。
(2)交際
結婚詐欺においては通常、ただの恋愛ではなく「結婚を前提としたお付き合い」が行われます。明示的に結婚の約束を交わしたりほのめかしたりする行為は、結婚詐欺の下準備と判断される可能性があります。結婚する意図がない場合、結婚を想起させる不用意な言動は慎みましょう。
(3)金銭の借り受け
次は、結婚することを前提として相手から金銭などを借り受けるステップです。金銭を必要とする口実には、結婚式の挙式費用や事業資金、親の病気などさまざまなものが考えられます。いずれにしても結婚する予定だからこそ相手がお金を貸したという場合、結婚詐欺が成立する可能性は高くなります。
(4)消失
お金を返さずに相手の前から姿を消した場合、逮捕後に「お金を返すつもりはあった」「結婚する気はあった」と弁解しても、警察や検察に信じてもらうことは困難です。返済の意思がある場合には、定期的に相手と連絡を取り合うようにしましょう。
3. 結婚詐欺で逮捕されたらどうなる?
結婚詐欺が認められて逮捕に至った事例は少なくありません。平成28年には神奈川県の男性が相手から1300万円をだまし取った疑いで逮捕、令和元年には同じく神奈川県の男性が120万円をだまし取った疑いで逮捕されています。また、少額の被害であっても逮捕される場合があります。令和5年には三重県の男性が15万円をだまし取った疑いで逮捕されました。
(1)結婚詐欺の刑罰
結婚詐欺は詐欺罪として処罰されます。詐欺罪を定めた刑法第246条の法定刑は10年以下の懲役です。罰金の定めはないため、有罪となって執行猶予が付されなかった場合は、刑務所に入れられてしまいます。
(2)量刑を左右するポイント
量刑に影響を及ぼすポイントは、大きく分けて2点あります。1点目は「行為が悪質かどうか」、2点目は「被害金額の大きさ」です。
過去に何度も結婚詐欺を繰り返していたり巧妙に計画していたりするケースでは、悪質と見なされやすくなります。また、だまし取った金額が多くなればなるほど罪が重くなる傾向にあります。
結婚詐欺の疑いをかけられて逮捕されそうな場合は、まず弁護士に相談しましょう。相手との示談交渉を任せたり、取り調べの対応方法についてアドバイスを受けたりすることで、不起訴処分や執行猶予判決を得やすくなります。
結婚詐欺をはじめとする詐欺罪には罰金刑がなく、有罪となって執行猶予が付かなければ懲役刑が確定するほどの重大な犯罪です。結婚詐欺の容疑で逮捕されるおそれがあるなどの場合には、弁護士への相談をおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年10月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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