のぞきで問われる罪は? 逮捕された場合の刑罰は?
「のぞき」はイタズラや酔っぱらっていたからなどの理由で済まされるものではありません。法律で定められている犯罪にあたる行為であり、逮捕されれば刑事手続きを経て刑罰が科せられます。
本コラムでは、のぞき行為を行った場合に問われる罪や、科せられる刑罰を解説します。
1. のぞきで逮捕されるのはどんなケースなのか?
のぞきをしていることがバレた場合、逮捕されてしまう可能性があります。では、どのような状況で逮捕されるのでしょうか?
逮捕の可能性があるケースを挙げていきます。
(1)のぞきが見つかって現行犯逮捕されるケース
のぞきをしている現場を相手や相手の家族、通行人、パトロール中の警察官など、偶然居合わせた人に発見されると、その場で「現行犯逮捕」されてしまいます。
現行犯逮捕は、罪を犯している状況を実際に目撃されていることから、犯人だという可能性が極めて高いため、裁判官に逮捕状を請求せずに逮捕できるという点が大きな特徴です。また、警察官ではない一般の人でも逮捕が許されており、これを「私人逮捕」といいます。
(2)警察の捜査で特定されて後日に通常逮捕されるケース
のぞきをして発見されたがその場から逃げたり、誰にも発見されなかったものの、後日防犯カメラの映像などから、のぞきが発覚したりしたといったケースでは、警察が捜査したうえで裁判官から逮捕の許可を受けて「通常逮捕」される可能性があります。
通常逮捕は、日本国憲法の令状主義に基づく原則的な逮捕です。犯行の後日に逮捕されることから、俗称として「後日逮捕」とも呼ばれています。
2. のぞき行為で問われる罪
のぞき行為で問われる罪は、状況によって変わるため、どの法律をみても「のぞき罪」という犯罪は存在しません。
以下では、状況別に問われる罪を解説します。
(1)都道府県の迷惑防止条例違反
公共の場所や公共の乗り物、不特定多数の人が利用する事務所や学校などの場所で、スカートの中をのぞいたり、着替えをしているところをのぞいたりといった卑わいな言動をすると、都道府県が定める「迷惑防止条例」の違反になります。
また、のぞき行為だけでなく、盗撮行為も本法の違反です。
(2)軽犯罪法違反
迷惑防止条例では、適用される場所や状況が限定されます。
たとえば、個人宅の風呂場をのぞいただけでは、公共の場所や不特定多数の人が利用する場所ではないので、自治体によっては迷惑防止条例違反には問われません。
ただし、正当な理由なく人の住居・浴場・更衣室・便所など、人が通常は衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見る行為は「軽犯罪法」第1条23号の違反にあたります。
本号の違反は「窃視(せっし)の罪」とも呼ばれており、これは、ひそかにのぞきをする行為を罰する規定です。
(3)刑法の住居侵入罪・建造物侵入罪
のぞきをする際に他人の住居や敷地に立ち入っていると、刑法第130条の「住居侵入罪」が成立します。また、自由に出入りが可能な商業施設などでも、のぞきや盗撮などの目的があれば不法な侵入と評価されるため、同条の「建造物侵入罪」に問われます。
実際にのぞきをしていなかったとしても、侵入があった時点で本罪による処罰の対象です。
3. のぞきで逮捕された場合の刑罰は軽くて済む?
のぞき行為が発覚し、逮捕されると、取り調べなどの捜査を経て刑事手続きが進み、刑事裁判で審理され、刑罰が科せられます。
では、のぞき行為にはどのような刑罰が科せられるのでしょうか。
(1)のぞきで問われる罪の刑罰
どのような行為にどの程度の刑罰が科せられるのかは、あらかじめ法令によって定められています。のぞき行為に科せられる刑罰は以下のとおりです。
①迷惑防止条例違反の罰則
全国のモデルとなっている東京都の迷惑防止条例では、のぞき行為は第5条1項3号の「卑わいな言動」として処罰されます。罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習なら1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
また、盗撮を行った場合は、同項2号の違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習なら2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
②軽犯罪法違反の罰則
軽犯罪法第1条の違反には、拘留または科料もしくはその両方が科せられることがあります。
拘留とは30日未満の刑事施設への収容、科料とは1万円未満の金銭徴収で、日本において定められている刑罰の中ではもっとも軽いものです。
③住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑
住居侵入罪・建造物侵入罪には、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
(2)刑罰の軽い・重いが決まる基準
刑罰の軽重は、どの罪が適用されるのかが大きく影響します。ただし、法律が定めている罰則・法定刑が低ければ刑罰が軽くなるとは限りません。
たとえば、迷惑防止条例違反と住居侵入罪とでは、懲役の上限だけをみれば1年と3年となるため、住居侵入罪の方が重くなります。
しかし、悪質な迷惑防止条例違反だと評価されて最大限の懲役1年が下されることがあれば、住居侵入罪でも悪質性は低いと評価されて数か月の懲役で済まされるかもしれません。
悪質性は低いと評価されて軽い刑罰で済まされるか、厳しく評価されて重い刑罰が科せられるかどうかは、被害者への謝罪や弁済、本人が反省しているのか、二度と罪を犯さないという誓約や対策などの有無らが影響します。
どうすれば少しでも有利な評価を得られるのか、逮捕された本人やご家族が判断するのは難しいので、のぞき容疑で逮捕された場合には弁護士への相談を急ぎましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年06月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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