調停を欠席するとどうなる? 不利になる? 無視するデメリット

調停を欠席するとどうなる? 不利になる? 無視するデメリット

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

裁判所から民事調停や家事調停(離婚調停・遺産分割調停など)の呼び出しを受けた場合、

「話し合いなんてまっぴらだ」

などと考え、調停期日を欠席してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

民事調停や家事調停を欠席すると、調停の場で話し合うチャンスを失ってしまう可能性がありますので、欠席する前に裁判所へ一報を入れておきましょう。

今回は、調停期日を欠席した場合のデメリットや、欠席したい場合の対処法などについて解説します。

1. 調停を無断で欠席するとどうなる?

民事調停・家事調停の呼び出しを一方的なものに感じ、欠席したいと考える方がいらっしゃることは理解できます。ただし、実際に調停期日を欠席した場合、どのような事態が発生するかを理解しておくことは大切です。

まずは、調停期日を欠席した場合に発生する主な影響について解説します。

(1)調停がすぐに不成立となる

そもそも民事調停・家事調停は、当事者の話し合いによって解決案(調停案)への合意を目指す手続きです。

したがって、調停期日を一方の当事者が無断欠席した場合、調停案への合意が成立する見込みがないと判断され、調停不成立として打ち切られる可能性が高くなります。無断欠席により調停が不成立になってしまうと、話し合いによる解決の機会を失うことになりますので、本当にそれでよいか慎重に検討してください。

(2)無断での調停欠席には過料の制裁が科される可能性がある

裁判所または調停委員会の呼び出しを受けた当事者が、正当な理由なく調停期日に出頭しない場合、5万円以下の過料に処される可能性があります(民事調停につき民事調停法第34条、家事調停につき家事事件手続法258条1項、51条3項)。

実際には、過料が科されることはほとんどありませんが、法律上は過料の可能性があることを知っておきましょう。

(3)裁判官や調停委員に対して悪印象を与える

一度調停期日を無断欠席した後、気が変わって調停手続きを進めることにした場合、当初の無断欠席によって、裁判官や調停委員に悪印象を与えるおそれがあります。

裁判官や調停委員に悪印象が残った状態では、調停の中でご自身にとって有利な解決が見込みにくくなるため、調停手続きには誠実に対応するよう努めてください。

(4)家事調停の場合、親権の判断に影響する場合があるので注意

家事調停で親権が問題となっているケースで、調停期日を何の連絡もなく無断欠席すると、後に離婚訴訟で「親権についてまじめに考える気がない」と判断されてしまうおそれがあります。

後の離婚訴訟で不利にならないためにも、欠席することやその理由をきちんと書面で残しておき、裁判所に連絡するなど、親権の問題にきちんと向き合っていることを示すべきでしょう。

2. 調停を欠席したい場合・期日変更したい場合の対処法

離婚訴訟を何らかの理由で欠席したい場合や、調停期日の都合がどうしても合わない場合には、自らまたは代理人弁護士を通じて、以下の方法で対応してください。

(1)調停を欠席する場合|裁判所に理由を説明し、答弁書などの書面を提出する

前述のとおり、調停期日を欠席するには正当な理由が必要であり、正当な理由のない無断欠席は過料の制裁の対象になり得ます。

そのため、何らかの理由で調停期日を欠席する場合には、その理由を裁判所に説明しておきましょう。「調停に応じる気がない」という理由による欠席もあり得ますが、その場合は「当事者双方の言い分がかけ離れているので、話し合いによる解決の余地はない」といった合理的な説明を付け加えてください。

なお、口頭で裁判所に欠席の理由を伝えるだけでなく、答弁書などの書面に自らの主張をまとめて裁判所に提出すれば、調停に対して真摯(しんし)に対応したという一定の証拠を残すことができます。

(2)調停期日を変更したい場合|裁判所に連絡する

調停期日は、当初は裁判所から一方的に指定されたうえで、申立人の相手方に通知されます。しかし調停期日は、裁判所に相談をすると、別の日にずらしてもらうことができる可能性があります。

民事調停・家事調停は、あくまでも当事者同士の話し合いによる紛争解決を図る手続きなので、当事者双方が出席できる期日に行うことが重視されます。そのため、調停期日の調整については比較的柔軟に認められる傾向にあります。

調停期日の変更を希望する場合、裁判所に対してその旨を連絡しましょう。連絡の方法は、電話などでも構いません。

なお、裁判所に期日変更の希望を伝える際には、変更希望の理由(その日は都合がつかない、書面の準備が間に合わないなど)と、出席可能な代替日程をいくつか併せて伝えると、裁判所に対して誠実な印象を与えることができます。

連絡をしても、裁判所が一方の話を聞くだけでも期日を行う意味があると考える場合には、一方が欠席する場合でも調整せずに当初の予定のまま進めることもあります。その場合も事前に欠席の連絡をしておくことで、次回以降の予定を調整することができますので、事前の連絡は重要です。

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