
- (更新:2021年07月15日)
- 企業法務
問題社員を放置するリスクと適切な対処法とは?
職場の規律を守らない、パフォーマンスが低いなどの問題社員を放置することは、会社にとって大きな損失をもたらす可能性があります。
従業員対応はセンシティブな問題のため、二の足を踏んでしまうのもわかりますが、問題社員がいる場合には早急な対応が必要です。
この記事では、会社にとっての問題社員を放置するリスクと、問題社員への適切な対処法について解説します。
1. 問題社員とは?
会社にとっての問題社員には、さまざまなパターンが存在します。
問題社員のパターンの一例を挙げると、以下のとおりです。
- 職務怠慢
- 遅刻、早退、中抜けを繰り返す
- 著しい能力不足
- 周囲に対してハラスメントを行う
- 会社に対して過剰に権利を主張する
いつまでたっても賃金に見合った働きをしていないという程度のものから、それどころか存在自体がマイナスに働いているというひどいケースまで、問題社員の深刻度には幅があります。
よって、問題社員の特性や深刻度に応じて、対応を使い分けることが大切でしょう。
2. 会社が問題社員を放置するリスクとは?
社内での人間関係や、労使間トラブルに発展することへの懸念などから、会社が問題社員対応に苦慮するケースは非常に多くなっています。
しかし、問題社員を放置していると、会社にとって以下のリスクが生じてしまうので、早急な対応が必要です。
(1)会社のパフォーマンスが低下する
会社はチームで仕事をする場であり、従業員にはそれぞれの役割が与えられています。
問題社員のように、与えられた役割を全うしない従業員が一人でも存在すると、チームとしての会社が機能不全を起こしてしまいます。
業務配分の最適化を図り、会社のパフォーマンスを改善するためにも、障害となる問題社員には適切に対処する必要があるでしょう。
(2)周囲の従業員に悪影響を及ぼす
問題社員の存在は、以下に挙げる例のように、周囲にいる他の従業員にも悪影響を及ぼします。
- 問題社員の職務怠慢により、他の従業員の業務量や労働時間が増える
- 問題社員に影響され、他の従業員が仕事へのやる気をなくしてしまう
- 問題社員のハラスメント行為により、嫌気がさした他の従業員が退職してしまう
上記の事例は、問題社員の存在自体が、会社にとってマイナスに働いているパターンといえるので、早急な対処が必要です。
3. 問題社員への適切な対処法は?
問題社員といえども、労働者として労働基準法などによる保護を受けているので、会社としてはどのように対応するか難しいところです。
基本的には、段階的に厳しい対応を取るという考え方の下、以下に挙げる対応を使い分けると良いでしょう。
(1)上司による注意・指導
問題社員の行動が問題視され始めた初期の段階では、もっともソフトな対応として、上司による注意・指導を行うことが考えられます。
問題社員から信頼を受けている上司がいれば、その上司がたしなめることにより、問題行動が改善される場合もあるでしょう。
(2)経営者・人事による面談指導
直属の上司から指導をしても問題行動が改善しない場合は、経営者や人事担当者からの面談指導へと移行します。
経営者・人事担当者による面談指導を行えば、問題社員に対して「会社が公式に問題視している」というメッセージを伝えることができます。
問題社員としても、会社のメッセージを深刻なものとして受け止め、問題行動改善のきっかけとする可能性もあります。
(3)懲戒処分
口頭・面談での改善指導を行っても、一向に問題行動が改善しない場合、懲戒処分を検討する必要があります。
ただし、労働契約法第15条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない懲戒処分は、懲戒権の濫用として無効になってしまいます。
特に懲戒解雇などの重い懲戒処分を検討する場合、問題社員との紛争が生じた際に、会社が不利な立場に陥らないためにも、懲戒処分に関する法令上の要件が満たされているかどうかを事前にしっかりチェックすることが大切です。
弁護士に相談すれば、懲戒処分の適法性についてきちんとしたリーガルチェックを行うことができます。
問題社員に対して懲戒処分を行う場合は、事前に必ず弁護士までご相談ください。
(4)退職勧奨
問題社員にどうしても会社を辞めてほしい場合、懲戒解雇をすると紛争リスクが飛躍的に増大するため、基本的には退職勧奨をして合意退職を促す方が無難です。
問題社員の存在自体がマイナスとなっている場合には、ある程度の支出を甘受したとしても、早めに辞めてもらう方が会社にとってプラスです。
たとえば上乗せ退職金など、問題社員側にとってのメリットを提示すれば、合意退職に応じる可能性が高まります。
退職勧奨の条件については、不当解雇に関する裁判例なども参考にして決めるのが適切といえます。
問題社員に対する退職勧奨の方針をどのように定めれば良いかわからない場合は、弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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