自社製品の特許侵害が問題となった場合の対処法は?要件・考え方など
  • 2021年06月18日 (更新:2021年07月15日)
  • 企業法務

自社製品の特許侵害が問題となった場合の対処法は?要件・考え方など

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

他社から自社製品による特許権侵害を主張された場合、対応を誤ってしまうと、損害賠償などによって巨額の損失を被ってしまう可能性があります。
対応を誤らないためにも、特許権侵害の要件や考え方をきちんと理解しておきましょう。

この記事では、他社から特許侵害の警告を受けた場合の対処法について、特許侵害の要件・考え方とともに解説します。

1. 特許侵害とは?

まずは、特許侵害の要件・考え方について、特許法上のルールに沿って解説します。

(1)「特許権の技術的範囲」に属する物・方法を無断で「実施」すること

特許侵害とは、「特許権の技術的範囲」に属する物や方法を無断で「実施」することをいいます。

「実施」に当たる行為は、以下のとおりです(特許法第2条第3項)。

<実施に当たる行為>
  1. 物の発明

    生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、譲渡等の申し出
  2. 方法の発明

    使用
  3. 物を生産する方法の発明

    その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出、輸入、譲渡等の申し出

「特許権の技術的範囲」は、特許出願の際に、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づき定められます(特許法第70条第1項)。その際には、願書に添付した明細書の記載・図面が考慮されます(同条第2項)。

特許請求の範囲は、特許公報などに記載されている「請求項」から読み取ることが可能です。

(2)特許発明の構成要件をすべて満たす場合は「文言侵害」

特許発明の技術的範囲は、細かい技術的要素に細分化することができます。

この各技術的要素を「構成要件」といいます。

特許侵害を主張されている対象製品(「イ号物件」といいます)が、特許発明の技術的範囲の構成要件をすべて満たしている場合、「文言侵害」というカテゴリーの特許侵害が成立します。

(3)一部の構成要件を満たさなくても「均等侵害」が成立することがある

特許侵害が成立するには、原則として上記の「文言侵害」に当たることが必要です。

しかし、特許出願の時点ですべての侵害形態を想定することは困難なため、形式的に構成要件に当てはまる場合にも特許権侵害を認めでは、特許権者にとって酷な結果となる場合があります。

そこで、厳格に構成要件をすべて満たさない場合であっても、以下の要件をすべて満たす場合には、例外的に「均等侵害」として特許侵害が認められます(最高裁平成10年2月24日判決)。

<均等侵害の要件>
  1. 相違点が本質的部分でないこと
  2. 相違点を置換しても特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏すること
  3. 相違点の置換が容易であること
  4. 公知技術との同一性がなく、または容易に推考できるものでないこと
  5. 対象製品等が、特許請求の範囲から意識的に除外されたものであるなどの特段の事情がないこと

(4)「間接侵害」にも注意

前述のとおり、特許侵害とは、「特許権の技術的範囲」に属する物や方法を無断で「実施」することをいいます。このような特許侵害を「直接侵害」と呼んだりします。特許発明の構成要件を一部しか実施していない場合には、直接侵害は成立しませんが、特許法は、直接侵害以外の、一定の行為について、特許侵害があったとみなす旨規定しています(特許法第101条)。これを「間接侵害」といいます。

<間接侵害に当たる行為>
  • 特許発明の生産や使用にのみ用いる物に係る生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申し出(同条第1号、第4号参照)
  • 特許発明による課題解決に不可欠なものに係る生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申し出(同条第2号、第5号参照)
  • 侵害品を譲渡等または輸出の目的で所持する行為(同条第3号、第6号参照)

2、特許侵害の警告を受けた場合の対処法

自社製品について、他社から特許侵害の警告を受けた場合、速やかに侵害の有無について社内で整理を行ったうえで、その結果に応じて適切な対応を行いましょう。

(1)侵害の有無について社内で整理を行う

特許侵害の有無については、すでに解説したように、特許権の技術的範囲を踏まえて判断する必要があります。

特許権侵害に関する分析・検討は専門的かつ複雑なので、知的財産権を取り扱う弁護士に相談することをお勧めいたします。

(2)侵害ありと判断した場合|製品を回収してライセンス交渉を行う

自社製品が他社の特許権を侵害していると判断される場合、その状態を放置していると、差止請求(特許法第100条第1項)または損害賠償請求(民法第709条)により、甚大な損失を受けてしまう可能性があります。

このような事態を防ぐために、まずは速やかに問題となっている自社製品を回収し、販売を停止することが大切です。

そのうえで、今後も製品の販売を続けたい場合には、特許権者との間でライセンス交渉を行い、特許発明の実施についての許諾を受けましょう。

(3)侵害なしと判断した場合|内容証明郵便等で反論する

特許権者側の言い分に根拠がなく、自社製品による特許侵害の事実はないと判断される場合は、その旨を特許権者に対して伝えて反論しましょう。

特許侵害に関する主張が双方で食い違っている場合、その後特許権侵害訴訟(特許訴訟、特許侵害訴訟)に発展する可能性が高いです。

そのため、訴訟における証拠として用いることも想定して、相手方とのやり取りは送付したことを第三者が保障する内容証明郵便の方式によって行うのがよいでしょう。

また、訴訟などに備えて、客観的な資料に基づく反論を準備する必要もありますので、弁護士に相談しながら対応することをお勧めいたします。

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