レンタルオーナー商法とは|被害に遭った場合の対処法は?

レンタルオーナー商法とは|被害に遭った場合の対処法は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

レンタルオーナー商法で被害を受けるケースは現代でも少なくありません。大切なお金を根こそぎ奪われる恐れがあるため、注意が必要です。

この記事では、レンタルオーナー商法の概要や過去に起こった実際の事件、被害に遭った際の相談先などについて解説します。

1. レンタルオーナー商法とは?

レンタルオーナー商法とは、運用益の還元をエサにターゲットへ高額な商品を売りつけ、商品自体はターゲットに引き渡さず業者が預かる手口のことです。販売預託商法とも称されます。

購入してすぐ業者が商品を預かり、第三者へレンタルして利益を得ることを名目にしている仕組みのため、購入者が現物を目にすることはありません。実際には第三者へのレンタルが行われていないケースがほとんどです。

この手口では、魅力的な高配当であることをうたって勧誘することが多いため、注意が必要です。また、購入をすすめられる商品が高額であることや、元本が保証されているため安心であることをうたって勧誘するケースも多く見受けられます。

レンタルオーナー商法は古くから存在し、現在でも被害を受ける人が後を絶ちません。そのような背景もあり、令和3年(2021年)6月には預託法の一部が改正されました。これにより販売預託は原則禁止され、罰則も設けられています。また、すべての物品などが改正法の対象となったほか、原則禁止となる契約を民事で無効にできる制度も創設されました。

2. レンタルオーナー商法で過去に起こった事件

レンタルオーナー商法に関連した代表的な事件として、ジャパンライフ事件、豊田商事事件、和牛預託商法を紹介します。

(1)ジャパンライフ事件

ジャパンライフ事件は、健康器具の販売を手掛けていたジャパンライフ社が起こした巨額詐欺事件です。この事件では、高齢者を中心に高額な磁器治療器の購入をすすめ、オーナーになって運用すれば高額な収入を得られると宣伝し出資を募っていました。

また、元本保証をうたっていたのも当該事件の特徴です。元本保証であるため自由なタイミングで解約可能と偽り、被害総額約2000億円ともいわれる巨額な金銭をだまし取りました。同社は資金繰りが悪化し、経営が立ち行かなくなっていたにもかかわらず、そのような事実を伝えないまま出資を募っていました。

同社は2017年に経営破綻し、元会長や元社長らは逮捕・起訴されたのち、有罪判決が下されています。

(2)豊田商事事件

豊田商事事件は、1980年代前半に発生した巨額詐欺事件です。手口が悪質であっただけでなく、2万9000人もの被害者がでたことや、2000億円を超える被害が発生し、オーナー商法の先駆けであったことから当時大きな話題を呼びました。

豊田商事が主なターゲットにしたのも高齢者です。金(地金)を購入しておけばいずれ価値が大きく上がるとアピールし、次々と購入させました。購入者に対しては金の現物を渡さず、代わりとして証書を発行していました。

顧客には、金は会社で大切に管理していると伝えていましたが、実際には現物がなく、顧客はただお金をだまし取られただけでした。当該事件が現在でも有名であるのは、1985年に逮捕間近と目されていた元会長が自宅で襲撃され、その様子がマスコミによって中継されたことにもあります。

(3)和牛預託商法

和牛預託商法は、和牛商法や和牛オーナー制度とも呼ばれる商法です。「和牛のオーナーにならないか」などと勧誘して出資者を募る手法で、1990年代から2000年代にかけて流行しました。

この手法を用いた企業で有名なのが安愚楽牧場です。投資家が購入した繁殖用和牛から生まれた子牛を販売し、得た利益を受け取れるとうたった手口で4000億円を超える資金を集めることに成功しています。

しかし、このようなビジネスモデルはそもそも無理があったため、2011年8月に安愚楽牧場は経営破綻しました。その後、経営陣は特定商品預託法違反の罪に問われ、有罪判決が下っています。

3. 契約してしまった場合の対処法

レンタルオーナー商法の被害に遭わないためには自衛が必要です。「確実にもうかる」「元本が保証されているので絶対に安心」のような話に飛びつかないよう注意してください。

以下では、レンタルオーナー商法に関するトラブルに遭った場合の相談先や対処法について解説します。

(1)消費者ホットライン

契約してしまった場合の対処法としては、まず消費者ホットラインへの相談が挙げられます。消費者ホットラインは、消費生活に関する悩みに応じた相談窓口へと案内する機関です。「詐欺と思わしき会社と契約してしまったものの、どこへ相談すれば良いのか分からない」といったケースは電話番号188番の消費者ホットラインへ連絡しましょう。

(2)警察相談専用電話

警察も市民からの相談に対応するための専用窓口を設置しています。「詐欺を疑ってはいるもののそうだとはっきりしたわけではない」「いきなり警察署に行くのは抵抗がある」といった場合には、警察相談専用電話(#9110)へ相談しましょう。

(3)弁護士への相談

法律のプロフェッショナルとしての視点からさまざまなアドバイスを得られ、訴訟を通じて奪われたお金が取り戻せる可能性もあります。初回相談は無料の法律事務所もあるので、気軽に相談してみましょう。

レンタルオーナー商法の被害に遭わないためには、魅力的すぎる話や巧妙な勧誘に乗らないことです。また、実際に勧誘された場合は一人で決断してしまうのではなく、家族など信頼できる人へ相談したうえで検討するようにしましょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年10月03日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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